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第二十五章
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平成二十年七月三十一日
左下腿開放骨折、第七胸椎破裂骨折、第八胸椎破裂骨折、肋骨骨折、肺破裂、肝臓破裂、腎臓破裂、心臓の大動脈解離。
兵庫医大に救急搬送されて緊急手術となった。
破裂骨折した背骨はコルセットで固定して、左下腿の開放骨折は足から飛び出していた骨を切除してプレートで補強し、創外固定をしていた。
大動脈解離を起こした心臓は手術をして血管を繋いだ。
肺が破裂して自分で呼吸をする事が出来なかったので人工呼吸器を挿管されていた。
肝臓と腎臓も破裂していたけれど、それらは数値を見ながら経過観察をしていた。
もっとも、そういう事が判ったのは兵庫医大に運ばれてから一ヶ月以上過ぎてからの事だった。
ICUではショック死するのをふせぐためにモルヒネを点滴されていた。
そのため、私は、自分が兵庫医大にいるという事を理解するまでに一ヶ月ぐらいかかった。
暫くの間は危険な状態が続いていたようだった。
その間、父は頻繁に来てくれていたようだけれど、勿論、母が来る事などある筈が無かった。
確かなのは、また、私は死ぬ事が出来なかったという事だった。
一ヶ月ちょっとICUで集中治療を受けたあと、救命病棟に移された。
その後は、飛び降り自殺を図ったからという理由で一般病棟ではなく、閉鎖病棟に入れられた。
私は寝たきりの状態だったので、どの病棟でも同じ事だった。
閉鎖病棟での生活は決して快適なものではなかった。
食事は寝たまま看護師さんに食べさせてもらって、歯磨きも看護師さんにしてもらう。
用便はベッドの上で行う。
入浴などは出来ないので、やはりベッドの上で看護師さんに体を拭いてもらう。
動かせるのは右手だけだった。
背骨の破裂骨折が酷いため、コルセットで固定したまま、一年間は動かしてはいけないという話だった。
左下腿の開放骨折は、骨の移植手術を行わなければならない状態だった。
当面はその骨移植手術を待つだけだったのだが、創外固定を挿入している部位が創部感染を起こしてしまったので手術をする事になった。
それが、平成二十一年二月の事だった。
その手術で創外固定が外れたので、私は骨移植の手術までの間、仮退院させて欲しいと病院に申し出た。
長期間、閉鎖病棟に入院していると、本当に精神がどうかなってしまう。
病院からは、ヘルパーさんによる全介助での受け入れが可能ならば検討しても良いという返答をもらえた。
私は、介護センターケアネットと介護センターフレンドにお願いして、了承を得る事が出来たので、僅かの間だったけれども、久しぶりに自宅に戻る事が出来た。
自宅では、自分でベッドから下りる事も出来ず、用を足す事も出来なかったので、ヘルパーさん達には本当に面倒ばかりかけてしまった。
だけど、閉鎖病棟よりはずっと快適だった。
そうこうしている間に、骨移植の予定が決まって、四月三十日に兵庫医大に入院する事になった。
三月から四月にかけて、、、
私の自宅付近で、コンビニの連続強盗が発生した。
私はヤクザ者だったし、前科も少なくはないので名前が上がったんだろう。
尼崎南警察の刑事が自宅に来て、参考人として事情聴取を受けた。
事情聴取の内容は、主にフレンドの高木さんの事についてだった。
高木さんが運転免許証を持っているのか?
高木さんが車を持っているのか?
高木さんの交友関係や、日常の行動といった事をしつこいぐらい聞かれた。
あとは、フレンドで高木さんと親しくしているヘルパーさんの事もしつこく聞かれた。
この時には、高木さんやフレンドのヘルパーさんに、コンビニ強盗の容疑がかけられているなんて、夢にも思わなかった。
左下腿開放骨折、第七胸椎破裂骨折、第八胸椎破裂骨折、肋骨骨折、肺破裂、肝臓破裂、腎臓破裂、心臓の大動脈解離。
兵庫医大に救急搬送されて緊急手術となった。
破裂骨折した背骨はコルセットで固定して、左下腿の開放骨折は足から飛び出していた骨を切除してプレートで補強し、創外固定をしていた。
大動脈解離を起こした心臓は手術をして血管を繋いだ。
肺が破裂して自分で呼吸をする事が出来なかったので人工呼吸器を挿管されていた。
肝臓と腎臓も破裂していたけれど、それらは数値を見ながら経過観察をしていた。
もっとも、そういう事が判ったのは兵庫医大に運ばれてから一ヶ月以上過ぎてからの事だった。
ICUではショック死するのをふせぐためにモルヒネを点滴されていた。
そのため、私は、自分が兵庫医大にいるという事を理解するまでに一ヶ月ぐらいかかった。
暫くの間は危険な状態が続いていたようだった。
その間、父は頻繁に来てくれていたようだけれど、勿論、母が来る事などある筈が無かった。
確かなのは、また、私は死ぬ事が出来なかったという事だった。
一ヶ月ちょっとICUで集中治療を受けたあと、救命病棟に移された。
その後は、飛び降り自殺を図ったからという理由で一般病棟ではなく、閉鎖病棟に入れられた。
私は寝たきりの状態だったので、どの病棟でも同じ事だった。
閉鎖病棟での生活は決して快適なものではなかった。
食事は寝たまま看護師さんに食べさせてもらって、歯磨きも看護師さんにしてもらう。
用便はベッドの上で行う。
入浴などは出来ないので、やはりベッドの上で看護師さんに体を拭いてもらう。
動かせるのは右手だけだった。
背骨の破裂骨折が酷いため、コルセットで固定したまま、一年間は動かしてはいけないという話だった。
左下腿の開放骨折は、骨の移植手術を行わなければならない状態だった。
当面はその骨移植手術を待つだけだったのだが、創外固定を挿入している部位が創部感染を起こしてしまったので手術をする事になった。
それが、平成二十一年二月の事だった。
その手術で創外固定が外れたので、私は骨移植の手術までの間、仮退院させて欲しいと病院に申し出た。
長期間、閉鎖病棟に入院していると、本当に精神がどうかなってしまう。
病院からは、ヘルパーさんによる全介助での受け入れが可能ならば検討しても良いという返答をもらえた。
私は、介護センターケアネットと介護センターフレンドにお願いして、了承を得る事が出来たので、僅かの間だったけれども、久しぶりに自宅に戻る事が出来た。
自宅では、自分でベッドから下りる事も出来ず、用を足す事も出来なかったので、ヘルパーさん達には本当に面倒ばかりかけてしまった。
だけど、閉鎖病棟よりはずっと快適だった。
そうこうしている間に、骨移植の予定が決まって、四月三十日に兵庫医大に入院する事になった。
三月から四月にかけて、、、
私の自宅付近で、コンビニの連続強盗が発生した。
私はヤクザ者だったし、前科も少なくはないので名前が上がったんだろう。
尼崎南警察の刑事が自宅に来て、参考人として事情聴取を受けた。
事情聴取の内容は、主にフレンドの高木さんの事についてだった。
高木さんが運転免許証を持っているのか?
高木さんが車を持っているのか?
高木さんの交友関係や、日常の行動といった事をしつこいぐらい聞かれた。
あとは、フレンドで高木さんと親しくしているヘルパーさんの事もしつこく聞かれた。
この時には、高木さんやフレンドのヘルパーさんに、コンビニ強盗の容疑がかけられているなんて、夢にも思わなかった。
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