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第二章
31.魔法の授業
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「アビゲイル先生…お願いがあるのですが…」
「何でしょうか。」
魔法適性検査から数日。
本来ならば、検査が終わったと同時に魔法についての基礎知識を精霊守様により教わるのだ。
けれど魔法を使えないと断定された私は、その基礎知識すら教わらなかった。いや、教われなかった。
けれど、この世界は魔法が使える国。魔法の知識なしではどうやったってこの世界では生きていけない。だからこそ、アビゲイル先生にお願いをするのだ。
「私に、魔法を…教えていただきたいのです。私は…魔法が……使えないけれど…学んで見たいんです。精霊が私の前に姿を見せてくれたから。」
「精霊にあったのですか……?」
「あ、はい。王宮で…少しだけですが…」
「そうなんですね…リリアナ様の魔法については家庭教師故に聞いていましたが…なんとも不思議ですね。」
アビゲイル先生は少し考えるような仕草をした後に再び口を開いた。
「魔法学については実際に扱うのは無理ですが、座学だけならと公爵様にも頼まれておりましたので、もちろんでございます。」
「ありがとうございます。」
それでは。とアビゲイル先生は手元に用意しておいたであろう分厚い本を取り出し、ぱらぱらと捲っていく。特定のページを開くと、私の前に置いた。
「まずは、魔法の基礎知識についてお話します。この国には魔法適性検査というものがあります。魔法が使えるかや魔法の波長などを調べるものです。魔法というものは、大きく8つに分けられます。火、水、風、地、雷、闇、光、無、神聖。我々人間は神聖以外の6つの魔法を扱うことができます。」
そういうと本の左下に描かれた絵を示した。
「神聖魔法は、精霊と聖獣のみ扱うことができるのです。ですので、人間が扱える7つの魔法について詳しく話しましょう。適性というものはその魔法が扱えるか扱えないかでは無く、何も無いところからその存在を生み出せるか否かということです。例えば…」
アビゲイル先生は掌を上に向けると透明な雫が中にふわりと浮いた。
「私の適性は水と風です。このように水または風の場合は自由自在に操れるのです。」
窓もドアもしまっているはずの部屋に柔らかい風が優しく吹く。
「火の適性がない私が火の魔法を使う方法は2つあります。火が存在しているところから火を持ってくるか、あるいは…熱を起こし火を発生させるか…」
するとアビゲイル先生の先程とは違う手から小さな日が灯った。
「その力を引き起こす物質というものはありとあらゆるところに存在します。具体的に言うと、空気中には目には見えない程の水分が存在します。先程、水を存在があれば水をの魔法を使えると言いましたが、何故水の魔法適性がない人は空気中に水分があるにも関わらず、水魔法がつかえないのか。リリアナ様なぜだと思いますか?」
「……すみません、わから…ないです。」
アビゲイル先生は優しく微笑むとそのまま続けた。
「大丈夫ですよ。魔法の話をするのは初めてですからね。適性がない人はある一定量以上の物質がないといけないのです。桶1杯分の水が存在すると生活魔法程の小規模魔法が使えます。空気中の水では、少なすぎて扱えないのです。その一定量というのは人によって異なるものです。桶1杯分というのはその平均です。それ故にある議論が学者達の間では出てきています。それは、最初に説明したように適性というものは何も無いところから存在を生み出せるかというが、本当は間違いなのではないかということです。ただ単に何も無いところから生み出しているのではなく、空気中の極小量の水から水魔法を使っているのではないか。火の場合、空気中の何らかの物質から摩擦という原理を使い火を発生しているのではないか…と適性というものはその一定量の違いなのではと白熱した議論が出ているのです。………っと、すみません。つい…少々難しい内容だったかもしれません。」
魔法について語り出すアビゲイル先生は、今までのどの授業よりも饒舌だった気がする。
「いえ、大丈夫です。…面白かったです。」
確かに難しい内容だったけれど、前世の記憶で学んだ科学もこちらの世界では魔法と深く関係しているのかもしれないと思い、とても面白かった。
「お心遣いありがとうございます。私は歴史学と魔法学の専攻でしたので、少し長くお話してしまいました。なにかご質問はありますでしょうか。」
「あの…無魔法と神聖魔法ってどういうものなんでしょうか?」
精霊と聖獣にしか使えない魔法というのにすごく気になった。それに他の魔法は文字通り想像できるがこの2つはどうしても想像が出来ない。
「そうですね…無魔法というのは何となく自然に思わず使ってしまう魔法…みたいなものですね…。説明するのがとても難しいのですが…具体的に説明した方がわかりやすいかと思います。例えば、物を魔法で浮かせたり、操ったりのような魔法です。よく風魔法と勘違いする人もいるのですが、全く違うものです。他にも転移魔法、転送魔法など、どこにも分類されないようなものです。また、法律で禁じられた魔法が多いのも1つの特徴です。例えば、姿隠しや隠蔽魔法、呪術魔法など、これは無魔法に分類されます。そう、説明し忘れていましたが、無魔法に適性はありません。使い方を覚えれば誰でも使えるようになります。ただし……使うには難解かつ犠牲を伴うものもありますので…我々教師や学者も知らないことが多いのです。」
そしてアビゲイル先生は再度ぱらぱらと本のページを捲っていく。
「次に神聖魔法ですね。神聖魔法というのは、光魔法と似ていますが、規模が違います。光魔法は、人間のかすり傷程度なら修復することが可能ですが、大きな傷や致命傷となる傷は治せません。けれど、神聖魔法はそれらを治すことができます。また、森林など精気が宿るようなところに命を吹きかけたり、滅することもできるのです。詳細は分かりませんが、神聖魔法は新たなる空間を作ることもできると古い文献に記されています。」
そう言われ新しくページをめくるとその空間とその空間に佇む女性の形を模した精霊らしき絵が描かれていた。
「精霊だけでなく、聖獣が神聖魔法を使うことができるのは、精霊から直接魔力を受け取っているからです。」
そのあともアビゲイル先生による魔法の授業が続いた。魔法の授業はどの授業よりも楽しくて、魔法が使えたらなんて思ってしまう。
けれど、知らない方が良かったとはどうしても思えなくて…
その日の夜は、父様と母様と沢山話をした。
私が魔法を使えなくても平気だよって少しでも伝わるように——————
_________________________________________
後書き
タイトル通り、魔法の授業でした(;'ω'∩)
魔法学の教科書が実際にあったら読みたいなーーと今回の話を書いてて思いました( ᷇࿀ ᷆ )
絶対宝物にするのにっ…!!
亀さんのような更新ペースですが
何卒よろしくお願い致します。
「何でしょうか。」
魔法適性検査から数日。
本来ならば、検査が終わったと同時に魔法についての基礎知識を精霊守様により教わるのだ。
けれど魔法を使えないと断定された私は、その基礎知識すら教わらなかった。いや、教われなかった。
けれど、この世界は魔法が使える国。魔法の知識なしではどうやったってこの世界では生きていけない。だからこそ、アビゲイル先生にお願いをするのだ。
「私に、魔法を…教えていただきたいのです。私は…魔法が……使えないけれど…学んで見たいんです。精霊が私の前に姿を見せてくれたから。」
「精霊にあったのですか……?」
「あ、はい。王宮で…少しだけですが…」
「そうなんですね…リリアナ様の魔法については家庭教師故に聞いていましたが…なんとも不思議ですね。」
アビゲイル先生は少し考えるような仕草をした後に再び口を開いた。
「魔法学については実際に扱うのは無理ですが、座学だけならと公爵様にも頼まれておりましたので、もちろんでございます。」
「ありがとうございます。」
それでは。とアビゲイル先生は手元に用意しておいたであろう分厚い本を取り出し、ぱらぱらと捲っていく。特定のページを開くと、私の前に置いた。
「まずは、魔法の基礎知識についてお話します。この国には魔法適性検査というものがあります。魔法が使えるかや魔法の波長などを調べるものです。魔法というものは、大きく8つに分けられます。火、水、風、地、雷、闇、光、無、神聖。我々人間は神聖以外の6つの魔法を扱うことができます。」
そういうと本の左下に描かれた絵を示した。
「神聖魔法は、精霊と聖獣のみ扱うことができるのです。ですので、人間が扱える7つの魔法について詳しく話しましょう。適性というものはその魔法が扱えるか扱えないかでは無く、何も無いところからその存在を生み出せるか否かということです。例えば…」
アビゲイル先生は掌を上に向けると透明な雫が中にふわりと浮いた。
「私の適性は水と風です。このように水または風の場合は自由自在に操れるのです。」
窓もドアもしまっているはずの部屋に柔らかい風が優しく吹く。
「火の適性がない私が火の魔法を使う方法は2つあります。火が存在しているところから火を持ってくるか、あるいは…熱を起こし火を発生させるか…」
するとアビゲイル先生の先程とは違う手から小さな日が灯った。
「その力を引き起こす物質というものはありとあらゆるところに存在します。具体的に言うと、空気中には目には見えない程の水分が存在します。先程、水を存在があれば水をの魔法を使えると言いましたが、何故水の魔法適性がない人は空気中に水分があるにも関わらず、水魔法がつかえないのか。リリアナ様なぜだと思いますか?」
「……すみません、わから…ないです。」
アビゲイル先生は優しく微笑むとそのまま続けた。
「大丈夫ですよ。魔法の話をするのは初めてですからね。適性がない人はある一定量以上の物質がないといけないのです。桶1杯分の水が存在すると生活魔法程の小規模魔法が使えます。空気中の水では、少なすぎて扱えないのです。その一定量というのは人によって異なるものです。桶1杯分というのはその平均です。それ故にある議論が学者達の間では出てきています。それは、最初に説明したように適性というものは何も無いところから存在を生み出せるかというが、本当は間違いなのではないかということです。ただ単に何も無いところから生み出しているのではなく、空気中の極小量の水から水魔法を使っているのではないか。火の場合、空気中の何らかの物質から摩擦という原理を使い火を発生しているのではないか…と適性というものはその一定量の違いなのではと白熱した議論が出ているのです。………っと、すみません。つい…少々難しい内容だったかもしれません。」
魔法について語り出すアビゲイル先生は、今までのどの授業よりも饒舌だった気がする。
「いえ、大丈夫です。…面白かったです。」
確かに難しい内容だったけれど、前世の記憶で学んだ科学もこちらの世界では魔法と深く関係しているのかもしれないと思い、とても面白かった。
「お心遣いありがとうございます。私は歴史学と魔法学の専攻でしたので、少し長くお話してしまいました。なにかご質問はありますでしょうか。」
「あの…無魔法と神聖魔法ってどういうものなんでしょうか?」
精霊と聖獣にしか使えない魔法というのにすごく気になった。それに他の魔法は文字通り想像できるがこの2つはどうしても想像が出来ない。
「そうですね…無魔法というのは何となく自然に思わず使ってしまう魔法…みたいなものですね…。説明するのがとても難しいのですが…具体的に説明した方がわかりやすいかと思います。例えば、物を魔法で浮かせたり、操ったりのような魔法です。よく風魔法と勘違いする人もいるのですが、全く違うものです。他にも転移魔法、転送魔法など、どこにも分類されないようなものです。また、法律で禁じられた魔法が多いのも1つの特徴です。例えば、姿隠しや隠蔽魔法、呪術魔法など、これは無魔法に分類されます。そう、説明し忘れていましたが、無魔法に適性はありません。使い方を覚えれば誰でも使えるようになります。ただし……使うには難解かつ犠牲を伴うものもありますので…我々教師や学者も知らないことが多いのです。」
そしてアビゲイル先生は再度ぱらぱらと本のページを捲っていく。
「次に神聖魔法ですね。神聖魔法というのは、光魔法と似ていますが、規模が違います。光魔法は、人間のかすり傷程度なら修復することが可能ですが、大きな傷や致命傷となる傷は治せません。けれど、神聖魔法はそれらを治すことができます。また、森林など精気が宿るようなところに命を吹きかけたり、滅することもできるのです。詳細は分かりませんが、神聖魔法は新たなる空間を作ることもできると古い文献に記されています。」
そう言われ新しくページをめくるとその空間とその空間に佇む女性の形を模した精霊らしき絵が描かれていた。
「精霊だけでなく、聖獣が神聖魔法を使うことができるのは、精霊から直接魔力を受け取っているからです。」
そのあともアビゲイル先生による魔法の授業が続いた。魔法の授業はどの授業よりも楽しくて、魔法が使えたらなんて思ってしまう。
けれど、知らない方が良かったとはどうしても思えなくて…
その日の夜は、父様と母様と沢山話をした。
私が魔法を使えなくても平気だよって少しでも伝わるように——————
_________________________________________
後書き
タイトル通り、魔法の授業でした(;'ω'∩)
魔法学の教科書が実際にあったら読みたいなーーと今回の話を書いてて思いました( ᷇࿀ ᷆ )
絶対宝物にするのにっ…!!
亀さんのような更新ペースですが
何卒よろしくお願い致します。
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