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第9話 

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 昨日、清水が木村さんに告白しているところを見てしまった。高校性になったわけだから告白の一つや二つ珍しいことではないだろう。でも、同じクラスの人たちのを見てしまうのは、いけない物を見てしまっているような気がした。

 僕はそれを見ても誰にも言わなかったが、今日学校来てみると、クラスは清水と木村さんの話でいっぱいだった。

「清水、おはよ」

「おう、佐藤」

 清水の席の周りは人でごった返していたが、僕は人を搔き分けて清水のところに向かった。清水の席にたどり着いたところで挨拶をし、僕は清水に耳打ちをする。清水もこちらに耳を寄せてくれた。

「あのさ、昨日の放課後に教室で木村さんと二人きりでいなかった?」

「な、なんで、それを?」

「ちょうど、忘れ物取りに来た時に見ちゃって」

 クラスのみんなは清水たちが付き合っているのは知っているけど、いつからなのかは知っていないんだろう。また、それを清水たちもまだ言ってなかった。

「誰かに言ったりとかは?」

「安心して、誰にも言ってないよ」

「ほんと、ありがとう!あと、もう少しそれは黙っててくれ」

「分かった」

 伝えるだけ伝えたところで、僕は清水の席から離れる。昨日のことを聞いたのもただ清水の困った顔が見たかったのが大きかった、あとは僕が広めたんじゃないぞと伝えたかったのも少し。

 昨日のことは聞くことができたので、席に戻って昨日買ったばかりの雑誌を読む。読む雑誌は月間ロボコンという雑誌で、電子科学のジャンルだ。僕はこの学校に張った理由もロボットコンテストに出てる部活があるからだ。もちろんその部活に僕は入部している。昨日、あの場面に出くわしたのも、部活中に忘れ物を取りに教室に戻ったときだった。まだ、授業までに時間があるし、もう少し読み進めることにした。
 
 部活で暗くなった道を一人いて帰る。いつも、帰るのはこんな時間になってしまう。とぼとぼ一人で歩いき、ようやく家が見えてきた。一人暮らし用の古ぼけたアパート、その一番手前の部屋の前に立ち鍵穴に鍵を差し込む。名前プレートには「佐藤 悠太」と書いてある。

 同じ兼愛と言っても距離があったので、親と話し合った結果一人暮らしをすることに決めた。玄関に入り、ただいまと一応言ってみるがやっぱり帰ってくる言葉はなかった。カバンをベットの上に放り投げ、そこら辺に落ちてる部屋着に似着替える。手を洗って一心地ついたところでお腹が減った。

 一人暮らしをしたものの、家事が最近できるようになった程度で料理なんてまだ目玉焼きくらいしか作れなかった。なので、当然お弁当か外食の二択になるのだが、今日は外食の気分だった。初めのころは、ファストフード店やファミレスなど気分で転々としていが、今はそこそこ安く、たくさん食べれる定食屋を見つけたのでそこに入り浸っている。

 家から少し歩いたところでお目当ての定食屋についた。店内に入るといつものなじみのお客さんで席が埋まっていた。その中でカウンターな端が開いているのは見つけ、そこに座った。すぐに店員さんがお冷を持ってきてくれた。

「あれ、斎藤くんいらっしゃい」

 水を持ってきてくれた店員さんは僕の通ってる学校の先輩である本田 夏未先輩だ。学校で出会うことはほぼないが、僕がこの定食屋に通うようになってから。お互いが同じ学校ということを知り、それから顔なじみくらいにはなった。

「夏未先輩は今日もお手伝いですか?」

「そうなの、この時間帯はどうしても混むからね、ごゆっくり」

 そういって、先輩は他の席のオーダーを取りに行った。

「悠太君は、今日何にする?」
 
 今度はカウンターの向こうから声がかけられた。この店の店長で、夏未先輩のお父さんだ。なので夏未先輩がこの店で働いているのはアルバイトではなくお手伝いになってるらしい。

「いつもので」

「おう!いつものやつな」

 週三回はここのご飯にお世話になってるので、最近いつもので伝わるようになった。店長のノリがいいのも関係してるかもしれないが。

「はい、おまち」

 スマホをいじっているうちに頼んだものが来た。頼んだのは唐揚げ定食のご飯大盛り、いつもこのお店で僕が頼んでいるものだ。スマホをしまい、卓上の割りばしに手を伸ばす。

 黙々とご飯を食べていると少しづつ人が減ってきた。もともと僕が来る時間も遅いせいもあって、ピークの最終のころに来るため食べきるころになると、あれだけ人で埋まっていた席も久積が目立つようになる。

「佐藤君、今日も美味しい?」

 となりの開いた席に先輩が座った。ひとも減ってきたから休憩の時間なんだろう。

「美味しいです、先輩」

「だってよ、お父さん」

「ああ、ありがとな」

 店長は忙しそうに手を動かしながらも、こっちを見て答えてくれた。

「やっぱり、まだ料理はうまくならない?」

「そうですね、練習してる時間もなくて」

「あの部活、結構ガチだもんね。それもそうか」

 先輩としゃべりながらも、箸を進めていく。この時間は先輩としゃべりながら食べるのも定番になりつつある、忙しかったらもちろんそんなこともできない。この後はこのまま先輩とグダグダ話すか、もし先輩が物理で分からないところがあったらそれを僕が教えるか。居は前者だった。

「ふと思ったんだけど、部屋掃除してる?というか、掃除できるの?」

「先輩、何を言ってるんですか、僕にだってそれぐらいはできますよ」

「ほんとかなー、カバンをベットに放り投げたままとか、学校行く前部屋着はそこら辺に脱ぎ捨てたままとかやってない?」

 う、っと一瞬のどにご飯が詰まりそうになるが、しっかりと飲み込む。

「もちろん」

「やっぱりね」

 先輩には僕の隠し事など伝わらなかったらしい。これもやっぱり、4人姉弟の一番上の才能なのか?

 そのあとの先輩の質問には嘘をつくこともなく、あるがままに答えた。その結果、先輩が次の休日うちに来ることになった。
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