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美咲を興奮させずにどうやって説得するべきか頭を悩ませていると、美咲がポツポツとまた話し始めた。
「確かにさ、徳明にとっては私との結婚は多分想定外で、毎日職場で顔を合わせる元カノに未練もあったかも知れないけどさ」
「そうなのかな」
「一回写真見たことあるの。凄い綺麗な子でさ、正直私なんかで満足してると思えないくらい美人なんだよね、元カノ」
「いや、でも折り合いつかないから別れたんでしょ」
「でも同窓会の時も、思い返せば元カノの話してたし」
「美咲だって、元カレの話したって言ってたじゃん。それで恋人運がないって盛り上がったって」
「そうだけどさ」
「そもそも、元カノって人、本当に妊娠してるの? 梅原くんだっけ、その人の話は百パーセント信用して大丈夫なの」
「ウメは面白がって嘘吐いたりしないよ」
「梅原くんを信用するくらい、石井くんも信用してあげなよ」
「香澄は徳明の肩持つの⁉︎」
美咲が鬼の形相で私を睨むので、ちょっと落ち着いてよと麦茶を飲むように勧めながら話を続ける。
そもそも梅原くんが先走って余計なことをしたとしか思えないけど、美咲が不安になる気持ちも分かる。
「いや、そうは言ってないよ。そもそも私、石井くんのことよく知らないからさ。でもそんな浮気をするような不誠実なイメージがないから」
「でも私に黙って、あの美人な元カノと会ってることは認めたんだよ」
「でも理由があるんでしょ? そう言ったんだよね、石井くん」
「じゃあ、私が悪いって言うの」
「美咲が悪いっていえば満足なの? それとも一緒になって、石井くんはクズだって罵れば良いの? どうやって二人で向き合うか考えたくてここに来たんじゃないの」
「だって、香澄ぃ」
また泣きじゃくる美咲に、ティッシュを引き抜いて手渡すと、この様子じゃどちらも引かずにケンカになるのが手に取るように分かる。
もし仮に、石井くんが浮気だか二股していたとして、その場合美咲はどうするつもりなんだろうか。
あんなに嬉しそうに結婚することを喜んでいたのに、まだ子どもも生まれてないからって、簡単に籍を抜いて離婚でもするつもりなのだろうか。
「あのさ、美咲」
「うん」
「最悪の場合、美咲が考えてることが現実だったとして、あんたはどうしたいの。だって元カノさんは妊娠してるんだよね」
「分かんないよ。でも今は徳明と一緒に居たくない。そもそも夫婦なのに、いくら事情があったとしてもコソコソ隠れて会うことないじゃん」
「それはそうだと思う。でも、会ってることは認めたんだよね」
「開き直っただけでしょ」
こうなると話が進まない。
私が美咲に確認したいのは、色んな事実を受け入れた上でどうするのかだ。
「じゃあ離婚して子どもも諦めるの?」
「そんなこと出来る訳ないじゃない」
「それならちゃんと話し合わないと」
「だって徳明が話す必要はないとしか言わないんだもん」
別れる決意は出来ないから、石井くんに向き合って欲しいのに、邪険にされるのが気に入らないんだろうなと思いながらも、自分の立場だったらきっと同じように泣くだけだろう。
樹貴さんはモテるだろうし、私たちが出会った切っ掛けを考えれば、あんな風に大人の付き合いだと割り切った女性は何人も居ただろう。
子どもが出来るようなヘマはしないにしても、私がヤキモチを妬く要素は数え切れないくらいありそうだ。
そんな風に頭の中でよそ見をしていると、美咲がようやく泣き止んで、突然ごめんと頭を下げる。
「うるさくしてごめんね。彼氏、部屋に居るんだよね」
「ああ、大丈夫だよ。そんなことで怒ったりしないと思うから」
「ごめんついでに、本当に悪いんだけど、今日泊めてもらえないかな」
「泊めるって、半分は美咲が家賃払ってるんだから、好きにすれば良いよ。部屋も空いてるし」
「でも彼氏来てるじゃん」
「石井くんも何度も泊まりに来たでしょ」
「それはそうだけど」
急にしおらしくなった美咲に苦笑すると、一応確認してくるねと断ってから席を立ち、私の部屋で待ってる樹貴さんの元に向かう。
「確かにさ、徳明にとっては私との結婚は多分想定外で、毎日職場で顔を合わせる元カノに未練もあったかも知れないけどさ」
「そうなのかな」
「一回写真見たことあるの。凄い綺麗な子でさ、正直私なんかで満足してると思えないくらい美人なんだよね、元カノ」
「いや、でも折り合いつかないから別れたんでしょ」
「でも同窓会の時も、思い返せば元カノの話してたし」
「美咲だって、元カレの話したって言ってたじゃん。それで恋人運がないって盛り上がったって」
「そうだけどさ」
「そもそも、元カノって人、本当に妊娠してるの? 梅原くんだっけ、その人の話は百パーセント信用して大丈夫なの」
「ウメは面白がって嘘吐いたりしないよ」
「梅原くんを信用するくらい、石井くんも信用してあげなよ」
「香澄は徳明の肩持つの⁉︎」
美咲が鬼の形相で私を睨むので、ちょっと落ち着いてよと麦茶を飲むように勧めながら話を続ける。
そもそも梅原くんが先走って余計なことをしたとしか思えないけど、美咲が不安になる気持ちも分かる。
「いや、そうは言ってないよ。そもそも私、石井くんのことよく知らないからさ。でもそんな浮気をするような不誠実なイメージがないから」
「でも私に黙って、あの美人な元カノと会ってることは認めたんだよ」
「でも理由があるんでしょ? そう言ったんだよね、石井くん」
「じゃあ、私が悪いって言うの」
「美咲が悪いっていえば満足なの? それとも一緒になって、石井くんはクズだって罵れば良いの? どうやって二人で向き合うか考えたくてここに来たんじゃないの」
「だって、香澄ぃ」
また泣きじゃくる美咲に、ティッシュを引き抜いて手渡すと、この様子じゃどちらも引かずにケンカになるのが手に取るように分かる。
もし仮に、石井くんが浮気だか二股していたとして、その場合美咲はどうするつもりなんだろうか。
あんなに嬉しそうに結婚することを喜んでいたのに、まだ子どもも生まれてないからって、簡単に籍を抜いて離婚でもするつもりなのだろうか。
「あのさ、美咲」
「うん」
「最悪の場合、美咲が考えてることが現実だったとして、あんたはどうしたいの。だって元カノさんは妊娠してるんだよね」
「分かんないよ。でも今は徳明と一緒に居たくない。そもそも夫婦なのに、いくら事情があったとしてもコソコソ隠れて会うことないじゃん」
「それはそうだと思う。でも、会ってることは認めたんだよね」
「開き直っただけでしょ」
こうなると話が進まない。
私が美咲に確認したいのは、色んな事実を受け入れた上でどうするのかだ。
「じゃあ離婚して子どもも諦めるの?」
「そんなこと出来る訳ないじゃない」
「それならちゃんと話し合わないと」
「だって徳明が話す必要はないとしか言わないんだもん」
別れる決意は出来ないから、石井くんに向き合って欲しいのに、邪険にされるのが気に入らないんだろうなと思いながらも、自分の立場だったらきっと同じように泣くだけだろう。
樹貴さんはモテるだろうし、私たちが出会った切っ掛けを考えれば、あんな風に大人の付き合いだと割り切った女性は何人も居ただろう。
子どもが出来るようなヘマはしないにしても、私がヤキモチを妬く要素は数え切れないくらいありそうだ。
そんな風に頭の中でよそ見をしていると、美咲がようやく泣き止んで、突然ごめんと頭を下げる。
「うるさくしてごめんね。彼氏、部屋に居るんだよね」
「ああ、大丈夫だよ。そんなことで怒ったりしないと思うから」
「ごめんついでに、本当に悪いんだけど、今日泊めてもらえないかな」
「泊めるって、半分は美咲が家賃払ってるんだから、好きにすれば良いよ。部屋も空いてるし」
「でも彼氏来てるじゃん」
「石井くんも何度も泊まりに来たでしょ」
「それはそうだけど」
急にしおらしくなった美咲に苦笑すると、一応確認してくるねと断ってから席を立ち、私の部屋で待ってる樹貴さんの元に向かう。
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