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20.①
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コラボ商品の企画に関してはすぐに社長がOKを出し、それに関しては詳細を詰めるため、再び美鳥が商談を取りまとめることになった。
「え、ちょっと待って。それじゃあ、お義兄さんがターコイズウィングの社長ってこと⁉︎」
「逆に美鳥が知らなかった方が驚きだよ」
飲みに行こうと誘われて、仕事終わりに美鳥と二人でダイニングバーを訪れると、話の流れで凌さんの話題が出た。
「いや、アパレル関係の仕事としか聞いてなかったから」
「あれ? そうなの」
「そうだよ。いくら恋人の兄弟だからって、根掘り葉掘り会社名とか役職とか聞かないよ」
仕事ではどんな些細なことでも聞き逃さない美鳥なのに、やっぱりプライベートではそんなものなんだろうか。
「そうだったんだね。引き継いだ当日に顔は合わせたけど、今日改めて名刺もらってびっくりしたのは私も同じだよ」
「やだ、そんな前から顔合わせてたの」
「うん。デザインのラフを上司に直接見てもらいたいって、北原さんが内線かけてそのままフラッと現れたから、まさか社長だなんて思わないよね」
「でもなんかお義兄さんっぽいエピソードだね」
美鳥の中でも凌さんは無頓着なイメージなんだろう。可笑しそうに笑ってビールを飲んでいる。
「凌さんの話はいいとして、あれから侑さんとは? 連絡取ってるの」
「時差があるからなかなか難しいけど、都合が合えばオンラインで話してるよ」
「来月帰国するんだよね」
「うん。あとね、侑とも話し合ったんだけど、彼が帰国したらお義母さんと同居しようって話してるの」
「え、そうなの?」
お父様が亡くなられて、凌さんがお母様をフォローしてる話は聞いているけれど、凌さんはなにも言ってなかったし、美鳥たちがそう決めただけなんだろうか。
「今のままじゃお義兄さんの負担も大きいし、私も仕事は辞めないから、同居と言っても、お義母さんもそんなに気を遣わないだろうし」
「それ、凌さんには相談したの」
「してないよ。でも侑から帰国したら実家に住むって伝えてあるみたい」
「そっか」
いくら私が凌さんの恋人とはいえ、侑さんの婚約者である美鳥と私では立場が違うし、この件に関してはこれ以上口を挟めない。あとは家族の問題だ。
「でも不思議な縁だよね」
「ん?」
「だって、私と秋菜が義理とはいえ姉妹になるかも知れないじゃない」
「お、おう……」
「なにその返事。まさか、まだなにか問題があるの」
「ないない。そういうのは全部解決した」
「それならいいんだけど」
このラムチョップ美味しいよと言いながら、美鳥がアンタも食べなさいよと小皿に取り分けてくれる。
そんな雑談を交えて仕事や恋の話に花を咲かせていると、美鳥のスマホに侑さんからメッセージが届いた。
どうやら美鳥は私と凌さんが付き合っていることを侑さんに話しているようで、彼は私が今美鳥と一緒にいると知ると、帰国したら四人でご飯を食べに行こうと言い出した。
「これからはそういう機会も増えるかもね」
「それで別れたら気まずいわ……」
「ちょっと、なんでそんな後ろ向きなのよ」
「だって、向こうは社長だよ? 私みたいなパッとしない女じゃ無理でしょ」
「なに言ってんのよ。それ言ったら、お義兄さんだってパッとしないじゃない」
「え、ちょっと待って。それじゃあ、お義兄さんがターコイズウィングの社長ってこと⁉︎」
「逆に美鳥が知らなかった方が驚きだよ」
飲みに行こうと誘われて、仕事終わりに美鳥と二人でダイニングバーを訪れると、話の流れで凌さんの話題が出た。
「いや、アパレル関係の仕事としか聞いてなかったから」
「あれ? そうなの」
「そうだよ。いくら恋人の兄弟だからって、根掘り葉掘り会社名とか役職とか聞かないよ」
仕事ではどんな些細なことでも聞き逃さない美鳥なのに、やっぱりプライベートではそんなものなんだろうか。
「そうだったんだね。引き継いだ当日に顔は合わせたけど、今日改めて名刺もらってびっくりしたのは私も同じだよ」
「やだ、そんな前から顔合わせてたの」
「うん。デザインのラフを上司に直接見てもらいたいって、北原さんが内線かけてそのままフラッと現れたから、まさか社長だなんて思わないよね」
「でもなんかお義兄さんっぽいエピソードだね」
美鳥の中でも凌さんは無頓着なイメージなんだろう。可笑しそうに笑ってビールを飲んでいる。
「凌さんの話はいいとして、あれから侑さんとは? 連絡取ってるの」
「時差があるからなかなか難しいけど、都合が合えばオンラインで話してるよ」
「来月帰国するんだよね」
「うん。あとね、侑とも話し合ったんだけど、彼が帰国したらお義母さんと同居しようって話してるの」
「え、そうなの?」
お父様が亡くなられて、凌さんがお母様をフォローしてる話は聞いているけれど、凌さんはなにも言ってなかったし、美鳥たちがそう決めただけなんだろうか。
「今のままじゃお義兄さんの負担も大きいし、私も仕事は辞めないから、同居と言っても、お義母さんもそんなに気を遣わないだろうし」
「それ、凌さんには相談したの」
「してないよ。でも侑から帰国したら実家に住むって伝えてあるみたい」
「そっか」
いくら私が凌さんの恋人とはいえ、侑さんの婚約者である美鳥と私では立場が違うし、この件に関してはこれ以上口を挟めない。あとは家族の問題だ。
「でも不思議な縁だよね」
「ん?」
「だって、私と秋菜が義理とはいえ姉妹になるかも知れないじゃない」
「お、おう……」
「なにその返事。まさか、まだなにか問題があるの」
「ないない。そういうのは全部解決した」
「それならいいんだけど」
このラムチョップ美味しいよと言いながら、美鳥がアンタも食べなさいよと小皿に取り分けてくれる。
そんな雑談を交えて仕事や恋の話に花を咲かせていると、美鳥のスマホに侑さんからメッセージが届いた。
どうやら美鳥は私と凌さんが付き合っていることを侑さんに話しているようで、彼は私が今美鳥と一緒にいると知ると、帰国したら四人でご飯を食べに行こうと言い出した。
「これからはそういう機会も増えるかもね」
「それで別れたら気まずいわ……」
「ちょっと、なんでそんな後ろ向きなのよ」
「だって、向こうは社長だよ? 私みたいなパッとしない女じゃ無理でしょ」
「なに言ってんのよ。それ言ったら、お義兄さんだってパッとしないじゃない」
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