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(16)逆に傷つけるなんて思ってなかった※

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 菜智と久しぶりに呑んでつい調子に乗って深酒してしまった私は、そのまま実家に帰って優吾の姿を探すけど、会社の研修で出張らしくてこの日は家に居なかった。
 だけど勢いでなにを言うつもりだったのか、これは菜智と優吾の二人が決めることで、私が口出しすることじゃない。
 頭を冷やすように水を飲み、今更自宅に帰るのが面倒で今夜は実家に泊まることにして、私の部屋だった場所でベッドに横たわると、菜智と話した今夜の話を思い返していた。
 私の好きって感情はみっともないほど貪欲で、私が好きな分だけ、あるいはそれ以上に翔璃にも好きになってもらいたいと思ってることに気が付く。
(好かれてるって自信が持てないからだろうな)
 窓から差し込む月の明かりが綺麗で、カーテンを開け放したままボーッとして、もう一時間くらい流れていく雲を見ている。
 ドアをノックする音に寝てると短く返すと、私は寝返りを打ってドアに背を向けた。
 ドアが開いて廊下の明かりで壁に長い影が映ると、お母さんがお茶でも持って来たのか、そのまま中に入ってくる静かな足音が聞こえた。
「後で飲むから適当に置いといて」
「なに、今日は口でしてくれんの」
「クチ……は?」
 物騒な呟きが聞こえると、ギシッとベッドを軋ませて私の足元に腰掛けた翔璃は、連絡つかないから心配したと髪を撫でて、振り返った私のおでこにキスを落とす。
「お前スマホ見ろよ。菜智に連絡したら、教えないの一点張り」
「それ教えてんのと一緒だね」
「だろ。こっちで呑むとは聞いてたけど、家かお前の家か迷った」
 起き上がった私を愛しげに抱き寄せると、翔璃はお酒の匂いがすると言いながらキスをして顔を歪めた。
「久しぶりで飲み過ぎたかも」
「そんな深酒するくらいなに悩んでんの」
 翔璃の指が私の髪を掬って耳に掛ける。なんでもない仕草なのにドキドキして胸が苦しくなって、私は胸元を掴むように手を握ると、今までずっと聞けなかったことを口にした。
「どうして私を抱いたの」
「ん?」
 この部屋で、このベッドの上で、決して女の子らしいとは言えない、ニキビだらけで超肥満体型だった私を、あの時翔璃は可愛いって言った。
「独りで弄ってるの見て興奮したから?」
「ああ、あの時か。あんなの見たら興奮しないヤツ居ないだろ」
「そんなことないよ。私みたいな太って可愛くない子の、あんな姿見たら幻滅するよ普通」
「それ誰の話? お前としたいと思ったら変って言いたいの?」
「それが普通でしょ。翔璃は遊び回ってて、セックス出来ればなんでも良かったんだもんね。あんな私でも勃つんだもん」
「じゃあそうなんじゃねえの」
「やっぱりそんな理由だったんだ」
「はあぁ。お前さ……いや、もういいわ」
 翔璃は面倒臭そうな顔をして、小さく首を振る。
「どんな答えなら納得すんのか知らないけど、そもそもお前俺の意見聞く気ないみたいだし、そんな昔のことどうでも良くない?」
「どうでもって、あれは私の初めてで」
「そうだよな。初めてしたこの部屋、懐かしいよな」
 月明かりに照らされた翔璃の顔に笑みは浮かんでなくて、凄く苛立ったように乱暴なキスで口を塞がれる。
「声我慢しろ、おばさんたち起きる」
 キスをしながら性急に服を脱がされると、私の意思なんてどうでもいいみたいに、冷たい空気に晒された乳房にむしゃぶりついて、まだ硬さのない乳首を甘噛みされる。
「んっ」
 私の身体を知り尽くした翔璃の指がショーツの中に入り込むと、キスと胸元への刺激だけで蜜をこぼす蜜壺に、乾いた指が容赦なく沈められて、くちゅくちゅと奥を掻き回すように動く。
 思わず漏れそうになる声を咄嗟に手を当てて堪えると、感情の読めない翔璃の顔が近付いて、唇を吸われてすぐに入り込んだ舌に口の中を掻き乱される。
「ふっ、んんっ」
 ぐずぐずになるまで蜜壺を掻き回されて、気持ちとは裏腹に与えられた刺激に反応した身体は、翔璃を受け入れる快楽を想像して甘く震え出す。
 声にならない鼻から抜ける息は、身勝手な翔璃を拒みたいのに、誘うような甘ったるいものになっていく。
 翔璃は器用にベルトを外して前をくつろげると、私に逆らう声を出させないためなのか、深いキスをしたまま蕩けた隘路から指を引き抜いて、湿った指を屹立に添えて扱く。
「これ欲しい? 腰揺れてるけど」
「やめて」
「やめない」
 一瞬目が合って、本当に嫌だと拒んでいるのに翔璃はそれを受け入れてくれなかった。
 うつ伏せになるように乱暴に腰を抱えられると、膝立ちで尻を突き出すような姿勢にされて、後ろから一気に最奥を穿たれる。
「ぁぐっ」
「ほら、いつもと違うところに当たるだろ」
 打ち込まれた楔で膣の奥をゴリゴリと擦るように激しく突かれると、嗚咽のように漏れる声を、枕に顔を埋めて必死で掻き消した。
「そんなにヒクつかせて、奥気に入った?」
 浅瀬まで引き抜かれた屹立が、再び奥を探るように肉襞を擦って掻き回し、律動を刻む腰が円を描くように奥で蠢くと、身体に教え込まれた快楽が優って腰を揺らしてしまう。
「ああ、お前が好きなところも可愛がらないとね」
「ひいっ」
 すっかり熟れて腫れ上がった秘芽を容赦なく擦られると、気持ちを無視して酷い扱いを受けているのに、堪らなく気持ちよくて、すぐに爆ぜて私の腰がビクビクと震える。
「もうイッたんだ?」
「お願い、もぉ、やめて」
「こんなに締め付けてヒクヒクさせといてまだ言うか」
 だけど翔璃は切なそうな顔で私を睨むと、やっぱり受け入れてはくれずに、乱暴な指使いで更に追い込むように秘芽を擦り始める。
「はぅ、あんっ、ん」
 そこへの刺激だけで呆気なく絶頂まで追い立てられると、その余韻が残る敏感な隘路の奥を穿つ抽送が速くなる。
 限界まで張り詰めて、質量を増した剛直が膣襞を擦ると、やめて欲しいと拒絶する気持ちに反して喘ぎ声が漏れ、シーツを掻きむしって枕の上で呻く。
 そのまま奥に腰を何度も打ちつけると、翔璃は楔を引き抜いて、私の臀部に浴びせるように屹立を扱きながら吐精して上から呟く。
「お前はさ、俺には感情なんかなくて、こんな風に酷くされるのは当たり前で、穴さえ有ればなんでもイイって言わせたいんだよな?」
「ちが……」
「俺は美都真にずっと、そういう男で居ろって言われてる気分だよ」
 ここまで言わせてようやく、私は自分に自信がないばっかりに、翔璃に酷いことをしたんだと自覚した。
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