上 下
49 / 56

(48)波間に揺れて※

しおりを挟む
 果てしなく広がる碧い海原の穏やかな波に揺られ、口付けを交わしながら寝台に身を任せると、船室の窓から差し込む淡いホエルの輝きと瞬く星々がパメラの白い肌を照らす。

「ああパメラ。この闇に在って尚、やはりお前は美しいな」

 デルザリオは初めてその腕に抱き寄せた夜を思い浮かべると、その神々しさを放つ、生ける秘宝の名を受け継いだパメラを眺めて呟く。

「いけません。そんなに見つめないでください」

 一糸纏わぬ無防備な身体を甘く絡め取られ、パメラは羞恥と期待に声を震わせる。

「見つめねば俺の想いが伝えられん」

 船室の扉の脇に灯されたランプが頼りなく二人の影を映し、その影はゆっくりと折り重なっていく。

 ヒートもラットもなく、今はただ愛を確かめ合うように、デルザリオの唇がパメラの額に押し当てられると、吐息がそれを追うように熱を帯び、優しい口付けは瞼、頬、鼻先と、一つ一つを確かめるように緩やかに落ちていく。

「愛しているぞ」

 唇を掠めてそう呟けば、驚きと悦びに目を見開いたパメラに向けて口角を上げて微笑み、デルザリオの唇はそのままパメラの唇に重なった。

「あ、ぅん、んっ」

 デルザリオが食むように下唇を吸い上げ、その刺激にパメラが甘い息を漏らせば、その息すら呑み込むように唇を啄んで塞ぐ。

「ん、うっ」

「そうして漏らす声もまた愛らしいな」

 慈しむように深い口付けを交わし、再びパメラの目を見つめて愛を囁くと、薄く開いた唇を割って舌を差し込み、ゆっくりと歯列をなぞる。

 口付けが深く激しくなると、髪を梳き頬を撫でていたデルザリオの大きな掌がパメラの耳朶を弄び、そのまま首筋を撫でながら鎖骨を辿って胸元に触れる。

「ふ、うぅっ、あ、ぁん」

 既に硬く立ち上がった頂を掌で擦り、口付けの合間に意地悪くパメラを見つめる。

「こんなに硬くして、熟れた実のようだな」

「やぁ、んっ、恥ずかしい、です」

「俺しか見ていない、構うものか。恥じらいながら俺を感じる姿を見せてくれ」

 羞恥と昂揚から頬を赤く火照らせるパメラが、咄嗟に腕で覆った胸元を暴くと、胸元の熟れた果実を口に含み、甘噛みをして舌先で翻弄し、もう片本の手で柔らかい乳房を揉みしだく。

「あ、あぁっ、そんな、んん」

 パメラは胸元に与えられる刺激に小さく身体を震わせると、正直な身体はデルザリオを求めて奥が疼き、咄嗟に足を擦り合わせて既に潤んできた蜜を止めようと足掻く。

 その動きに気付いたデルザリオは、乳房から離した掌を滑らせて鳩尾をなぞり、臍のくぼみをくすぐると、そのまま迷うことなく柔らかな下生えが繁るその先に指を伸ばして下肢を割る。

「ああ、ヒートでなくても感じているな。洪水のように溢れ出してきた」

 満足げに呟いて蜜口で指先を湿らせると、デルザリオの指が浅瀬を何度も擦り、パメラの身体は内側から一気に放熱するように昂って汗がじわりと肌に纏わりついた。

 デルザリオの節くれだった指がパメラの奥まで呑み込まれると、ぐちゅりと空気を含んで泡立つ音がパメラの身体の内と外から響き、与えられる甘美な刺激に悶えてパメラは嬌声を上げる。

「これが好きか」

 鈍い水音を誤魔化すように、パメラが締め付けた隘路をデルザリオの二本の指が押し広げると、ぐちゅぐちゅと掻き回すように膣内を蠢いて翻弄する。

「ここだな。擦るといい顔をする」

「あっ、や、そんな、やめっ、はぁん」

 隘路の敏感に疼くところを擦り上げられて、パメラは身体をびくりと大きく揺らすと、呼吸を整えるように胸元を上下させた。

「果てたか」

 デルザリオは呟いて口角を上げると、隘路からゆるりと指を引き抜いて、嬌声で喉を鳴らすパメラに口付けながら、下穿きの前をくつろげて熱り立つ昂りを外気に晒す。

「はあ、はぁ、はあ、デルザリオ様」

「お前をもっと感じたい」

「はい、どうかお心のままに」

 雫が既に鈴口を濡らすデルザリオの屹立が、パメラの潤んだ蜜口に押し当てられると、パメラはそれだけで過敏に反応して腰を捩る。

「逃げるな」

 そしてその華奢なパメラの腰に手を添えると、デルザリオはじりじりと隘路をこじ開けて奥へと屹立を沈め、その質量と圧迫感に、劣情の興奮でパメラは隘路を更に締め付けた。

「ああぁっ」

「く、気を抜くと持っていかれるな。動くぞ」

 抽送が始まると、パメラはデルザリオにしがみつくように抱きついて、声が漏れるのを恥じらうように口を閉じて鼻にこもった息を漏らす。

「ふっ、んん、ん」

「堪えずとも声を出して聞かせてくれ」

「はい……あっ、ぃや、やん、あぁあ」

 パメラの愛らしい囀りを満足そうに聴くと、デルザリオは口付けを落とす。

 互いに愛を確かめ合うように深い口付けを交わしながら、下肢の狭間で刻む律動が激しくなると、パメラは堪らず背をしならせて弓形に天井を仰いで嬌声を上げる。

「あぁああ、ん。やぁあ、やっ、やっ、そんな、あっ」

「また中が締まったな」

 穿たれた楔が最奥の小部屋を叩くように腰が打ち付けられ、デルザリオの屹立が何度も擦り上げて突き上げると、押し寄せる快楽に呑まれたパメラは痙攣したように腰を震わせる。

「あ、あぁ、や、も、だめ、やぁああ」

「そう煽るな。あまり煽られると加減をしてやれぬ」

 押し寄せる享楽から逃げようとするパメラの腰を掴むと、デルザリオは抽送をやめずに角度を変えて、更に追い立てるようにきつく締まる隘路の中に楔を穿ち続ける。

「いやぁあ、だめっ、あぁん、だめぇえ」

「そう言う割に腰がよく跳ねるな」

「そんな風に虐めないで」

「乱れて恥じらう顔も可愛らしい」

 そして律動が一層速まると、パメラは再び快楽の絶頂へと押しやられ、淫靡に揺れる腰と不規則に締めては緩むことを繰り返す蜜口に翻弄されるように、デルザリオは最奥に熱を放った。

「あぁああ、奥がぁあ、あっ、あぁあ」

「愛しいパメラ。ヒートが来たらこの程度でやめてはやれんぞ」

 デルザリオは楔を打ち込んだまま、腕の中で享楽に身を震わせるパメラの顔を覗き込むと、静かに口付けを落として乱れた髪を梳くように優しく頭を撫でた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...