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(5)邂逅
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空見師であるバステラの読み通り、あの後四日に渡って雨が続き、パメラたちグルーノ一座の一行は、大雨の影響を受けて三日ほどスノザールに足止めを食らった。
その三日の遅れを取り戻すように、次に到着したイミザの町では精力的に宣伝して回り、パメラもそれを手伝って客を呼び込んだ。
イミザの滞在期間はおよそ二十日。そのうち三日を雨のせいで無駄にした。
七日を予定していた、芝居の稽古を含めた準備は四日に短縮され、パメラも衣装のほつれを直したり、衣装の寸法の手直しでバタバタして過ごした。
「いやあ、さすがの大都市だね。客の入りが違うよ」
「なんでも演劇やってる町の連中が、こぞって俺たちの舞台を見に来てるらしいぜ」
「お前らちゃんと見たのか?広場に人が溢れ返ってたじゃないか」
興行が始まって三日。夜になって宿屋の食堂に集まると、一座の座員たちは、毎晩その日のことを振り返っては、満足そうに盛り上がって酒を飲んでいる。
「あぁあ。またおんなじ話してる」
「ふふ。お客さんが想像以上に多くて嬉しいのよ、きっと」
座員たちが盛り上がる隣のテーブルで、パメラはエッカやナムガルと一緒に食事をしている。
「それにしたってさ、毎日おんなじ話ばっかしてて飽きないのかな」
「そんなこと言わないの、ありがたいことじゃない。お芝居なんだから、お客さんが見てくれなきゃ意味ないんだもの」
つまらなさそうに口を尖らせるエッカに、パメラは諭すように言って聞かせると、野菜や肉を取り分けて、もっとしっかり食べなさいと食事をするように促す。
「だって、手伝いも邪魔になるって言われるし。お芝居は見飽きたし、だからって宿屋で一人で居ても退屈なんだもん。一人で買い物くらい出来るのに」
「あら?ナムガルと一緒なら、座長は反対しないでしょう」
「いやよ!なんでお兄ちゃんなんかと。私もう十三なのに」
「こんなに広い町だもの。大人だって、他所から来た人は気を付けないと危ないわ。ねえナムガル、明日エッカを連れて行ってあげたらどうかしら」
エッカの隣で黙々とご飯を食べるナムガルに声を掛けると、急に声を掛けられて慌てたのか、顔を上げた途端にナムガルは咳き込んで咽せた。
「ハッ、ゴホッ。うっ、肉が、喉に……」
「あぁもう、お兄ちゃん汚い」
「大丈夫?ナムガル、ちょっと待っててね」
パメラは立ち上がって宿屋の女将に声を掛けると、水の入った木杯を受け取り、テーブルに戻ってナムガルにそれを手渡す。
「ゴフッ、ゴッ……あ、ありがとう。もう大丈夫だよ」
ナムガルは木杯を受け取ると、一気に水を飲み干して、ようやく一息ついてから恥ずかしそうに俯いた。
「なにやってんのお兄ちゃん。ねえパメラ、お兄ちゃんはこんなにそそっかしいのよ。町を一緒に見て回るなんて、どっちが迷子になるか分からないわよ」
エッカは口を尖らせて、ここぞとばかりに兄は頼りにならないから、一人でも変わらないと文句を言う。
「そんなことないわ。お兄ちゃんだもの。ねえナムガル」
「エッカの面倒くらい見られるよ。父さんや母さんからも言われてるし、ぼ……俺が一緒に町を回るよ」
「えー、やだよ。なんでお兄ちゃんなんかと」
パメラの問いかけに張り切るナムガルと、相変わらず子供扱いに納得がいかない様子のエッカが、いつものように兄妹ゲンカを始めるのに時間は掛からない。
騒ぎに気付いた二人の母親が、奥のテーブルから駆け付けると、有無を言わせずナムガルとエッカの頬をつねり、ケンカ両成敗とばかりに叱って黙らせる。
そんないつもの光景を見て、座員の大人たちが声を立てて笑い、叱られた二人はバツの悪そうな顔をして、母親の監視下で残ったご飯を大人しく食べている。
一人娘で両親がもう居ないパメラにとっては、そんな光景すらも微笑ましく見える。どんなに願っても両親は還りはしないし、一座の仲間たちである彼らと本当の家族にはなれない。
それにもし、オメガだとバレてしまったら。
売り飛ばされそうになった過去の嫌な記憶が蘇り、パメラは小さく身を震わせる。
「すまんが貸切でいっぱいだよ」
パメラの背後で宿屋の亭主、エリオットが突然叫んだ。不思議に思ってパメラが振り返ると、服はボロだが見目のいい男が入ってきて、渋い声でエリオットに話し掛ける。
「エリオットの宿屋ってのは、ここであってるか」
「そうだが?お前さんは誰だ」
エリオットは読んでいた新聞を置くと、怪訝な顔をして男が答えるのを待っている。
「ヘンゼル先生の紹介なんだが。連れが一晩世話になるから宿を探してる」
「ああ、それなら使いが来たよ。二部屋だったな」
「貸切なんじゃないのか?」
少し揶揄う口調で男が笑うと、エリオットは苦笑いして先生の頼みは断れないと、女将に声を掛けて部屋の掃除を急ぐように言う。
「普段は使わない予備の部屋さ。支度があるからちょっと待って貰えるかい」
「寝るだけだ。多少汚れててもそのままで構わん」
「そうかい?おい母さん、埃払い程度でいいそうだ。ならもう休んで貰って構わんよ。飯はどうするね」
エリオットは再び女将に声を掛け、男から前払いで宿賃を受け取る。
「飯は要らん。なら今から連れを呼んでくる。そのまま部屋を使わせて貰う」
「ああ。この裏の通路の奥、二部屋だ」
「助かった」
鍵を受け取り礼を言うと、男は一旦外に出て行った。
パメラは姿勢を戻し、残っていた水を飲むと、ようやく母親の監視を逃れたらしいエッカが、またナムガルにちょっかいを出すので、苦笑しながらそれを止めに入る。
しかし次に宿屋のドアが開いた瞬間、ドンッと胸を一突きされたような、大きな動悸がパメラを襲い、咄嗟の衝撃に胸を押さえる。
そして生まれてこの方感じたことのない、強い焦燥感を覚えると、ぐらりと視界が歪み、強烈な眩暈に襲われ、必死に机にしがみついて腕に力を込める。
ドッドッドッ、大きな音が体の内側から響き、心臓が早鐘を打つように脈が早まり、呼吸がどんどん難しくなってくる。
どうするべきだろうか。このままでは座っていられなくなると焦るパメラに向かって、力強い手が伸びて抱き起こされた。
「やだ。食当たりでも起こしたの?あんたって子は(何も言わずに黙ってな)」
「…………」
パメラのその異変にいち早く気付いたのはアイルーンだった。
少し顔色が悪いアイルーンは慌ててパメラに駆け寄ると、多少強引だが、体調不良を気遣うようにパメラを掻き抱いて、その場から無理やり引き摺るようにして二階に上がる。
宿屋の扉が開いてから、その間僅か数秒の出来事だった。
幸いなのか、パメラの目の前に座っていたエッカとナムガルは、ケンカに夢中でパメラの異変に気付いていないようだった。
いや、アイルーンの反応が圧倒的に早かっただけかも知れない。
あまりに突然のことに、その様子を心配そうに見守るグルーノ一座の面々の視線に紛れ、酷く驚いた顔で、その後ろ姿に鋭い視線を向ける者が居た。
その三日の遅れを取り戻すように、次に到着したイミザの町では精力的に宣伝して回り、パメラもそれを手伝って客を呼び込んだ。
イミザの滞在期間はおよそ二十日。そのうち三日を雨のせいで無駄にした。
七日を予定していた、芝居の稽古を含めた準備は四日に短縮され、パメラも衣装のほつれを直したり、衣装の寸法の手直しでバタバタして過ごした。
「いやあ、さすがの大都市だね。客の入りが違うよ」
「なんでも演劇やってる町の連中が、こぞって俺たちの舞台を見に来てるらしいぜ」
「お前らちゃんと見たのか?広場に人が溢れ返ってたじゃないか」
興行が始まって三日。夜になって宿屋の食堂に集まると、一座の座員たちは、毎晩その日のことを振り返っては、満足そうに盛り上がって酒を飲んでいる。
「あぁあ。またおんなじ話してる」
「ふふ。お客さんが想像以上に多くて嬉しいのよ、きっと」
座員たちが盛り上がる隣のテーブルで、パメラはエッカやナムガルと一緒に食事をしている。
「それにしたってさ、毎日おんなじ話ばっかしてて飽きないのかな」
「そんなこと言わないの、ありがたいことじゃない。お芝居なんだから、お客さんが見てくれなきゃ意味ないんだもの」
つまらなさそうに口を尖らせるエッカに、パメラは諭すように言って聞かせると、野菜や肉を取り分けて、もっとしっかり食べなさいと食事をするように促す。
「だって、手伝いも邪魔になるって言われるし。お芝居は見飽きたし、だからって宿屋で一人で居ても退屈なんだもん。一人で買い物くらい出来るのに」
「あら?ナムガルと一緒なら、座長は反対しないでしょう」
「いやよ!なんでお兄ちゃんなんかと。私もう十三なのに」
「こんなに広い町だもの。大人だって、他所から来た人は気を付けないと危ないわ。ねえナムガル、明日エッカを連れて行ってあげたらどうかしら」
エッカの隣で黙々とご飯を食べるナムガルに声を掛けると、急に声を掛けられて慌てたのか、顔を上げた途端にナムガルは咳き込んで咽せた。
「ハッ、ゴホッ。うっ、肉が、喉に……」
「あぁもう、お兄ちゃん汚い」
「大丈夫?ナムガル、ちょっと待っててね」
パメラは立ち上がって宿屋の女将に声を掛けると、水の入った木杯を受け取り、テーブルに戻ってナムガルにそれを手渡す。
「ゴフッ、ゴッ……あ、ありがとう。もう大丈夫だよ」
ナムガルは木杯を受け取ると、一気に水を飲み干して、ようやく一息ついてから恥ずかしそうに俯いた。
「なにやってんのお兄ちゃん。ねえパメラ、お兄ちゃんはこんなにそそっかしいのよ。町を一緒に見て回るなんて、どっちが迷子になるか分からないわよ」
エッカは口を尖らせて、ここぞとばかりに兄は頼りにならないから、一人でも変わらないと文句を言う。
「そんなことないわ。お兄ちゃんだもの。ねえナムガル」
「エッカの面倒くらい見られるよ。父さんや母さんからも言われてるし、ぼ……俺が一緒に町を回るよ」
「えー、やだよ。なんでお兄ちゃんなんかと」
パメラの問いかけに張り切るナムガルと、相変わらず子供扱いに納得がいかない様子のエッカが、いつものように兄妹ゲンカを始めるのに時間は掛からない。
騒ぎに気付いた二人の母親が、奥のテーブルから駆け付けると、有無を言わせずナムガルとエッカの頬をつねり、ケンカ両成敗とばかりに叱って黙らせる。
そんないつもの光景を見て、座員の大人たちが声を立てて笑い、叱られた二人はバツの悪そうな顔をして、母親の監視下で残ったご飯を大人しく食べている。
一人娘で両親がもう居ないパメラにとっては、そんな光景すらも微笑ましく見える。どんなに願っても両親は還りはしないし、一座の仲間たちである彼らと本当の家族にはなれない。
それにもし、オメガだとバレてしまったら。
売り飛ばされそうになった過去の嫌な記憶が蘇り、パメラは小さく身を震わせる。
「すまんが貸切でいっぱいだよ」
パメラの背後で宿屋の亭主、エリオットが突然叫んだ。不思議に思ってパメラが振り返ると、服はボロだが見目のいい男が入ってきて、渋い声でエリオットに話し掛ける。
「エリオットの宿屋ってのは、ここであってるか」
「そうだが?お前さんは誰だ」
エリオットは読んでいた新聞を置くと、怪訝な顔をして男が答えるのを待っている。
「ヘンゼル先生の紹介なんだが。連れが一晩世話になるから宿を探してる」
「ああ、それなら使いが来たよ。二部屋だったな」
「貸切なんじゃないのか?」
少し揶揄う口調で男が笑うと、エリオットは苦笑いして先生の頼みは断れないと、女将に声を掛けて部屋の掃除を急ぐように言う。
「普段は使わない予備の部屋さ。支度があるからちょっと待って貰えるかい」
「寝るだけだ。多少汚れててもそのままで構わん」
「そうかい?おい母さん、埃払い程度でいいそうだ。ならもう休んで貰って構わんよ。飯はどうするね」
エリオットは再び女将に声を掛け、男から前払いで宿賃を受け取る。
「飯は要らん。なら今から連れを呼んでくる。そのまま部屋を使わせて貰う」
「ああ。この裏の通路の奥、二部屋だ」
「助かった」
鍵を受け取り礼を言うと、男は一旦外に出て行った。
パメラは姿勢を戻し、残っていた水を飲むと、ようやく母親の監視を逃れたらしいエッカが、またナムガルにちょっかいを出すので、苦笑しながらそれを止めに入る。
しかし次に宿屋のドアが開いた瞬間、ドンッと胸を一突きされたような、大きな動悸がパメラを襲い、咄嗟の衝撃に胸を押さえる。
そして生まれてこの方感じたことのない、強い焦燥感を覚えると、ぐらりと視界が歪み、強烈な眩暈に襲われ、必死に机にしがみついて腕に力を込める。
ドッドッドッ、大きな音が体の内側から響き、心臓が早鐘を打つように脈が早まり、呼吸がどんどん難しくなってくる。
どうするべきだろうか。このままでは座っていられなくなると焦るパメラに向かって、力強い手が伸びて抱き起こされた。
「やだ。食当たりでも起こしたの?あんたって子は(何も言わずに黙ってな)」
「…………」
パメラのその異変にいち早く気付いたのはアイルーンだった。
少し顔色が悪いアイルーンは慌ててパメラに駆け寄ると、多少強引だが、体調不良を気遣うようにパメラを掻き抱いて、その場から無理やり引き摺るようにして二階に上がる。
宿屋の扉が開いてから、その間僅か数秒の出来事だった。
幸いなのか、パメラの目の前に座っていたエッカとナムガルは、ケンカに夢中でパメラの異変に気付いていないようだった。
いや、アイルーンの反応が圧倒的に早かっただけかも知れない。
あまりに突然のことに、その様子を心配そうに見守るグルーノ一座の面々の視線に紛れ、酷く驚いた顔で、その後ろ姿に鋭い視線を向ける者が居た。
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