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28.新しい仕事②
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そしてコンビニから更に歩いて二分。ようやく見慣れた自宅マンションに到着すると、エントランスを抜けてポストの中身を確認し、エレベーターで三階にある自宅にようやく帰宅した。
「ふう。ただいま」
脱いだ靴を整える気力もなくてそのまま部屋に上がると、コンビニで買ってきた物をとりあえず冷蔵庫に入れる。
「先にお風呂済ませちゃおうかな」
一度でも座ると動けなくなりそうで、すぐに着替えを用意してバスルームに移動すると、お湯を貯めるのが面倒でシャワーだけでお風呂を済ませることにした。
髪や体を洗いながら取り留めのないことを考えていると、そういえば今日のお昼頃、慶弥さんからゲームの誘いが来てたことを思い出す。
(でももう遅いし、平日だもんね)
このところ忙しかったのと、冬特有の乾燥で肌が荒れている。
お風呂上がりに念入りにスキンケアを済ませると、冷蔵庫から取り出したプリンとスプーンを持ってリビングのソファーにようやく腰を下ろす。
「あ、スマホ忘れた」
寝室の床に放り出したままのバッグからスマホを取り出すと、いつの間にかメッセージが何件か届いている。店を出た時はなにも届いてなかったので、どうやらこの数十分の間に送られて来たようだ。
メッセージアプリを開くと、ルサルカのスタッフから様子を気にするメッセージが二件。そして慶弥さんからもメッセージが届いている。
「慶弥さん、さっきまでログインしてたんだ」
眠くなったから先に寝ると書かれたメッセージに続いて、ごめんと謝るクマのスタンプが立て続けに押されている。
(なんか悪いことしたな)
おやすみなさいとメッセージを打ってから、もしかしたら起こしてしまうかもしれないと、送信するのを躊躇ってしまう。
こんな時、安易にプロポーズを受けてしまったのではないかなんて、自分が出した答えに批判的な思いが込み上げる。
私たちは付き合って日が浅い上に、直接顔を合わせたのも指で数えられるほど少ない。
お互いを取り巻く環境に一気に触れたことで、なにかドラマチックな雰囲気に流されてしまっているのではないかと、そんな風に落ち込んでしまうのだ。
慶弥さんへの好きって気持ちに嘘はないし、彼の方も本当に私を好きでいてくれてると思う。
だけど現実はこんな風にすれ違うのが当たり前で、相手に気を使わせてしまうことが凄くもどかしい。
「難しいな」
思わず情けない独り言をこぼしてしまう。
今の仕事に慣れれば大丈夫なんじゃないかと思ってみても、昼過ぎから夜中まで働く私と、朝から夕方までで仕事を終える慶弥さんとでは生活リズムがまるで違う。
(こんなんで、うまくやっていけるのかな)
夜に考え事をするのは良くないと分かっていても、これが現実なんだと心がざわついて、思考がダメな方に引きずられてしまう。
「いかん。よくない。ゲームしよう」
食べ終えたプリンの容器を洗ってゴミ箱に放り込むと、パソコンを立ち上げて〈グラズヘイム〉にログインする。
どんなに一人で考えたって、ちゃんとした答えなんて出る訳ない。二人のことなんだから慶弥さんと話をしないと。
真夜中にゲームをしながら、そんなことを考えているうちに夜は更けていった。
「ふう。ただいま」
脱いだ靴を整える気力もなくてそのまま部屋に上がると、コンビニで買ってきた物をとりあえず冷蔵庫に入れる。
「先にお風呂済ませちゃおうかな」
一度でも座ると動けなくなりそうで、すぐに着替えを用意してバスルームに移動すると、お湯を貯めるのが面倒でシャワーだけでお風呂を済ませることにした。
髪や体を洗いながら取り留めのないことを考えていると、そういえば今日のお昼頃、慶弥さんからゲームの誘いが来てたことを思い出す。
(でももう遅いし、平日だもんね)
このところ忙しかったのと、冬特有の乾燥で肌が荒れている。
お風呂上がりに念入りにスキンケアを済ませると、冷蔵庫から取り出したプリンとスプーンを持ってリビングのソファーにようやく腰を下ろす。
「あ、スマホ忘れた」
寝室の床に放り出したままのバッグからスマホを取り出すと、いつの間にかメッセージが何件か届いている。店を出た時はなにも届いてなかったので、どうやらこの数十分の間に送られて来たようだ。
メッセージアプリを開くと、ルサルカのスタッフから様子を気にするメッセージが二件。そして慶弥さんからもメッセージが届いている。
「慶弥さん、さっきまでログインしてたんだ」
眠くなったから先に寝ると書かれたメッセージに続いて、ごめんと謝るクマのスタンプが立て続けに押されている。
(なんか悪いことしたな)
おやすみなさいとメッセージを打ってから、もしかしたら起こしてしまうかもしれないと、送信するのを躊躇ってしまう。
こんな時、安易にプロポーズを受けてしまったのではないかなんて、自分が出した答えに批判的な思いが込み上げる。
私たちは付き合って日が浅い上に、直接顔を合わせたのも指で数えられるほど少ない。
お互いを取り巻く環境に一気に触れたことで、なにかドラマチックな雰囲気に流されてしまっているのではないかと、そんな風に落ち込んでしまうのだ。
慶弥さんへの好きって気持ちに嘘はないし、彼の方も本当に私を好きでいてくれてると思う。
だけど現実はこんな風にすれ違うのが当たり前で、相手に気を使わせてしまうことが凄くもどかしい。
「難しいな」
思わず情けない独り言をこぼしてしまう。
今の仕事に慣れれば大丈夫なんじゃないかと思ってみても、昼過ぎから夜中まで働く私と、朝から夕方までで仕事を終える慶弥さんとでは生活リズムがまるで違う。
(こんなんで、うまくやっていけるのかな)
夜に考え事をするのは良くないと分かっていても、これが現実なんだと心がざわついて、思考がダメな方に引きずられてしまう。
「いかん。よくない。ゲームしよう」
食べ終えたプリンの容器を洗ってゴミ箱に放り込むと、パソコンを立ち上げて〈グラズヘイム〉にログインする。
どんなに一人で考えたって、ちゃんとした答えなんて出る訳ない。二人のことなんだから慶弥さんと話をしないと。
真夜中にゲームをしながら、そんなことを考えているうちに夜は更けていった。
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