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26.何気ない大切な時間②
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掃除をするために前髪をピンで留めた慶弥さんは、ちょっとだけいつもより幼さがあって、ニッコリ笑う顔を見るだけでキュンとしてしまう。
(やだこの生き物なに。可愛いんだけど)
久々に顔を合わせたのも手伝って、自分の恋人が美形すぎるのがしんどい。そんなくだらないことを考えて頭を抱えると、どうかしたのかと顔を覗き込まれてしまった。
「瑞穂?」
「あぁ、ごめんごめん。これ片付けたらお茶にしようか」
適当に笑って誤魔化すと、慶弥さんは不思議そうに首を傾げながらも分かったと答えて、邪魔になるからとリビングに向かってくれた。
そんな慶弥さんの後ろ姿を見つめていると、手持ち無沙汰になってスマホを手にした彼は、仕事の連絡があったのか、電話をかけると一言断ると寝室に入ってく。
「そっか。今日は平日だもんね」
慶弥さんが舞美さん親子を見送るために休みを取ったことを思い出して、そんな日に彼が私に会いにきた意味を改めて考える。
うちに来た時の表情は、想像してたより晴れやかだったし、現にすっきりと見送ってきた話もしていたから、当初の不安はないように思う。
(約束しちゃったから来ただけかな)
あまり深く考えずにそう結論づけると、ペットボトルを空に出来そうなので、マグカップにお茶を注いで電子レンジで温める。
慶弥さんはまだ電話が終わらない様子なので、出来るだけ音を立てないように、キッチンに立ったまま、温かいお茶を啜る。
「晩ご飯はどうしよう。買い出しに車出してもらおうかな」
冷蔵庫は出来るだけ空っぽにさせたくて、今はもうあまり食材が入っていない。
本当は今朝起きて、午前中にスーパーに行くつもりだったけど、寝坊してしまったので、片付けで手一杯になってしまったのを思い出す。
「あ。シーツ替えてないや」
平日だからまさか泊まるとは思ってなかったし、部屋の掃除ばかり気にして、ベッドメイクにまで意識が向かなかった。
この後どうしようか考えていると、ようやく電話を終えた慶弥さんがリビングに戻ってきた。
「カフェオレでよかったら飲む?」
「うん」
お茶はさっき飲み切ってしまったので、スティックタイプのカフェオレをミルクパンで沸かしたお湯で溶かし、熱々の湯気が立つマグカップをリビングに運ぶ。
「熱いから気を付けてね」
「お、サンキュー」
慶弥さんの隣に座ってピタッとくっつくようにもたれると、彼も同じように体重を預けてくる。
「そういえばね、食材の買い置きをしてないから、夕飯の材料を買いに行かないとダメかも」
「そうなんだ。え、瑞穂はなに食べるつもりだったの」
「本当は午前中に買い物行くつもりだったの。それに私一人なら冷凍のうどんが一玉あるから、適当にそれで済ませるつもりだった」
「来る時に確認したらよかったね。買い物行くなら車出すから遠慮しないでね」
「ありがとう。助かる。あ、さっきの電話大丈夫だったのかな。今日泊まれそう?」
「ああ、仕事の電話だったけど問題ないよ。それに明日は夕方に顔出せば大丈夫だろうから、しっかり泊まらせてもらいます」
「了解です」
ぺこりと頭を下げる慶弥さんに敬礼すると、そのまま夕飯はなにが食べたいかの話になって、明日の分も含めて買い出しが必要なものをメモする。
そしてカフェオレを飲み終えると、早速慶弥さんに車を出してもらって、せっかくだから少し遠い大きなスーパーまで買い出しに向かった。
平日の夕方ということもあり、小さな子どもさんを連れたママさんたちの姿が目立つ中、前髪をピンで留めたままの慶弥さんは、ご機嫌な様子で私と繋いだ手を離す様子がない。
その姿がママの手を繋ぐ子どもと重なって笑ってしまうけれど、こんな光景がいつかは日常になるかもしれないと思うと、心の奥がギュッと痛む気がした。
(やだこの生き物なに。可愛いんだけど)
久々に顔を合わせたのも手伝って、自分の恋人が美形すぎるのがしんどい。そんなくだらないことを考えて頭を抱えると、どうかしたのかと顔を覗き込まれてしまった。
「瑞穂?」
「あぁ、ごめんごめん。これ片付けたらお茶にしようか」
適当に笑って誤魔化すと、慶弥さんは不思議そうに首を傾げながらも分かったと答えて、邪魔になるからとリビングに向かってくれた。
そんな慶弥さんの後ろ姿を見つめていると、手持ち無沙汰になってスマホを手にした彼は、仕事の連絡があったのか、電話をかけると一言断ると寝室に入ってく。
「そっか。今日は平日だもんね」
慶弥さんが舞美さん親子を見送るために休みを取ったことを思い出して、そんな日に彼が私に会いにきた意味を改めて考える。
うちに来た時の表情は、想像してたより晴れやかだったし、現にすっきりと見送ってきた話もしていたから、当初の不安はないように思う。
(約束しちゃったから来ただけかな)
あまり深く考えずにそう結論づけると、ペットボトルを空に出来そうなので、マグカップにお茶を注いで電子レンジで温める。
慶弥さんはまだ電話が終わらない様子なので、出来るだけ音を立てないように、キッチンに立ったまま、温かいお茶を啜る。
「晩ご飯はどうしよう。買い出しに車出してもらおうかな」
冷蔵庫は出来るだけ空っぽにさせたくて、今はもうあまり食材が入っていない。
本当は今朝起きて、午前中にスーパーに行くつもりだったけど、寝坊してしまったので、片付けで手一杯になってしまったのを思い出す。
「あ。シーツ替えてないや」
平日だからまさか泊まるとは思ってなかったし、部屋の掃除ばかり気にして、ベッドメイクにまで意識が向かなかった。
この後どうしようか考えていると、ようやく電話を終えた慶弥さんがリビングに戻ってきた。
「カフェオレでよかったら飲む?」
「うん」
お茶はさっき飲み切ってしまったので、スティックタイプのカフェオレをミルクパンで沸かしたお湯で溶かし、熱々の湯気が立つマグカップをリビングに運ぶ。
「熱いから気を付けてね」
「お、サンキュー」
慶弥さんの隣に座ってピタッとくっつくようにもたれると、彼も同じように体重を預けてくる。
「そういえばね、食材の買い置きをしてないから、夕飯の材料を買いに行かないとダメかも」
「そうなんだ。え、瑞穂はなに食べるつもりだったの」
「本当は午前中に買い物行くつもりだったの。それに私一人なら冷凍のうどんが一玉あるから、適当にそれで済ませるつもりだった」
「来る時に確認したらよかったね。買い物行くなら車出すから遠慮しないでね」
「ありがとう。助かる。あ、さっきの電話大丈夫だったのかな。今日泊まれそう?」
「ああ、仕事の電話だったけど問題ないよ。それに明日は夕方に顔出せば大丈夫だろうから、しっかり泊まらせてもらいます」
「了解です」
ぺこりと頭を下げる慶弥さんに敬礼すると、そのまま夕飯はなにが食べたいかの話になって、明日の分も含めて買い出しが必要なものをメモする。
そしてカフェオレを飲み終えると、早速慶弥さんに車を出してもらって、せっかくだから少し遠い大きなスーパーまで買い出しに向かった。
平日の夕方ということもあり、小さな子どもさんを連れたママさんたちの姿が目立つ中、前髪をピンで留めたままの慶弥さんは、ご機嫌な様子で私と繋いだ手を離す様子がない。
その姿がママの手を繋ぐ子どもと重なって笑ってしまうけれど、こんな光景がいつかは日常になるかもしれないと思うと、心の奥がギュッと痛む気がした。
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