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15.恋人始めます②
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泡だらけの手を濯いでバスタブの栓を閉めると、また髪を洗い始め、トリートメントをしながら今度は体を洗う。
そうこうしてるうちにバスタブにお湯が貯まって、髪を濯ぎ終えると温かい湯船に浸かることが出来た。
「はあ……あったかい」
贅沢を言えば、こんなに広々としたお風呂なので、お気に入りのバスオイルを入れてゆっくりと入浴を楽しみたい。
私が住んでいる社員寮はコンパクトな造りなので、こんなにのびのびと浸かれるお風呂は久しぶりだ。
すっかり疲れまで吹き飛ぶような心地よさを味わい、しっかりと温まって湯船から出ると、洗面所で体を拭いて貸してもらった着替えに袖を通す。
柔軟剤の香りだろうか。慶弥さんの匂いがする気がして、ちょっとドキドキしてしまう。
そして歯を磨いた後、洗面台に置いてあるドライヤーを借りて髪を乾かすと、ズボンが落ちないようにウエストの紐をしっかり結んでから洗面所を出た。
「お湯貯めてくれてありがとう。めちゃくちゃあったまった」
「お酒回ってない? 大丈夫だった?」
「平気だよ」
「じゃあ冷える前にベッドに入ってて。俺も風呂に入ってくるよ」
「うん。分かった」
私と入れ違いでバスルームに向かった慶弥さんを見送ると、寝室に移動して素直にベッドに潜り込む。
ここでもやっぱり彼の匂いがして、ドキドキと心臓が高鳴り始めた。
(よく考えたら、一緒に寝るってことだよね)
今更ながら当たり前のことに動揺して、ベッドの中で一人もんどり打ってバタバタする。
付き合うことになったけど、もしかしてこの後そういう流れになったりするんだろうか。
ふとそう思い至ってから、下着を着けていないことを思い出して、違う意味でドキドキが収まらなくなってしまう。
(どうしよう。ブラも洗濯機に放り込んじゃった)
そうして心許ない状態のまま壁際にへばりつくように、ベッドの端の方で身を縮めていると、もうそんなに時間が経ったのか、慶弥さんがお風呂から出てきた足音が聞こえる。
ひたひたと、裸足でフローリングを歩く足音が徐々に近付いてきて、明るかったリビングの電気が消え、寝室の淡いルームライトだけになる。
「寒いかな。暖房入れようか」
「大丈夫」
ギシッとベッドに体重が乗る音がして、すぐ隣に慶弥さんの気配を感じると、掛け布団をめくって彼が私を抱き寄せる。
「今日は、なんだかんだで結構飲んだもんね」
「そうだね」
「気分はどう」
「大丈夫だよ。ありがとう」
間近に迫った綺麗な顔が心配そうに曇るのは、昂る独占欲を大いに刺激してくれる。
(ああ。単純だけど、私この人が好きなんだ)
安心させるつもりでギュッと慶弥さんを抱きしめると、意外にも彼の体がビクッと揺れる。
「瑞穂……俺も男だからさ」
困惑したような溜め息混じりの声に、迂闊だったと反省していると、不意に顎を掴まれて唇が重なる。
「んっ」
そして啄むように何度も唇を食まれ、それに応えるように唇を開くと、しっとりした彼の舌が歯列を割って更に奥に入り込んできた。
すぐに舌を搦め取られ、くちゅりと唾液が溢れる音にお腹の奥がキュンと疼いて、思わず足をもじもじと動かしてしまう。
そんな私の様子に気付いているのか、慶弥さんが私を抱き締める腕が背中をゆっくりと撫で始める。
「んんっ」
熱を帯びていく舌遣いに、思わず手を伸ばして彼の昂りに触れて、厭らしくねだるように指先を動かす。
「こら」
唇が離れて困ったように慶弥さんが呟く。
「キスで、終わり?」
「瑞穂ってさ……まあいいや。キスだけじゃやなの?」
「ん。もっとしたい」
「ああ、もう。悪い子だな」
慶弥さんはそう言うと、ベッドの中に潜り込んだ。
そうこうしてるうちにバスタブにお湯が貯まって、髪を濯ぎ終えると温かい湯船に浸かることが出来た。
「はあ……あったかい」
贅沢を言えば、こんなに広々としたお風呂なので、お気に入りのバスオイルを入れてゆっくりと入浴を楽しみたい。
私が住んでいる社員寮はコンパクトな造りなので、こんなにのびのびと浸かれるお風呂は久しぶりだ。
すっかり疲れまで吹き飛ぶような心地よさを味わい、しっかりと温まって湯船から出ると、洗面所で体を拭いて貸してもらった着替えに袖を通す。
柔軟剤の香りだろうか。慶弥さんの匂いがする気がして、ちょっとドキドキしてしまう。
そして歯を磨いた後、洗面台に置いてあるドライヤーを借りて髪を乾かすと、ズボンが落ちないようにウエストの紐をしっかり結んでから洗面所を出た。
「お湯貯めてくれてありがとう。めちゃくちゃあったまった」
「お酒回ってない? 大丈夫だった?」
「平気だよ」
「じゃあ冷える前にベッドに入ってて。俺も風呂に入ってくるよ」
「うん。分かった」
私と入れ違いでバスルームに向かった慶弥さんを見送ると、寝室に移動して素直にベッドに潜り込む。
ここでもやっぱり彼の匂いがして、ドキドキと心臓が高鳴り始めた。
(よく考えたら、一緒に寝るってことだよね)
今更ながら当たり前のことに動揺して、ベッドの中で一人もんどり打ってバタバタする。
付き合うことになったけど、もしかしてこの後そういう流れになったりするんだろうか。
ふとそう思い至ってから、下着を着けていないことを思い出して、違う意味でドキドキが収まらなくなってしまう。
(どうしよう。ブラも洗濯機に放り込んじゃった)
そうして心許ない状態のまま壁際にへばりつくように、ベッドの端の方で身を縮めていると、もうそんなに時間が経ったのか、慶弥さんがお風呂から出てきた足音が聞こえる。
ひたひたと、裸足でフローリングを歩く足音が徐々に近付いてきて、明るかったリビングの電気が消え、寝室の淡いルームライトだけになる。
「寒いかな。暖房入れようか」
「大丈夫」
ギシッとベッドに体重が乗る音がして、すぐ隣に慶弥さんの気配を感じると、掛け布団をめくって彼が私を抱き寄せる。
「今日は、なんだかんだで結構飲んだもんね」
「そうだね」
「気分はどう」
「大丈夫だよ。ありがとう」
間近に迫った綺麗な顔が心配そうに曇るのは、昂る独占欲を大いに刺激してくれる。
(ああ。単純だけど、私この人が好きなんだ)
安心させるつもりでギュッと慶弥さんを抱きしめると、意外にも彼の体がビクッと揺れる。
「瑞穂……俺も男だからさ」
困惑したような溜め息混じりの声に、迂闊だったと反省していると、不意に顎を掴まれて唇が重なる。
「んっ」
そして啄むように何度も唇を食まれ、それに応えるように唇を開くと、しっとりした彼の舌が歯列を割って更に奥に入り込んできた。
すぐに舌を搦め取られ、くちゅりと唾液が溢れる音にお腹の奥がキュンと疼いて、思わず足をもじもじと動かしてしまう。
そんな私の様子に気付いているのか、慶弥さんが私を抱き締める腕が背中をゆっくりと撫で始める。
「んんっ」
熱を帯びていく舌遣いに、思わず手を伸ばして彼の昂りに触れて、厭らしくねだるように指先を動かす。
「こら」
唇が離れて困ったように慶弥さんが呟く。
「キスで、終わり?」
「瑞穂ってさ……まあいいや。キスだけじゃやなの?」
「ん。もっとしたい」
「ああ、もう。悪い子だな」
慶弥さんはそう言うと、ベッドの中に潜り込んだ。
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