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13.これからの働き方④

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「東京店の若狭わかさの後任になる、ルサルカ勤務の赤西さんです」
「お疲れ様です。赤西です」
「お疲れ様、草壁です。ルサルカと本社は勝手が違うので、慣れるまで大変かもしれないけど、期待してますので宜しくお願いしますね」
「はい。宜しくお願いいたします」
 頭を下げて挨拶し直すと、エルバは手が空かなくて申し訳ないと言いながらキーボードを叩いて、すぐに仕事を再開した。
「では、失礼します」
 そう言って頭を下げた里中さんに倣うと、その後を追って私も部屋を出た。
「緊張したかな」
「……はい」
 仕事中なのもあるけれど、私が知っているエルバではない気がして、ちょっとだけ不安になった。
 彼は本当にこの後、私とまたあの告白について話し合う気があるんだろうか。そう思わざるを得ないくらい、他人行儀でさっぱりしていた気がする。
(いや、凄い知ってる感じで話し掛けられても困るけど)
 エルバが他人行儀な方が助かるくせに、少しだけ寂しさを感じてる自分に言い訳をすると、挨拶はこんなものかなと振り返った里中さんの声で我に返った。
「さっきも説明したけど、取り急ぎやって欲しいことは家探しかな」
「はい」
「交通費の出ない範囲で、店に近いところを探すようにしてね。それで家賃が高めになっても融通は利くから」
「分かりました」
「じゃあ、他になにか質問がなければ解散ということで」
「今日はお時間をいただいてありがとうございました」
「いえいえ。これからバタバタするだろうし、困ったことがあったら気軽に声掛けてくれたらいいから」
「はい。ありがとうございます。では、失礼します」
 そうしてオフィスを出て玄関フロアまで見送ってもらうと、到着したエレベーターに乗り込み、改めて里中さんに頭を下げると扉が閉まった。
「ふう。緊張した」
 腕時計で時間を確認すると、いつの間にそんな時間が経っていたのか、もう十八時半になろうとしている。
 エルバは打ち合わせが終わったら、告白の返事を聞くと言っていたけれど、あの様子だとまだ仕事は終わらないだろう。
 どこで時間を潰そうかとビルを出ると、ちょうどタイミングよくスマホが震えてメッセージが届いた。
【あと二、三十分かかりそう。ここで待ってて】
 さっき挨拶した人と同じ人なんだろうかと疑問に思うほど親しげな文面と、URLが送られてきて早速リンクを開く。
 どうやらこの近くにあるカフェのようだ。
「とりあえず行きますか」
 マップを頼りに裏路地に入ると、辺りはすっかり暗くなって、どんどん住宅街になっていく道を不安になりながら進んでいく。
 そしていよいよ目的地に到着すると、平屋建ての家を改装したお洒落なカフェがあってホッとした。
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