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3.気の重い約束③
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そもそもギルドのメンバーと楽しくわちゃわちゃ遊べたら満足だし、そういう遊び方を楽しむギルドなので、エルバさんの方が珍しい存在だったりする。
まあ、ギルドマスターのタラントさんとリアルの友人だというので、ギルドに入ったのもタラントさんが声を掛けたからだというし、マルチプレイはそもそも好みじゃないのも納得だ。
『ロッソさん、だいぶ立ち回り上手くなったね』
「本当ですか。でも、エルバさんに教えてもらった通り動くと、戦闘が楽になった気がします」
『そう? あ、俺のことはエルバで良いよ。さん付けされるの慣れてないんだ。歳は離れてるけどタメでいいよ』
「そうですか? じゃあ私もロッソで。改めてよろしくお願いします」
『じゃあロッソ、早速だけど海底洞窟に行ってみるか』
「私のランクでもいける……のかな」
『もちろん潜る前の準備は必要だろうね。さっきのドロップアイテムから、装備揃えようか』
「了解です」
そうして気付けば夜になっても、私たちは夢中で〈グラズヘイム〉をプレイして楽しんだ。
エルバは本当にいい人で、常時ソロでのプレイスタイルからとっつきにくい人なのかと思っていたけれど、単にゲーム難易度において、難しさを求めて遊びたいタイプらしい。
『初見にしちゃ、早く攻略できたな。ロッソの課金も無駄じゃないワケか』
「今回もガチャめっちゃ回したからね。でもさっきのアレは、エルバがいなかったら瞬殺だよ」
『でもパターンにハメれば、そこからは楽だっただろ』
「エルバがいればこそだよ。その武器で、本当に凄いよね」
『死神の鎌は確かに人気ないし、クセもあるけど慣れたら別にどうってことないんだけどね』
「強者は言うことが違うよね」
お互いに遠慮がない距離感になって、会話も随分砕けたものになってきた。
ここまでくると、確かにタラントさんが、私たちが気が合うと思うと言っていたのも頷ける気がする。
『ドロップアイテムもいい感じに溜まったし、ギルドに戻るか』
「そうだね。調合スキルも上がったし、色々試したい」
『よし、じゃあ一旦……あ、タラントがログインしたっぽい』
「え、あ。本当だ」
フレンドの画面を確認すると、アクティブユーザーの中にタラントさんの名前が表示されている。
『とりあえずギルドに戻ろうか』
「了解」
エルバと一緒にギルドの拠点に戻ると、案の定そこに居たタラントさんのアバターが、手を振りながらジャンプしてるのが見えた。
【よお。お二人さん、お疲れ】
オープンチャットの方から呼びかけがあり、すぐにお疲れ様と文字を打ち込んでメッセージを返す。
エルバも同じように【おつ】と、短い返事を打ったらしく、画面にその文字が表示される。
『タラントにもボイチャ繋いでもらおうか』
「うん。全然いいよ」
私が返事するや否や、エルバが個別に切り替えてボイスチャットしようと、タラントさんにメッセージを送った。
『うわ、見てみロッソ』
「え? なにを」
『ヤバい。もう二十二時過ぎてる』
「うそ。本当だ! エルバ時間大丈夫?」
『俺は明日も休みだから問題ない。ロッソは』
「私も久々に休みだし大丈夫」
二人で結構長く遊んでいたことについて盛り上がっていると、プツッと音声が入る音がしてタラントさんが会話に加わって来た。
『お疲れさん。どうよ、仲良くなったのか』
タラントさんは様子を探るように、アバターに謎のダンスをさせながらにじり寄ってくる。
『なんだよ、そのアクション。気持ち悪いな』
エルバが笑うので、私もつられて笑ってしまう。
まあ、ギルドマスターのタラントさんとリアルの友人だというので、ギルドに入ったのもタラントさんが声を掛けたからだというし、マルチプレイはそもそも好みじゃないのも納得だ。
『ロッソさん、だいぶ立ち回り上手くなったね』
「本当ですか。でも、エルバさんに教えてもらった通り動くと、戦闘が楽になった気がします」
『そう? あ、俺のことはエルバで良いよ。さん付けされるの慣れてないんだ。歳は離れてるけどタメでいいよ』
「そうですか? じゃあ私もロッソで。改めてよろしくお願いします」
『じゃあロッソ、早速だけど海底洞窟に行ってみるか』
「私のランクでもいける……のかな」
『もちろん潜る前の準備は必要だろうね。さっきのドロップアイテムから、装備揃えようか』
「了解です」
そうして気付けば夜になっても、私たちは夢中で〈グラズヘイム〉をプレイして楽しんだ。
エルバは本当にいい人で、常時ソロでのプレイスタイルからとっつきにくい人なのかと思っていたけれど、単にゲーム難易度において、難しさを求めて遊びたいタイプらしい。
『初見にしちゃ、早く攻略できたな。ロッソの課金も無駄じゃないワケか』
「今回もガチャめっちゃ回したからね。でもさっきのアレは、エルバがいなかったら瞬殺だよ」
『でもパターンにハメれば、そこからは楽だっただろ』
「エルバがいればこそだよ。その武器で、本当に凄いよね」
『死神の鎌は確かに人気ないし、クセもあるけど慣れたら別にどうってことないんだけどね』
「強者は言うことが違うよね」
お互いに遠慮がない距離感になって、会話も随分砕けたものになってきた。
ここまでくると、確かにタラントさんが、私たちが気が合うと思うと言っていたのも頷ける気がする。
『ドロップアイテムもいい感じに溜まったし、ギルドに戻るか』
「そうだね。調合スキルも上がったし、色々試したい」
『よし、じゃあ一旦……あ、タラントがログインしたっぽい』
「え、あ。本当だ」
フレンドの画面を確認すると、アクティブユーザーの中にタラントさんの名前が表示されている。
『とりあえずギルドに戻ろうか』
「了解」
エルバと一緒にギルドの拠点に戻ると、案の定そこに居たタラントさんのアバターが、手を振りながらジャンプしてるのが見えた。
【よお。お二人さん、お疲れ】
オープンチャットの方から呼びかけがあり、すぐにお疲れ様と文字を打ち込んでメッセージを返す。
エルバも同じように【おつ】と、短い返事を打ったらしく、画面にその文字が表示される。
『タラントにもボイチャ繋いでもらおうか』
「うん。全然いいよ」
私が返事するや否や、エルバが個別に切り替えてボイスチャットしようと、タラントさんにメッセージを送った。
『うわ、見てみロッソ』
「え? なにを」
『ヤバい。もう二十二時過ぎてる』
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『俺は明日も休みだから問題ない。ロッソは』
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二人で結構長く遊んでいたことについて盛り上がっていると、プツッと音声が入る音がしてタラントさんが会話に加わって来た。
『お疲れさん。どうよ、仲良くなったのか』
タラントさんは様子を探るように、アバターに謎のダンスをさせながらにじり寄ってくる。
『なんだよ、そのアクション。気持ち悪いな』
エルバが笑うので、私もつられて笑ってしまう。
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