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偽装2
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「この離宮は、私の正式な愛人を多数住まわせる為に作った物で、お前は、私の愛人のフリをするのだから今日からここがお前の部屋だ」
表情一つ変えないグレンの言葉
に、アシュの背筋が凍る。
「とは言っても、私は、城の中と外に女の愛人が何人かいるが、まだ正式な愛人は面倒で作らなかったから、この離宮に入ったのはお前が最初だ。お前以外、まだ、誰も居ない…」
動けないアシュに、グレンが更に近づく。
コツ、コツ…という、グレンの靴音が、酷くアシュに大きく聞こえ
た。
「アシュ…今日…いや、今から…偽りでいい…私を愛せ…」
グレンは、アシュの両頬をグレンの両手で持ち上げ、アシュを見詰め…
まるで本当の愛の告白のように囁いた。
アシュは、ショックで瞠目してグレンを見詰めた。
話しが…
最初グレンの弟の乳母から、又変な方向へ転がり始め、アシュの焦りは頂点に達した。
一刻も早く、早く、乳母の仕事を降りなければと意を決する。
「あの…グレン様…お話があります
…」
アシュが真剣な眼差しをグレンに向けると、グレンは目を眇めて、黙ってアシュを暫く見詰めた。
しかし、突然、外から部屋をノックする音がした。
頬から手を離したが、まだアシュを見詰めたままグレンが、「入
れ!」と許可した。
入室してきた騎士らしき男は、グレンの耳元でなにやらヒソヒソと話しだす。
その間、グレンとアシュはまだ見詰め合ったままだったが、やがてグレンが眉根を寄せ騎士に言っ
た。
「分かった。今すぐ行く。」
騎士はそれをきき、すぐかなり後ろへ下がった。
余り良い知らせでは無かったのだろうか?とアシュも眉間に皺が寄る。
だが、そのアシュの顔をグレン
が、再び両手で持ち上げグレンの顔を近づけた。
アシュは、急でドキッとしたが、
グレンは全く平気のようだった。
「アシュ…話しは帰ってから聞
く…」
そう言い突然グレンは、アシュの布越しの左胸の乳首を中指でクニクニと触った。
シャツを2枚着ていて、ほんの少しの母乳は出ても吸ってくれそうだが…
「それから…そこも…」
グレンが指を離し、極上の美声で囁き、機嫌良さそうに両方の口角を上げた。
アシュは、恥ずかしさと、何か分からない感情で身震いする。
すぐ近くに騎士もいるというのに…
しかし、更にグレンは、アシュの唇にグレンの唇を近づけた。
完全に、完全に、キスするとしか思えなかったが、そのギリギリで
グレンは唇を止め、キスには至らなかった。
アシュが更に驚いていると、まだ唇同士近くでグレンがかなりの小声で囁いた。
「回りに、お前が愛人だと思わせないといけないからな…キスのフリだ、フリ…」
確かにこの距離なら、後ろにいる騎士には、アシュとグレンがキスしているかのように見えたのだろう。
まだ若い騎士は、顔を少し赤くして、居心地が悪そうに床を見ている。
「いいな…アシュ。私の事だけ、大人しく待っていろ」
そう言い残し、スッと何も無かったかのようにグレンは、アシュに背を向け歩き出した。
「あっ…あの…」
アシュは、その背中に声をかけようとしたが、何かとても慌てているようで、途中で断念せざるを得なかった。
すぐに、パタン…とドアの締まる音が、アシュの耳に冷たく聞こえ
た。
怖い程広く、怖い程豪華で、怖い程静寂な部屋。
恋でも無く、愛も無い…
愛人のフリ?!…
アシュは、呆然としてただ立ち尽くし、暫く閉じたドアを見詰め続けた。
表情一つ変えないグレンの言葉
に、アシュの背筋が凍る。
「とは言っても、私は、城の中と外に女の愛人が何人かいるが、まだ正式な愛人は面倒で作らなかったから、この離宮に入ったのはお前が最初だ。お前以外、まだ、誰も居ない…」
動けないアシュに、グレンが更に近づく。
コツ、コツ…という、グレンの靴音が、酷くアシュに大きく聞こえ
た。
「アシュ…今日…いや、今から…偽りでいい…私を愛せ…」
グレンは、アシュの両頬をグレンの両手で持ち上げ、アシュを見詰め…
まるで本当の愛の告白のように囁いた。
アシュは、ショックで瞠目してグレンを見詰めた。
話しが…
最初グレンの弟の乳母から、又変な方向へ転がり始め、アシュの焦りは頂点に達した。
一刻も早く、早く、乳母の仕事を降りなければと意を決する。
「あの…グレン様…お話があります
…」
アシュが真剣な眼差しをグレンに向けると、グレンは目を眇めて、黙ってアシュを暫く見詰めた。
しかし、突然、外から部屋をノックする音がした。
頬から手を離したが、まだアシュを見詰めたままグレンが、「入
れ!」と許可した。
入室してきた騎士らしき男は、グレンの耳元でなにやらヒソヒソと話しだす。
その間、グレンとアシュはまだ見詰め合ったままだったが、やがてグレンが眉根を寄せ騎士に言っ
た。
「分かった。今すぐ行く。」
騎士はそれをきき、すぐかなり後ろへ下がった。
余り良い知らせでは無かったのだろうか?とアシュも眉間に皺が寄る。
だが、そのアシュの顔をグレン
が、再び両手で持ち上げグレンの顔を近づけた。
アシュは、急でドキッとしたが、
グレンは全く平気のようだった。
「アシュ…話しは帰ってから聞
く…」
そう言い突然グレンは、アシュの布越しの左胸の乳首を中指でクニクニと触った。
シャツを2枚着ていて、ほんの少しの母乳は出ても吸ってくれそうだが…
「それから…そこも…」
グレンが指を離し、極上の美声で囁き、機嫌良さそうに両方の口角を上げた。
アシュは、恥ずかしさと、何か分からない感情で身震いする。
すぐ近くに騎士もいるというのに…
しかし、更にグレンは、アシュの唇にグレンの唇を近づけた。
完全に、完全に、キスするとしか思えなかったが、そのギリギリで
グレンは唇を止め、キスには至らなかった。
アシュが更に驚いていると、まだ唇同士近くでグレンがかなりの小声で囁いた。
「回りに、お前が愛人だと思わせないといけないからな…キスのフリだ、フリ…」
確かにこの距離なら、後ろにいる騎士には、アシュとグレンがキスしているかのように見えたのだろう。
まだ若い騎士は、顔を少し赤くして、居心地が悪そうに床を見ている。
「いいな…アシュ。私の事だけ、大人しく待っていろ」
そう言い残し、スッと何も無かったかのようにグレンは、アシュに背を向け歩き出した。
「あっ…あの…」
アシュは、その背中に声をかけようとしたが、何かとても慌てているようで、途中で断念せざるを得なかった。
すぐに、パタン…とドアの締まる音が、アシュの耳に冷たく聞こえ
た。
怖い程広く、怖い程豪華で、怖い程静寂な部屋。
恋でも無く、愛も無い…
愛人のフリ?!…
アシュは、呆然としてただ立ち尽くし、暫く閉じたドアを見詰め続けた。
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