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偽装
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事が終わるとグレンは、アシュに隣の大部屋に人を呼びに行かせ
た。
そこには、
皆同じ黒のメイド服に白のエプロンをした、圧巻の美しい侍女達が数人待機していた。
その美女達にアシュは、グレンの命令でに大浴場に連れて行かれ
た。
まさか、侍女達に体を洗われるのではないかと、アシュは一瞬焦ったが、大浴場に一人入れられて安堵した。
体を洗い、仕立ての良い白いシャツと黒いズボンに着替える。
普段は、どんなに暑くてもシャツを何枚か重ねる事で、普通の男子より僅かにだが膨らんだ胸と母乳染みを隠してきたアシュだったから、着替えのシャツは3枚頼んでいた。
その後、グレンに呼ばれているという事で、再び侍女達の後を付いて行く。
しかし、今度は一度城内を出て、
ただただ広大な薔薇園の中を通
る。
大理石の大噴水や沢山の美しい彫像の回りには…
そこには、ピンク、白、黄色…
そして、真紅に青…
かわいいものから妖しく美しいものまで…
沢山の花々が葉や蔦を複雑に絡ませ合いながら、色鮮やかに美を競い合っているかのようで、
それぞれ独特の甘い甘い香りが、深く誘惑するように流れてくる。
「何処へ行くのですか?」と、アシュは侍女に聞いたが、
「それは、グレン様直々にお話しされます…」と、何故か酷く冷た気に突き放された。
やがて前方正面に、大きな2階建ての離宮が見えた。
白亜に、愛らしい薄いマゼンダピンクの差し色のコントラストの美しい壁が印象的だ。
豪奢な玄関を入ると、そこは2階まで吹き抜けで、美しい白の渦巻き模様の手摺の螺旋階段が正面にある。
天井には、空を優美に舞うこの国の女神の巨大な絵が下を見下ろしている。
すでに沢山の侍女達が通路の両側に並び、アシュが通ると一斉に頭を下げた。
ただならぬ雰囲気に、アシュに嫌な予感が走った。
(早く!早く!乳母を辞退しないと!)
アシュの脈が早くなり、暑くもないのに嫌な汗が額から滲み出てきた。
離宮内も、城と変わらぬ豪華さ
だ。
螺旋階段を2階へ上がり、又暫く歩き廊下を行くと、侍女がある部屋をノックした。
「入れ!」
聞こえたのは、間違いなくグレンの声だ。
アシュはどんな事があっても、グレンの声だけは絶対間違わない自信があった。
「アシュだけ置いて、お前は下がれ!」
そのグレンの言葉に、ドアを開けすぐ侍女は一礼し立ち去った。
廊下で戸惑うアシュに、グレンが部屋の中から声を掛けた。
「入れ!アシュ!」
人を従わせる強い声に、アシュは
室内の奥に足を踏み入れた。
広い広い部屋には、やはりここ
も、金や銀の派手な装飾がいたる所に散りばめられ、いかにも値の張りそうな拵えのイスやテーブルなどの調度品が、品のとても良い白一色で統一されていた。
しかし、ふとアシュが横を見ると
寝室へのドアが開いていて、その中が見えた。
人が4人は横になれそうな、今は幕の上がった天蓋付きのキングサイズのベッドが存在感が強烈で、アシュの視線を奪った。
更に、そのベッドの頭の方と更に右手の壁の一部は、ベッドの上での姿があらわに映る巨大な鏡張りにされているのがアシュには確認出来たが…
実は左の壁も、鏡に一部占領されていた。
余りに異質な雰囲気にキョロキョロしているアシュに、グレンが不意に言った。
「所で…お前の立場だか…いくら何でも、私に未だに乳母がいるというのは公言出来ない。だから…お前は今日から、表向きは私の愛人という事にする。アシュ。今からお前は、私の愛人のフリをしろ」
「愛人の…フリ…?」
アシュは、話しの内容に付いていけず、グレンの目を見てただ呆然とした。
「まぁ…さっきのように、これからも互いのペニスを愛撫し合う事までならあるだろうが…それ以上は無い」
アシュは、体が硬直した。
「私とお前は、愛し合う仲では決して無い。お前は私の愛人では決して無い。私とお前は、あくまで主人と乳母。それ以上でもそれ以下でも無い。だから愛人のフリをしろ!」
グレンは、ひたすら淡々と続け
る。
た。
そこには、
皆同じ黒のメイド服に白のエプロンをした、圧巻の美しい侍女達が数人待機していた。
その美女達にアシュは、グレンの命令でに大浴場に連れて行かれ
た。
まさか、侍女達に体を洗われるのではないかと、アシュは一瞬焦ったが、大浴場に一人入れられて安堵した。
体を洗い、仕立ての良い白いシャツと黒いズボンに着替える。
普段は、どんなに暑くてもシャツを何枚か重ねる事で、普通の男子より僅かにだが膨らんだ胸と母乳染みを隠してきたアシュだったから、着替えのシャツは3枚頼んでいた。
その後、グレンに呼ばれているという事で、再び侍女達の後を付いて行く。
しかし、今度は一度城内を出て、
ただただ広大な薔薇園の中を通
る。
大理石の大噴水や沢山の美しい彫像の回りには…
そこには、ピンク、白、黄色…
そして、真紅に青…
かわいいものから妖しく美しいものまで…
沢山の花々が葉や蔦を複雑に絡ませ合いながら、色鮮やかに美を競い合っているかのようで、
それぞれ独特の甘い甘い香りが、深く誘惑するように流れてくる。
「何処へ行くのですか?」と、アシュは侍女に聞いたが、
「それは、グレン様直々にお話しされます…」と、何故か酷く冷た気に突き放された。
やがて前方正面に、大きな2階建ての離宮が見えた。
白亜に、愛らしい薄いマゼンダピンクの差し色のコントラストの美しい壁が印象的だ。
豪奢な玄関を入ると、そこは2階まで吹き抜けで、美しい白の渦巻き模様の手摺の螺旋階段が正面にある。
天井には、空を優美に舞うこの国の女神の巨大な絵が下を見下ろしている。
すでに沢山の侍女達が通路の両側に並び、アシュが通ると一斉に頭を下げた。
ただならぬ雰囲気に、アシュに嫌な予感が走った。
(早く!早く!乳母を辞退しないと!)
アシュの脈が早くなり、暑くもないのに嫌な汗が額から滲み出てきた。
離宮内も、城と変わらぬ豪華さ
だ。
螺旋階段を2階へ上がり、又暫く歩き廊下を行くと、侍女がある部屋をノックした。
「入れ!」
聞こえたのは、間違いなくグレンの声だ。
アシュはどんな事があっても、グレンの声だけは絶対間違わない自信があった。
「アシュだけ置いて、お前は下がれ!」
そのグレンの言葉に、ドアを開けすぐ侍女は一礼し立ち去った。
廊下で戸惑うアシュに、グレンが部屋の中から声を掛けた。
「入れ!アシュ!」
人を従わせる強い声に、アシュは
室内の奥に足を踏み入れた。
広い広い部屋には、やはりここ
も、金や銀の派手な装飾がいたる所に散りばめられ、いかにも値の張りそうな拵えのイスやテーブルなどの調度品が、品のとても良い白一色で統一されていた。
しかし、ふとアシュが横を見ると
寝室へのドアが開いていて、その中が見えた。
人が4人は横になれそうな、今は幕の上がった天蓋付きのキングサイズのベッドが存在感が強烈で、アシュの視線を奪った。
更に、そのベッドの頭の方と更に右手の壁の一部は、ベッドの上での姿があらわに映る巨大な鏡張りにされているのがアシュには確認出来たが…
実は左の壁も、鏡に一部占領されていた。
余りに異質な雰囲気にキョロキョロしているアシュに、グレンが不意に言った。
「所で…お前の立場だか…いくら何でも、私に未だに乳母がいるというのは公言出来ない。だから…お前は今日から、表向きは私の愛人という事にする。アシュ。今からお前は、私の愛人のフリをしろ」
「愛人の…フリ…?」
アシュは、話しの内容に付いていけず、グレンの目を見てただ呆然とした。
「まぁ…さっきのように、これからも互いのペニスを愛撫し合う事までならあるだろうが…それ以上は無い」
アシュは、体が硬直した。
「私とお前は、愛し合う仲では決して無い。お前は私の愛人では決して無い。私とお前は、あくまで主人と乳母。それ以上でもそれ以下でも無い。だから愛人のフリをしろ!」
グレンは、ひたすら淡々と続け
る。
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