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恒輝は、色々考え歩きながら、何気に横の明人との間隔を空ける。

すると明人は、前を見たままさり気無く、しかし秒でその間隔を狭めてきた。

そして、又恒輝が少し離れると、
明人は又傍に寄って来る。

(まぁ…田北や花菜とも、こんな風に近くでいつも歩いてるけど…)

でも恒輝は、明人との、互いの手の触れそうな距離感がやたら気になって意識して仕方ない。

そんな中向こうから、次の柔道の授業担当の体育教師が来た。

そして、明人を見て、体育会系の大きな声を出し近づいて来た。

「お前が、彩峰か?いい体格してるな!確かお前、柔道6段持ってるんだってな!お前が俺の授業受けられないなんて残念だよ!」

明人は、いつもの人当たりの良い
人タラシの笑顔で、卒無くそれに答える。

オメガは、アルファやベータとの乱取りなどが禁じられている為、明人も柔道の授業は見学が言い渡されていた。

教師が去って、明人がポツリと言った。

「俺、以前はオメガだけの学校に行ってたから、柔道の授業も普通に受けれたんだ」

「ふぅん…そうなのか…」

恒輝は、何気無い感じで返答したが、柔道6段なんて、そんな簡単に取れる位では無い事位知ってい
た。

それに、これだけ回りから視線を向けられても、明人はいたって平然としている。

(ろっ…6段だとぉ!それに何だよそのテメーの余裕は!やっぱ、テメーの方が俺よりよっぽどアルファっぽいっつーの!)

でも…

恒輝も、話しでは知っていた。

アルファ並の頭脳、運動能力を持つオメガは、一人のアルファに項を噛まれても、全てのアルファを誘惑するフェロモンを止める事が無いと言う事を。

アルファに支配されないオメガ。

逆に、アルファを支配出来るオメガ。

そんな彼ら彼女らは、ハイオメガとして、オメガの頂点に君臨していると言う事を。

恒輝の大嫌いなアルファの兄がいつだったか…

屋敷に呼んだ取巻きの、すでに体の関係のある数人の美しいオメガ達に尊大に言っていたのをふと思い出す。

西島家を継ぐ兄は、自称優秀だとかの血を残す為に、将来同じアルファと結婚しなければならなかった。

だが本当は、最上級のオメガ、ハイオメガと結婚したいと、自分
は、ハイオメガを支配するのが相応しいアルファだとニヤリとしていた。

恒輝は、このオメガをいつも下に見ている兄の態度が今思い出しても腹立たしいが…

(彩峰、お前、ハイオメガだろ?


チラリと、又明人の横顔を見て、恒輝が本人に聞けない事を内心呟き更に思う。

今の時代、ハイオメガかどうか
は、血液検査すればすぐ分かる。

明人も自分がハイオメガかどうかは、普通なら知っているはずだった。

さっき2人きりの教室で、なんとなくごく普通に話しが出来た感じがしたが…

(バカな俺でも分かってんだよ!ど底辺アルファの俺と、ハイオメガの彩峰では、やはり何もかも違い過ぎる。絶対上手くいくはずが無い!)

(頼む!早く、早く俺に愛想つかしてくれ…彩峰…)

そう思いながら恒輝は、又、自然と明人の横顔から視線を外せなくなった。

やかてその視線に気付き、又明人が恒輝を見ると優しく微笑んだ。

恒輝は又、フイと愛想無く横を向いた。








































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