殉剣の焔

みゃー

文字の大きさ
上 下
28 / 181

主の懊悩

しおりを挟む

真矢の冗談の直後から始まった朝霧の淡々とした顔付きや態度は、優に朝霧と出会った当初を思い出させる。


朝霧さんが、一体何を考えているかがわからない。


何故、そんな風になるのか?


あの夜の事は無かったと事というのがすでに確定しているのだか
ら…

仮に部屋の事だったとしても、別々にするのは間違っていないし…

第一その方が世話をかけなくて済むから朝霧さんの為になるはずだし…

真矢さんの事ならフザけるのはいつもの事なのは分かっているだろうし…


そして、又朝霧の顔を見る事が出来なくなり、朝霧が頻繁に優を見ては視線が合いそうになるのでその度に逸した。


こんな事、してる場合じゃないのに…


今は、気持ちを一つにして、観月さん、西宮さん、定吉さんを早く助けないといけないのに…


懊悩が続く。


一方真矢の方は、優達の間の空気を知ってか食事中も明るく振る舞い、特に朝霧に、


「機嫌治せよー!」


「さっきは、冗談じゃん!」


と笑顔で側に寄って行ってはからんでいって、朝霧に、機嫌は悪くありませんから…などと冷たく返されるのを繰り返していた。


風呂は夕食後だった。


しかし、優は、風呂に入っている間朝霧に、半透明の風呂ガラス扉の脱衣室側に警護だと立たれて、ゆっくり入浴できなかった。


昨夜は脱衣室前、廊下で立っていたのに。


真矢の言葉通り、すでに優の身体は疼き始め肉茎がガチガチに勃ち上がっていたが、ガラス越しに常にこちらを視られていて行動がバレるので自慰する事もままならなかった。


流石に優が風呂から脱衣室に戻る時は朝霧は廊下に出た。


だが、朝霧は優と廊下で再会すると、知ってか知らずか優が股間の起立を隠す為にさり気なく持っていたバスタオルを隙をついて無言でさっと奪い取り、酷く優しい手つきでまだかなり濡れていた優の黒髪を拭いた。


この下半身の状況でこんな風に触れられるのは、優には逆にむごたらしい事だ。


しかし…


振り払う事なんて出来ない。


きっとこれは、臣下としての心遣い、優しさだけだから。


「すいません…」 


下を向き震えるのを我慢して、優が呟いた。


「いいえ…」


朴訥と朝霧は呟くと、グイっと主である優の顔を右手で持ち上げ強引に上を向かせた。


一瞬、二人の視線が重なり合う。


そしてその朝霧の仕草が、驚く優に二人の肉交の生々しさを思い出させてしまう。


優は、さっと頬に朱を走らせた。


そして気の所為か、朝霧の目元が一瞬僅かに緩んだ様に見えて、思い出したのを悟られたのではないかと焦ってしまうが、まるで優を愛撫している様に拭き続ける朝霧の顔は、もう一度見直すとやはり淡々としていた。


手の動きと表情の乖離が余りに激しく感じる。


それでも、更に目を閉じ心を鎮めながらされるままになっている
と…

自分の浴衣の下の勃起が隠しきれないまま…

朝霧は見ていないようで見ていて絶対気づいているだろうと、恥心でジリジリと火で焼かれている様だ。


願い通りいつの間にか二部屋に一つづつひかれていた布団に、朝霧は文句を言わずやはり事務的に、


「おやすみなさいませ、主…」


とだけ優に告げて、自分用の部屋に入って行った。


優も自分用の部屋に入り、又小さな明かりを点けたまま先に足だけ布団に入れた。


「はぁ…」


安堵と一緒に、妖しく艶めかしい息が零れた。


やっと、やっと、ちんちんいじれる…


もう、もう、ちんちん破裂しそう…


その心の呟きは、周囲に与える清冽な印象からはおよそかけ離れた卑猥なものだ。



枕元には、真矢が又勝手に置いておいた、ティッシュとローションと、やはりコンドームが今度はかご大盛り。


本当に、エロダヌキ!


そうまた呆れながらふと、据え置き電話の子機も枕元に置いてあるのも見る。


そして、ついさっき、朝霧が風呂に入っている時、真矢が自分のスマホの番号を書いた紙を優に渡してきたのを思い出した。



どうしても辛くて我慢できなかったら、いつでもいいから呼んで!


番号と一緒に、そう書かれてい
る。


あの人、どこまで本気か、さっぱりわからないな…


無論元より呼ぶ気はないが、優は溜息をつくと、破くまでは気がひけたので紙を折って、近くにたたんで置いてあったジーンズのポケットに入れた。


もう、限界だった。


優は、慌ててティッシュを数枚取り布団の中に潜り込み、猛々しく勃ち上がった雄の証しを下着から勢いよく出した。





























しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

ぼくのうた きみのこえ~発情期を抑えるために番になることは許されますか?~

つきよの
BL
「璃玖が発情期を迎える時、必ず璃玖の前に戻ってきて、もう一度告白する。璃玖とデビューして番になるために」 「なに言って……」 「璃玖と番になるのは俺だ」 好きだけでは一緒にいられない。 運命に抗うか、それとも従うことしかできないのか……。 世代の違う二組が運命の番の力に翻弄され、糸は複雑に絡み合う。 発情期抑制剤は発達したが、まだまだΩ差別が残るこの世界。 アイドルデビューを目指そうと約束した璃玖と一樹だったが、璃玖がΩで抑制剤が効かない可能性が……。 それを知った一樹は、璃玖に想いを伝えるが……。 迷う璃玖の前に元人気アイドルの聖が現れ、そっと手を差し出す。 「ねぇ、璃玖君は……変わりたいと思わないの?」 好きな人を運命の相手に奪われてしまった聖が、璃玖に近づいた本当の狙いとは……。 illustration:玖森様

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

処理中です...