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主の懊悩
しおりを挟む真矢の冗談の直後から始まった朝霧の淡々とした顔付きや態度は、優に朝霧と出会った当初を思い出させる。
朝霧さんが、一体何を考えているかがわからない。
何故、そんな風になるのか?
あの夜の事は無かったと事というのがすでに確定しているのだか
ら…
仮に部屋の事だったとしても、別々にするのは間違っていないし…
第一その方が世話をかけなくて済むから朝霧さんの為になるはずだし…
真矢さんの事ならフザけるのはいつもの事なのは分かっているだろうし…
そして、又朝霧の顔を見る事が出来なくなり、朝霧が頻繁に優を見ては視線が合いそうになるのでその度に逸した。
こんな事、してる場合じゃないのに…
今は、気持ちを一つにして、観月さん、西宮さん、定吉さんを早く助けないといけないのに…
懊悩が続く。
一方真矢の方は、優達の間の空気を知ってか食事中も明るく振る舞い、特に朝霧に、
「機嫌治せよー!」
「さっきは、冗談じゃん!」
と笑顔で側に寄って行ってはからんでいって、朝霧に、機嫌は悪くありませんから…などと冷たく返されるのを繰り返していた。
風呂は夕食後だった。
しかし、優は、風呂に入っている間朝霧に、半透明の風呂ガラス扉の脱衣室側に警護だと立たれて、ゆっくり入浴できなかった。
昨夜は脱衣室前、廊下で立っていたのに。
真矢の言葉通り、すでに優の身体は疼き始め肉茎がガチガチに勃ち上がっていたが、ガラス越しに常にこちらを視られていて行動がバレるので自慰する事もままならなかった。
流石に優が風呂から脱衣室に戻る時は朝霧は廊下に出た。
だが、朝霧は優と廊下で再会すると、知ってか知らずか優が股間の起立を隠す為にさり気なく持っていたバスタオルを隙をついて無言でさっと奪い取り、酷く優しい手つきでまだかなり濡れていた優の黒髪を拭いた。
この下半身の状況でこんな風に触れられるのは、優には逆にむごたらしい事だ。
しかし…
振り払う事なんて出来ない。
きっとこれは、臣下としての心遣い、優しさだけだから。
「すいません…」
下を向き震えるのを我慢して、優が呟いた。
「いいえ…」
朴訥と朝霧は呟くと、グイっと主である優の顔を右手で持ち上げ強引に上を向かせた。
一瞬、二人の視線が重なり合う。
そしてその朝霧の仕草が、驚く優に二人の肉交の生々しさを思い出させてしまう。
優は、さっと頬に朱を走らせた。
そして気の所為か、朝霧の目元が一瞬僅かに緩んだ様に見えて、思い出したのを悟られたのではないかと焦ってしまうが、まるで優を愛撫している様に拭き続ける朝霧の顔は、もう一度見直すとやはり淡々としていた。
手の動きと表情の乖離が余りに激しく感じる。
それでも、更に目を閉じ心を鎮めながらされるままになっている
と…
自分の浴衣の下の勃起が隠しきれないまま…
朝霧は見ていないようで見ていて絶対気づいているだろうと、恥心でジリジリと火で焼かれている様だ。
願い通りいつの間にか二部屋に一つづつひかれていた布団に、朝霧は文句を言わずやはり事務的に、
「おやすみなさいませ、主…」
とだけ優に告げて、自分用の部屋に入って行った。
優も自分用の部屋に入り、又小さな明かりを点けたまま先に足だけ布団に入れた。
「はぁ…」
安堵と一緒に、妖しく艶めかしい息が零れた。
やっと、やっと、ちんちんいじれる…
もう、もう、ちんちん破裂しそう…
その心の呟きは、周囲に与える清冽な印象からはおよそかけ離れた卑猥なものだ。
枕元には、真矢が又勝手に置いておいた、ティッシュとローションと、やはりコンドームが今度はかご大盛り。
本当に、エロダヌキ!
そうまた呆れながらふと、据え置き電話の子機も枕元に置いてあるのも見る。
そして、ついさっき、朝霧が風呂に入っている時、真矢が自分のスマホの番号を書いた紙を優に渡してきたのを思い出した。
どうしても辛くて我慢できなかったら、いつでもいいから呼んで!
番号と一緒に、そう書かれてい
る。
あの人、どこまで本気か、さっぱりわからないな…
無論元より呼ぶ気はないが、優は溜息をつくと、破くまでは気がひけたので紙を折って、近くにたたんで置いてあったジーンズのポケットに入れた。
もう、限界だった。
優は、慌ててティッシュを数枚取り布団の中に潜り込み、猛々しく勃ち上がった雄の証しを下着から勢いよく出した。
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