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明け方
しおりを挟む暖かく、柔らかい布団の上だろうか?
優は、全裸で仰向けで淫らに膝を曲げ股を大きく開き、チュッチュッと誰かの口付けと頬擦り、そして甘噛みを、太腿に執拗に何度も受けている。
「は…んっ…又、又、勃ってしまう…もう、もう、一杯出したのに…」
上を向き甘美に鳴きながら、余りの悦びに涙を流し、強く相手の肩位までの髪を快感の余り右手で掻き回し、その汗で湿った首から肩を撫でると、筋肉が発達している感じから男だと分かる。
男?!
優は驚きながら、嫌な気が全くしない自分に戸惑う。
でも、そうなのだ、自分はこれを知っている。
いつか昔、こんな事があったのだ。
相手は優の、射精し過ぎて休息しているオス肉に近い所ギリギリを攻めてとても意地悪に愛撫してくる。
我慢し切れなくて、自分から相手の顔に太腿を更に寄せて自ら何度も擦りつけた。
「そこじゃ無い、早く、早く、おち○ち○しゃぶって!しゃぶってぇ!」
優の絶叫に、相手が鼻でクスっと笑い、その息がオス肉にかかる。
「あぁっ…もう、ダメ、ダメ…又」
優の身体がピクピクピクと甘く震え、何度も吐精してぐったりしていたオス肉が又勃ち上がりかけた。
だが、その時…
「ハル…春光!」
聞き覚えの有る声に、優は、閉じていた瞼をゆっくり上げた。
「うっ、わー!」
布団の上で現実の朝を迎えた優の身体の上に、人型に戻った桜の精、小寿郎が居て、互いの顔が彼の面越しに唇が触れる位近くにあって名を呼んでいたから、優は思わず絶叫した。
ザッっと襖が開いた。
隣部屋に寝ていた朝霧と観月が形相を変え、寝間着のまま妖刀を手に入って来た。
「何のつもりだ!」
朝霧と観月は、同じ言葉を同時に発し、同じ様に抜き身の刃を小寿郎に向けた。
それは、優の前世の春陽が朝霧と観月の前世に与えた妖刀。
その刃は、あやかしの類から亡霊まで斬り裂ける。
朝霧と観月は、本気で小寿郎を牽制してきた。
「ふーん…お互い間が合って、仲がいいねぇ、御二人さんは…」
優の上から、ふざける様に小寿郎が言った。
見かけによらず八十八年生きているらしいが、やはり優より少し小さい身体からして、少年が大人に向かって生意気な態度を取っているにしか見えず、朝霧達は平静な様だが、内心苛立っていても仕方
ない言い方だ。
慌ただしい音と共に、西宮と定吉が、彼等もまた浴衣のまま刀を手に走って来た。
「ご、ご無事ですか?」
西宮が眉根を寄せて優を見ると、
定吉が何事ですかと尋ねたので、
優は事のあらましを伝えた。
その内朝霧が、勢い良く優から小寿郎を引き剥がした。
「朝霧!貴様!」
小寿郎はイラ立つが、朝霧は意に介さない。
「こ、小寿郎、何してんの?」
優が、焦って上半身を起こす。
目覚めた時点で、見ていた夢の内容は殆ど忘れてしまっていた。
「何って、お前が、寝ながらうんうん何か言ってるから、何だと思って覗いてただけだろうが」
小寿郎は、布団の上で胡座をかき腕組みして、拗ねた様に横を向いた。
「そ、そうだったんだ。でも、人型になってる。し、しかも!」
周囲の殺伐とした雰囲気を全く介さず、優が嬉しそうに目を輝かせた。
「ねっ、猫耳が生えてる!しかもしっぽも!」
そう言って、優が小寿郎の頭の上にいつの間にか付いた耳を少し撫でると、身体全体もピクピクピクと反応して声が少し上ずった。
「満月だから…だよ…耳としっぽは、勝手に付いてきやがった」
「ああ、何かそんな事言ってたよな。耳、それいいな」
優は、呑気にくすっと笑い又猫耳を触ると、桜の精相手に不尊かもしれないが、次に金髪の頭頂部を撫で撫でした。
「春光!私を子供扱いする気か?
!」
小寿郎が、腕組みしたまま不服そうな声を上げ優の方を見た。
「いや、そんなつもりは…」
面で表情は読み取れないが、まるで本当の猫が不貞腐れてるように可愛く見えて、優は苦笑いした。
朝霧はそんな優を見て、何故か眉間に皺を寄せながら刀を鞘に戻した。
「小寿郎…」
観月も、刀をしまいながら低い声を出した。
まだ出会って数日だが、彼がこのトーンを出すのは、とてもいい声ではあるがあまりいい兆候で無いのは身に沁みて分かっているので、優は内心ハラハラする。
「今度こんな事をすれば、ここから摘み出すぞ」
その観月の言葉に、表情を映さない白い面が彼の方を向いた。
「誤解するなよ、観月。お前の主は、春光だ。私は、お前に付いた訳じゃない。春光に付いたんだ。私を摘み出せるのは、春光だけだからな」
「俺に付いたって何?」
優は、怪訝そうに小寿郎を見た。
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