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高校生編
27 春の海で(5)
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大翔は先にハンモックに座ると僕を抱えてゆっくりと横になる。
ランタンを消すと辺りが真っ暗になる。
僕は半身を大翔の体に預けて上を向くと、目が暗さに慣れてくる。
今日は新月だから月の明かりが一切ない、真っ黒の空に落ちて来そうなほどに瞬く星が広がる。
「すごい…綺麗。」
キラキラと輝く天の川が頭上に広がる。
「凛、あそこ…水平線の近くに見えるのが南十字星だよ。」
僕は上半身を起こして目を凝らすと水平線の上に見える一際輝く4つの星。
「あれ?」
「そう。これぐらいの時期だと22時すぎないと見れないんだ。」
海のもっと先、ずっと奥の方で光る星は北半球だとほとんど見れない南十字座。
「近くに似たような星があってね、ニセ十字って呼ばれてるんだ。」
「あ、確かに近くにおんなじような星がある!」
南十字座はすごく小さい。
近くには大きなケンタウルス座があって、元々はそれを構成する星の一つだったとか。
カナダに住んでた頃、秋に国立公園に行って見た星空もすごく綺麗だったんだけど、今ここで見る星空とは全然違う。
みているのは同じ星なのに、隣に大翔がいるからかな…僕は大翔に抱きついてまたハンモックに寝っ転がる。
夜は少しだけ肌寒いから薄手のパーカーを着て来たんだけど、まだちょっと寒いから大翔にくっついて暖を取る。
「凛寒い?」
「うん、でもくっついてたらあったかいよ。」
大翔の体にくっ付いてると暖かくて、胸に耳を付けてると心音が聞こえてくる呼吸と共に少しだけ上下する胸に抱きついて少しだけ大翔の顔を見る。
大翔は僕の視線に気づいたのか、こっちをみて微笑んでる。
今なら…誘えるかな…。
そもそも誘うってどうすれば良いんだろ…。
僕はきゅっと大翔のシャツを掴んで引っ張る、大翔がこっちを向いたので大翔の唇にキスをする。
「凛?」
「…き、キスしたい…。」
こんなんで誘惑なんてできるんだろうか…。
いや、僕は今回やるって決めたんだ!
なんとかキスしたいって言ったけど…それ以上のこと言えるのかな…。
大翔はゆっくりと僕に覆い被さるようにしてキスをくれる。ここで大翔に抱きついて、僕から舌を入れて大翔の舌に絡ませる。
「んっ、凛どうしたの?」
「はぁっ、な、何が?」
「他のこと、考えてるでしょ。」
「か、考えてないよ…。」
どうして僕ってこんなわかりやすいんだ、他のこと考えてると大翔にバレちゃう…。
だけど、大翔に最後までしてなんて…言えない…断られたら多分すごい落ち込みそう…。
考えただけで悲しくなっちゃうんだ。
「凛?」
「大翔ともっとくっついて…キス…したいなって…。」
「いいよ。」
大翔は僕を抱きかかえて、体を反転させると僕を体の上に乗せる。
「凛からして?」
「う、うん。」
僕は大翔の上に乗っかったまま大翔の唇に口付ける。
舌を差し込んで、舌同士を擦り合わせて深くキスをする。
浜辺には波の音と僕らの口から漏れる水音と呼吸だけが響く。
時折吹く風が浜辺の周りの草を揺らすけど、僕は大翔の舌を追いかけることに必死だ。
「ふぁっ、ん、ひろと…。」
「俺がいつもしてるみたいにしてみて。」
大翔がいつもしてくれるキス、舌を絡ませて吸い上げて少し上顎を擦る。大翔と僕の唾液が混ざり合って大翔がそれを飲み込んでいく。
下唇を引っ張るように甘噛みをして、何度も角度を変えてキスを繰り返す。
「ん、ンンッ、ひろ…と…。」
「凛…腰が揺れてる…キス気持ちいい?」
「ぅん、気持ちいい…。」
大翔のキスは甘くって、ふわふわして気持ちいいんだ、たまに強く舌を吸われて痺れちゃうこともあるけど。
頭ん中が大翔でいっぱいになる、もう大翔のことしか考えられなくなって。
キスしただけで体がゾクゾク震えるし、胸だってジンジンしてくる。前も後ろもキュンとして、もっと大翔に触って欲しいってなるんだ。
「ひろと…。」
「部屋戻ろうか、冷えて来ただろ。」
大翔はランタンをつけると僕を縦抱きに抱っこすると砂浜を歩き出す。
さっき通って来た道を通り過ぎて歩くと木の影に木製の壁が見える。
大翔がポケットから出したカードキーを機械に当てると鍵が開いて、扉を開けて中に進む。
「ここ…。」
「ん、俺たちの部屋だよ。砂浜とバルコニーが繋がってるんだ。」
大翔は僕の額に何度もキスをしながらバルコニーに足を踏み入れる。
部屋に入る前にガゼボにあるベッドに座らせると足についた砂を水で流して、タオルで拭いてくれる。
「どうする?冷えたから少しお風呂入る?ジャグジーもあるけど。」
うっ…ちょっと冷えたから…ジャグジー入りたいな…。ジャグジーて誘惑すれば良いのかな…。
「ジャグジー…一緒に入ろ…。」
「今日の凛は積極的だね、どうしたの?」
「…大翔と一緒にいたいんだもん…だめ?」
「ふふ、だめじゃ無いよ、嬉しい。」
大翔が僕の服を脱がしてくれるから、僕も大翔のシャツに手をかける。
緊張して手がちょっと震えてしまう…、こんなことじゃ大翔を誘えないぞ!しっかりしろ自分!
二人で裸になってシャワーブースで簡単に砂と汗を流す。
大翔は服を着てる時そこまで筋肉があるように見えないのに、程よく筋肉がついているので体も厚みがあるしお腹も6つに割れている。
僕はボディソープがついた手で筋肉を確かめるように肌を撫でると、大翔の体がピクリと反応した。
「くすぐったかった?」
「…ちょっとね。」
二人が入れるぐらいのシャワーブースでくっついて体を洗って、ジャグジーへと足を伸ばす。
お手伝いさんが用意してくれてたんだろうか花びらが浮いている。
本当にハネムーンみたいだ…。
「どうしたの?さっきから笑ってるけど。」
「ん?ちょっとね、ハネムーンみたいだなぁって思ったんだ。フラワーバスとかそれっぽくない?」
「確かにな。」
滑らないように気をつけてジャグジーの中に足を入れていく。
大翔が先に胡座をかいて座るので僕はその横に入ろうとしたんだけど、大翔の足の間に収まることになった。
いつもは服を着た状態だからあまり気にならないんだけど…。
そうじゃない時って結構ふわふわした状態で入ってることが多いし。
誘うぞ!ってなると意識して緊張しているせいか、この場所すごく…座りずらい。
お尻に大翔のものが当たるんだもん!
いや…誘惑するならそっちの方がいいのかな…。
でも僕の精神があまり保たない気がする、どうしよう急に恥ずかしくなってきてしまった。
僕がソワソワしていたからか大翔が僕のお腹に腕を回して体を密着させてくる。
「ひゃっ!」
「どうした?凛…。」
み…耳元で囁かないでぇ!
誘惑しようと思ってたけど…これ無理なんじゃないのかな…。
いや、頑張るって決めたんだ!
「ぅ、ちょっと…恥ずかし…」
「さっきも裸だったよ?」
「そ、そうなんだけど…あの、その…。」
大翔は僕を後ろから抱きしめたまま首筋にキスをする。
この旅に来るのに外を移動する時だけプロテクターをつけていて宿についてからすぐに大翔が外してくれた。
寮が離れているときは基本つけておくように言われてたけど、一緒に住むようになってからは学校に行ったり外出したりする時だけつけていて寮にいる間は外している。
大翔以外が噛まないようにするためのプロテクターだから一緒にいる時はいらないって言われてしまった。
お風呂に入ったりするとき、気になるから外せるようになったのはすごく嬉しい。
僕の何もない頸にキスを繰り返しては抱きしめて、花の香りが漂うジャグジーに浸かっている。
「凛は夕食の前ぐらいから何かずっと考えてるね…。」
「えっ!そ、そんなこと…。」
「俺には言えないこと?」
僕が振り向いて大翔の顔を覗き込むと、大翔はちょっとだけ悲しそうな目をしてる…。
…捨てられた子犬みたいな目…か、かわいい…。
イケメンなのに…かわいい…ずるい…。
たまにこの顔するんだけど、僕がこの顔に弱いの知っててやってる気がする。
でも何度も言うけどこの表情に弱いから毎回すぐ口を割ってしまうし許してしまう。
良くないとはわかっているんだけど…この顔されると強く言えないんだよ…。
「ねぇ、凛…俺に隠し事するの?」
「ゔぅっ…。」
「りーんー。ねぇ何考えてたの?」
うぅう…決意して数時間しか経ってないのに…すでに折れそう…。
どうする?ここは正直に言ってみる?
断られたら多分…この場で泣き出しそうだけど…。
でも多分言うまで逃してくれないこともわかってる。
「…あ、あのね…、あの…。」
「ん?何?」
「あ…あの…その…大翔とねえっちなことするようになったでしょ?」
「えっち…あぁ、そう、だな…。」
「でも、さ…最後までしないって…言われてるんだけど…その…シテ欲しいなって…。」
「…。」
「さ、最後まで…大翔にして、欲しいなって思ったから…その僕から、誘えば…してくれるかなって。」
い…言った!
大翔は黙って…っていうか固まってる…?
やっぱダメだったかな…、ヤラシイって思われた?
「ひ、大翔…?」
「…はぁ。」
えっ!ため息!?ため息ついたよね…やっぱダメだったんだ…。
したく…ないわけじゃないと、思うけど…でも大翔は僕のことを大切に思ってくれてるのに…その僕がそれを覆すってのはやっぱりナシだったのかな…。
「…ダメならいいんだ、僕も…その番に…なるまで我慢するし、もう…こんなこと…言わな…。」
「違う!凛!そうじゃない!」
僕がちょっと俯いて前に向き直ると大翔がぎゅっと肩を抱き締める。
「凛…嫌じゃない。ダメでもない…凛のことは大事にしたいって思ってる。凛が求めてくれるのは凄く嬉しい、ただ自分で最後までしないって宣言したのに…それをすぐ撤回するのはどうなのかって…。」
「ほんと?嫌じゃない?僕としたいって思ってくれてる?」
「当たり前だろ?ずっと我慢してるって言ってるのに。」
「…我慢しなくていいのに…。」
「うっ…凛…。」
大翔は僕の肩に額を預けて頷いたまま何か唸っている。
「えっ、大翔?どうしたの?」
「…煩悩と戦ってる…。」
我慢しなくていいって言ったのに…。大翔もしたいし僕もしたい、だけどこの前宣言したばかりだからすぐに撤回するのは大翔の中の矜持ってやつなのかも…。
じゃあやっぱり僕が誘惑すればいいんだ!
「大翔!僕この旅行の間いっぱい誘惑するね!」
「ん?待って?凛、どうしてそうなったの?」
「え?大翔も僕もしたいけど、この前宣言したのが気になってるんでしょ?だから僕が誘惑するから、大翔が誘惑に負けたら最後までしよ?」
「…ん?」
「あんまり細かいことはいいの!大翔は我慢して?僕がいっぱい誘惑するから!」
「うん?…うーん。」
「大翔くん返事は?」
「え?あ、はい。」
ふふ、一旦諦めたけど今日からいっぱい大翔を誘惑するぞ!
最後までやっぱりして欲しいもんね。
どうやって誘惑するかは全然思いつかない…礼央くんに相談してみようかな。
今日はもう疲れただろうからって、何もせず…ではなかったかな触ったりはした…。
でも二人でベッドに寝っ転がって話してたら気づいたら寝ていた。
寝る前に礼央くんにチャットだけ飛ばしておいた。
起きたら返事あるかな~。
ーーー
RIN:礼央くん!!!誘惑の仕方教えて欲しい!!
RIN:大翔をね!誘惑したいの!!教えて~!
ーーー
深夜別棟では何やら叫び声が上がったとか上がってないとか。
ランタンを消すと辺りが真っ暗になる。
僕は半身を大翔の体に預けて上を向くと、目が暗さに慣れてくる。
今日は新月だから月の明かりが一切ない、真っ黒の空に落ちて来そうなほどに瞬く星が広がる。
「すごい…綺麗。」
キラキラと輝く天の川が頭上に広がる。
「凛、あそこ…水平線の近くに見えるのが南十字星だよ。」
僕は上半身を起こして目を凝らすと水平線の上に見える一際輝く4つの星。
「あれ?」
「そう。これぐらいの時期だと22時すぎないと見れないんだ。」
海のもっと先、ずっと奥の方で光る星は北半球だとほとんど見れない南十字座。
「近くに似たような星があってね、ニセ十字って呼ばれてるんだ。」
「あ、確かに近くにおんなじような星がある!」
南十字座はすごく小さい。
近くには大きなケンタウルス座があって、元々はそれを構成する星の一つだったとか。
カナダに住んでた頃、秋に国立公園に行って見た星空もすごく綺麗だったんだけど、今ここで見る星空とは全然違う。
みているのは同じ星なのに、隣に大翔がいるからかな…僕は大翔に抱きついてまたハンモックに寝っ転がる。
夜は少しだけ肌寒いから薄手のパーカーを着て来たんだけど、まだちょっと寒いから大翔にくっついて暖を取る。
「凛寒い?」
「うん、でもくっついてたらあったかいよ。」
大翔の体にくっ付いてると暖かくて、胸に耳を付けてると心音が聞こえてくる呼吸と共に少しだけ上下する胸に抱きついて少しだけ大翔の顔を見る。
大翔は僕の視線に気づいたのか、こっちをみて微笑んでる。
今なら…誘えるかな…。
そもそも誘うってどうすれば良いんだろ…。
僕はきゅっと大翔のシャツを掴んで引っ張る、大翔がこっちを向いたので大翔の唇にキスをする。
「凛?」
「…き、キスしたい…。」
こんなんで誘惑なんてできるんだろうか…。
いや、僕は今回やるって決めたんだ!
なんとかキスしたいって言ったけど…それ以上のこと言えるのかな…。
大翔はゆっくりと僕に覆い被さるようにしてキスをくれる。ここで大翔に抱きついて、僕から舌を入れて大翔の舌に絡ませる。
「んっ、凛どうしたの?」
「はぁっ、な、何が?」
「他のこと、考えてるでしょ。」
「か、考えてないよ…。」
どうして僕ってこんなわかりやすいんだ、他のこと考えてると大翔にバレちゃう…。
だけど、大翔に最後までしてなんて…言えない…断られたら多分すごい落ち込みそう…。
考えただけで悲しくなっちゃうんだ。
「凛?」
「大翔ともっとくっついて…キス…したいなって…。」
「いいよ。」
大翔は僕を抱きかかえて、体を反転させると僕を体の上に乗せる。
「凛からして?」
「う、うん。」
僕は大翔の上に乗っかったまま大翔の唇に口付ける。
舌を差し込んで、舌同士を擦り合わせて深くキスをする。
浜辺には波の音と僕らの口から漏れる水音と呼吸だけが響く。
時折吹く風が浜辺の周りの草を揺らすけど、僕は大翔の舌を追いかけることに必死だ。
「ふぁっ、ん、ひろと…。」
「俺がいつもしてるみたいにしてみて。」
大翔がいつもしてくれるキス、舌を絡ませて吸い上げて少し上顎を擦る。大翔と僕の唾液が混ざり合って大翔がそれを飲み込んでいく。
下唇を引っ張るように甘噛みをして、何度も角度を変えてキスを繰り返す。
「ん、ンンッ、ひろ…と…。」
「凛…腰が揺れてる…キス気持ちいい?」
「ぅん、気持ちいい…。」
大翔のキスは甘くって、ふわふわして気持ちいいんだ、たまに強く舌を吸われて痺れちゃうこともあるけど。
頭ん中が大翔でいっぱいになる、もう大翔のことしか考えられなくなって。
キスしただけで体がゾクゾク震えるし、胸だってジンジンしてくる。前も後ろもキュンとして、もっと大翔に触って欲しいってなるんだ。
「ひろと…。」
「部屋戻ろうか、冷えて来ただろ。」
大翔はランタンをつけると僕を縦抱きに抱っこすると砂浜を歩き出す。
さっき通って来た道を通り過ぎて歩くと木の影に木製の壁が見える。
大翔がポケットから出したカードキーを機械に当てると鍵が開いて、扉を開けて中に進む。
「ここ…。」
「ん、俺たちの部屋だよ。砂浜とバルコニーが繋がってるんだ。」
大翔は僕の額に何度もキスをしながらバルコニーに足を踏み入れる。
部屋に入る前にガゼボにあるベッドに座らせると足についた砂を水で流して、タオルで拭いてくれる。
「どうする?冷えたから少しお風呂入る?ジャグジーもあるけど。」
うっ…ちょっと冷えたから…ジャグジー入りたいな…。ジャグジーて誘惑すれば良いのかな…。
「ジャグジー…一緒に入ろ…。」
「今日の凛は積極的だね、どうしたの?」
「…大翔と一緒にいたいんだもん…だめ?」
「ふふ、だめじゃ無いよ、嬉しい。」
大翔が僕の服を脱がしてくれるから、僕も大翔のシャツに手をかける。
緊張して手がちょっと震えてしまう…、こんなことじゃ大翔を誘えないぞ!しっかりしろ自分!
二人で裸になってシャワーブースで簡単に砂と汗を流す。
大翔は服を着てる時そこまで筋肉があるように見えないのに、程よく筋肉がついているので体も厚みがあるしお腹も6つに割れている。
僕はボディソープがついた手で筋肉を確かめるように肌を撫でると、大翔の体がピクリと反応した。
「くすぐったかった?」
「…ちょっとね。」
二人が入れるぐらいのシャワーブースでくっついて体を洗って、ジャグジーへと足を伸ばす。
お手伝いさんが用意してくれてたんだろうか花びらが浮いている。
本当にハネムーンみたいだ…。
「どうしたの?さっきから笑ってるけど。」
「ん?ちょっとね、ハネムーンみたいだなぁって思ったんだ。フラワーバスとかそれっぽくない?」
「確かにな。」
滑らないように気をつけてジャグジーの中に足を入れていく。
大翔が先に胡座をかいて座るので僕はその横に入ろうとしたんだけど、大翔の足の間に収まることになった。
いつもは服を着た状態だからあまり気にならないんだけど…。
そうじゃない時って結構ふわふわした状態で入ってることが多いし。
誘うぞ!ってなると意識して緊張しているせいか、この場所すごく…座りずらい。
お尻に大翔のものが当たるんだもん!
いや…誘惑するならそっちの方がいいのかな…。
でも僕の精神があまり保たない気がする、どうしよう急に恥ずかしくなってきてしまった。
僕がソワソワしていたからか大翔が僕のお腹に腕を回して体を密着させてくる。
「ひゃっ!」
「どうした?凛…。」
み…耳元で囁かないでぇ!
誘惑しようと思ってたけど…これ無理なんじゃないのかな…。
いや、頑張るって決めたんだ!
「ぅ、ちょっと…恥ずかし…」
「さっきも裸だったよ?」
「そ、そうなんだけど…あの、その…。」
大翔は僕を後ろから抱きしめたまま首筋にキスをする。
この旅に来るのに外を移動する時だけプロテクターをつけていて宿についてからすぐに大翔が外してくれた。
寮が離れているときは基本つけておくように言われてたけど、一緒に住むようになってからは学校に行ったり外出したりする時だけつけていて寮にいる間は外している。
大翔以外が噛まないようにするためのプロテクターだから一緒にいる時はいらないって言われてしまった。
お風呂に入ったりするとき、気になるから外せるようになったのはすごく嬉しい。
僕の何もない頸にキスを繰り返しては抱きしめて、花の香りが漂うジャグジーに浸かっている。
「凛は夕食の前ぐらいから何かずっと考えてるね…。」
「えっ!そ、そんなこと…。」
「俺には言えないこと?」
僕が振り向いて大翔の顔を覗き込むと、大翔はちょっとだけ悲しそうな目をしてる…。
…捨てられた子犬みたいな目…か、かわいい…。
イケメンなのに…かわいい…ずるい…。
たまにこの顔するんだけど、僕がこの顔に弱いの知っててやってる気がする。
でも何度も言うけどこの表情に弱いから毎回すぐ口を割ってしまうし許してしまう。
良くないとはわかっているんだけど…この顔されると強く言えないんだよ…。
「ねぇ、凛…俺に隠し事するの?」
「ゔぅっ…。」
「りーんー。ねぇ何考えてたの?」
うぅう…決意して数時間しか経ってないのに…すでに折れそう…。
どうする?ここは正直に言ってみる?
断られたら多分…この場で泣き出しそうだけど…。
でも多分言うまで逃してくれないこともわかってる。
「…あ、あのね…、あの…。」
「ん?何?」
「あ…あの…その…大翔とねえっちなことするようになったでしょ?」
「えっち…あぁ、そう、だな…。」
「でも、さ…最後までしないって…言われてるんだけど…その…シテ欲しいなって…。」
「…。」
「さ、最後まで…大翔にして、欲しいなって思ったから…その僕から、誘えば…してくれるかなって。」
い…言った!
大翔は黙って…っていうか固まってる…?
やっぱダメだったかな…、ヤラシイって思われた?
「ひ、大翔…?」
「…はぁ。」
えっ!ため息!?ため息ついたよね…やっぱダメだったんだ…。
したく…ないわけじゃないと、思うけど…でも大翔は僕のことを大切に思ってくれてるのに…その僕がそれを覆すってのはやっぱりナシだったのかな…。
「…ダメならいいんだ、僕も…その番に…なるまで我慢するし、もう…こんなこと…言わな…。」
「違う!凛!そうじゃない!」
僕がちょっと俯いて前に向き直ると大翔がぎゅっと肩を抱き締める。
「凛…嫌じゃない。ダメでもない…凛のことは大事にしたいって思ってる。凛が求めてくれるのは凄く嬉しい、ただ自分で最後までしないって宣言したのに…それをすぐ撤回するのはどうなのかって…。」
「ほんと?嫌じゃない?僕としたいって思ってくれてる?」
「当たり前だろ?ずっと我慢してるって言ってるのに。」
「…我慢しなくていいのに…。」
「うっ…凛…。」
大翔は僕の肩に額を預けて頷いたまま何か唸っている。
「えっ、大翔?どうしたの?」
「…煩悩と戦ってる…。」
我慢しなくていいって言ったのに…。大翔もしたいし僕もしたい、だけどこの前宣言したばかりだからすぐに撤回するのは大翔の中の矜持ってやつなのかも…。
じゃあやっぱり僕が誘惑すればいいんだ!
「大翔!僕この旅行の間いっぱい誘惑するね!」
「ん?待って?凛、どうしてそうなったの?」
「え?大翔も僕もしたいけど、この前宣言したのが気になってるんでしょ?だから僕が誘惑するから、大翔が誘惑に負けたら最後までしよ?」
「…ん?」
「あんまり細かいことはいいの!大翔は我慢して?僕がいっぱい誘惑するから!」
「うん?…うーん。」
「大翔くん返事は?」
「え?あ、はい。」
ふふ、一旦諦めたけど今日からいっぱい大翔を誘惑するぞ!
最後までやっぱりして欲しいもんね。
どうやって誘惑するかは全然思いつかない…礼央くんに相談してみようかな。
今日はもう疲れただろうからって、何もせず…ではなかったかな触ったりはした…。
でも二人でベッドに寝っ転がって話してたら気づいたら寝ていた。
寝る前に礼央くんにチャットだけ飛ばしておいた。
起きたら返事あるかな~。
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RIN:礼央くん!!!誘惑の仕方教えて欲しい!!
RIN:大翔をね!誘惑したいの!!教えて~!
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