14 / 21
買われて行った先(三)
しおりを挟む
ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべる男達。
ただ、蔑んだような目で見る女達。
どちらも一様に、ミルティアナに対する感情がその瞳から見てとれる。
歓迎されていない。その事実だけは確かだった。
「きちんと、下着まで脱いで貰わないと困りますよ?」
どこまで辱しめれば気が済むのだろうか。
(気持ち悪い)
ワンピースを脱いだミルティアナに残っているのは、薄い下着とショーツのみだ。
こんなモノの中に、なにが隠せるというのだろうか。
母の店で、どれだけ撫で回されても、頬にキスを迫られても、ここまでの屈辱を感じることはなかった。
見ずしらない、しかも会ったばかりの複で数の人の前で着ていたもの全てを脱ぐという行為は、どれだけ大丈夫だと言い聞かせても足りないほど、ミルティアナの心が悲鳴を上げていた。
(泣いて……しまいたい……)
「出来ないのですか? それなら……」
「出来ないとは言ってません。ただ驚いただけです。私のような小娘に、そこまで用心なさっているのですね」
今出来る、精一杯の嫌みをミルティアナは返すと、すべての着ていたものを脱ぎ捨てた。
おどおどすることも、隠すこともせず、ミルティアナは真っ直ぐ前を向く。
それが、ミルティアナに残るせめてものプライドだったから。
「……まったく、どういう躾をされてくればこんな子になるのだか」
男はやや呆れながら、ミルティアナの体を確認するようにぐるりと歩き出す。
親や躾のことを言われれば、ミルティアナが泣き出すとでも思っていたのだろう。
「……」
少しの動揺も見せないミルティアナに、男は舌打ちをした。
(親が、躾がなんて……この人はよほど幸せに生きてきたのね)
あの貧しい村で、しかも娘とも思われぬ仕打ちをされてきたミルティアナには、親や躾などという言葉など、響くわけもなかった。
「まぁ、いいでしょう。服と荷物を持って、部屋に移動しなさい」
男の言葉に、ミルティアナは手早く服を拾う。
そして自分の体を隠すように、それを抱き締めた。
(……辛い。でも)
ふと、張っていた気が緩みそうになるのを、ミルティアナは必死に押し止める。
せめて自分の部屋に着くまで。それまでは泣けない。
今ミルティアナの体を動かす感情は、それだけだった。
「ミルティアナ様、ではお部屋にご案内致します。こちらへ……」
外からこの中へ案内し、先ほどの全てを見ていた使用人の一人が声をかけてくる。
ミルティアナは、軽く頷くと、彼女の後に続いたのだった。
ただ、蔑んだような目で見る女達。
どちらも一様に、ミルティアナに対する感情がその瞳から見てとれる。
歓迎されていない。その事実だけは確かだった。
「きちんと、下着まで脱いで貰わないと困りますよ?」
どこまで辱しめれば気が済むのだろうか。
(気持ち悪い)
ワンピースを脱いだミルティアナに残っているのは、薄い下着とショーツのみだ。
こんなモノの中に、なにが隠せるというのだろうか。
母の店で、どれだけ撫で回されても、頬にキスを迫られても、ここまでの屈辱を感じることはなかった。
見ずしらない、しかも会ったばかりの複で数の人の前で着ていたもの全てを脱ぐという行為は、どれだけ大丈夫だと言い聞かせても足りないほど、ミルティアナの心が悲鳴を上げていた。
(泣いて……しまいたい……)
「出来ないのですか? それなら……」
「出来ないとは言ってません。ただ驚いただけです。私のような小娘に、そこまで用心なさっているのですね」
今出来る、精一杯の嫌みをミルティアナは返すと、すべての着ていたものを脱ぎ捨てた。
おどおどすることも、隠すこともせず、ミルティアナは真っ直ぐ前を向く。
それが、ミルティアナに残るせめてものプライドだったから。
「……まったく、どういう躾をされてくればこんな子になるのだか」
男はやや呆れながら、ミルティアナの体を確認するようにぐるりと歩き出す。
親や躾のことを言われれば、ミルティアナが泣き出すとでも思っていたのだろう。
「……」
少しの動揺も見せないミルティアナに、男は舌打ちをした。
(親が、躾がなんて……この人はよほど幸せに生きてきたのね)
あの貧しい村で、しかも娘とも思われぬ仕打ちをされてきたミルティアナには、親や躾などという言葉など、響くわけもなかった。
「まぁ、いいでしょう。服と荷物を持って、部屋に移動しなさい」
男の言葉に、ミルティアナは手早く服を拾う。
そして自分の体を隠すように、それを抱き締めた。
(……辛い。でも)
ふと、張っていた気が緩みそうになるのを、ミルティアナは必死に押し止める。
せめて自分の部屋に着くまで。それまでは泣けない。
今ミルティアナの体を動かす感情は、それだけだった。
「ミルティアナ様、ではお部屋にご案内致します。こちらへ……」
外からこの中へ案内し、先ほどの全てを見ていた使用人の一人が声をかけてくる。
ミルティアナは、軽く頷くと、彼女の後に続いたのだった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる