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アトラ統一編
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しおりを挟む「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
キューティーさんが歓喜の悲鳴を上げた。
執事服を着た獣人の男の子が俺たちの前にいた。
キューティーさんが連れ帰った子だ。
物心ついた時から奴隷だったため名前が無くキューティーさんが「タカユキ」と言う名前を付けた。
「この子は私のよ! 私専属よ! いいわね!」
よく解らない迫力に全員がうなずく。
タカユキはキューティーさんの弟という事でキューティーさんが面倒を見るそうだ。
名前を付けたときキューティーさんは「私の事はお姉ちゃんと呼ぶのよ」と危ない目で言っていた。
「セバスチャン、タカユキの教育は任せるわ、絶対に厳しくしないでね!」
いきなり丸投げかい!
と、思ったらお菓子やらジュースやらを取り出してタカユキに食べさせている。
教育はどうした。
「食べたい物が在ったら何でも言ってね、お姉ちゃんが用意するから」
タカユキが遠慮がちにうなずく。
いや、実はあれ怖がっていないか?
「そうだ、タカユキの歓迎会をしましょう! エンジェルさん良いですか!」
「許可しよう!」
「よし、アル! 極上の竜肉を取ってきなさい!」
「なんで俺!? 手持ちの肉はダメなのか?」
「新鮮なのが良いのよ!」
いや、ストレージは時間停止付きですが……。
「気分の問題よ」
え~、そんな理由……。
「キューティー様、古代竜の肉でよければこちらに」
そう言ってどこからともなく鱗に覆われた……あれは尻尾かな?
「メアリーの尻尾でございます。私目では少々年を取りすぎて固いかと思われたので年の若いメアリーの尻尾を切らせていただきました」
当たり前のようにひどい事を言ってない!?
当のメアリーを見ると。
「大丈夫です、尻尾程度ならすぐ再生します」
さすが古代竜?
ってか、自分の身を切るなよ!
「必要でしたら、内臓も少々取れますが?」
「いや、いらないから、いらないよね?」
周りのみんながうなずく。
よかった、俺だけだったらどうしようかと思った。
「そうですか……」
メアリー、何故残念そうなんだ?
「では、せめてモモ肉はいかがでしょう?」
いや、やめて、人間の姿で想像しちゃうから。
「それでは、さっそく調理に入らせていただきます」
セバスチャンはそう言うと尻尾をもって調理場へ消えていった。
それにメアリーとジェーンも続く。
「タカユキ、これで竜肉はいつでも食べられるわよ!」
キューティーさんの言葉にタカユキが青ざめているんだが……。
タカユキの歓迎会と言う名目のパーティーが開かれた。
ただ、やたら肉料理が多いのが気になる。
そして、メアリーとジェーンの顔色が悪いのは気にしないほうが良いのかな……。
うん、HPが半分ほど減っているな。
気になったことが一つあった。
ストレージに現実での所有物が入れられていたのがわかっていたが、どこまでの範囲が入っているかという事だった。
膨大な量の中から一々確認するのは面倒だと放っておいたのだが。
検索機能があることが分かった。
その検索機能を使って俺は冷蔵庫に入っていたビールを取り出す。
このことをメンバーに教えると、それぞれ現実の冷蔵庫に入っていたものを取り出した。
うん、酒の好みはみんな違うからね。
全員、お酒を出したところを見ると未成年はいないようだ。
ゲーム内では現実の情報なんてほとんど話したことなかったしな。
これで気になるのは、在庫だ。
正直ストックなんてそんなに無い。
消耗品は考えながら消費しないとかなって考えていると。
「え!?」
隣に座っていた雪兎さんが声を上げた。
「コピーできる……」
なんですと?
目の前に浮かぶ半透明の画面を見てもコピーと言う項目は無い。
一体どうやって。
「ストレージから出すときに対象のアイテムを一回選択するような形になるのは分かる?」
そう言う所はゲームと一緒だ。
「それで、頭の中にキーボードを浮かべてショートカットキーを使うイメージって言うのかな、それをやったらできた」
「それって、コピーアンドペーストみたいな?」
「そう、それ」
頭の中にキーボードをイメージする。
すると、詳細なイメージが浮かんできた。
それを操作するイメージをして……ペーストっと。
するとストレージの空スロットに貼り付けられた。
「おおおおおおおおお、できたぁ!」
これは嬉しい!
こっちの世界じゃ炭酸飲料なんてものが無いらしい、一本しかないものを飲まなくてよかった!
そうして、俺は次々とコピーしていった。
ところがだ、突然コピーが出来なくなった。
何故かと思い、色々と画面を確認する。
すると、ゲーム内で所持していたお金が減っていることに気が付く。
え、コピーって有料なの?
「これ、コピーってお金かかるのかよ……」
ゲーム内のお金って……これチャージとかできないのかな……。
俺の言葉に全員、所持金を確認したようで。
うわ、マジだ! なんて声があっている。
「ふむ、こちらで稼いだお金がチャージできれば良いのだが……」
そう言ってエンジェルさんが考え込んだと思ったら。
「うりゃあああああああ!」
何を思ったのか金貨を目の前の画面に投げつけた。
いやいや、無理でしょ!
ともったら、エンジェルさんが投げた金貨が突然消えた。
「お、やってみればできるものなんだな」
え、マジで?
「エンジェルさんチャージできたの?」
「うむ、ストレージ画面にお金を押し付けると出来るようだ」
俺も試しにやってみた。
おおおおお、出来たぁ!
しかし、ビール一本のコピーが金貨二百枚か、レートが金貨一枚百円かよ……。
とりあえず、ありったけをチャージするか。
俺はストレージからお金を全てを取り出しチャージした。
稼いでおいてよかった。
あれ、これって素材もコピーとかでいるんじゃね?
いろいろ試したが現実で所有していたものしかコピーできないようだった。
残念。
翌日、『黄昏の翼』と『自由世界のアリス』のメンバーに教えたらみんなすごい喜んでいた。
「タカユキ、すごいわ! 天才よ!」
タカユキに剣術を教えていたキューティさんが事あるたびにタカユキに抱き着き喜んでいた。
シャドウさんがそれを羨ましそうに眺めていた。
「私も早く専属の猫耳幼女メイドが欲しい」
おまわりさーんこいつです。
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