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プロローグ
ユニークスキル
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戦場につけば嫌でも目立つギルド。
「MLGだ!」
「MLGが来たぞ!」
「今日も変態だ!」
「なぜバンされないんだ!」
ログがひどいことになっている。
「勘違いしないでもらおう! 我々は変態ではない紳士だ!」
まったく説得力の無い台詞を言い放つエンジェルさん。
だが、定番のやり取りであり戦場は大いに盛り上がる。
「どこが紳士だ!」
「早く戦え!」
「ネタはいいからな、今日は真面目に戦えよ!」
「脱いで突撃だけはするなよ!」
いまいち信用されていない。
まぁ、何も装備しないで全員で殴りかかって即全滅とか遊びでやっているからなぁ。
「つか、全滅しそうだから真面目にお願い!」
「ふむ、つまり我々の仕事は全滅を助ければいいんだな!」
エンジェルさんがジョ〇ョ風にポーズを決めどや顔で言い放つ。
「「「ちげーよ!」」」
うわ、一斉に突っ込まれた。
「よし、では俺が魔法を撃つから、お前ら壁になって俺を守るがよい!」
ボンドさんは今日も絶好調です。
ちなみにボンドさん魔法は不得意だ。
「お前、初級魔法しか使えないだろ!」
「魔力あるのかよ!」
有名であるばかりにメンバーの能力は知られているからなぁ。
魔法系に関してはボンドさんは作成直後のメイジレベルしかない。
「我々は常に進化しているのだ! 見よ! ストーンバレット!」
そう言ってボンドさんは石を拾って投げた。
しかも届いてない。
「「「魔法ですらねえよ!」」」
これだけプレイヤーがいると突っ込みがすげぇ。
「ふん!」
続いてボンドさんは石を握りつぶした。
「・・・・・・・・・」
「「「だから何だよ!」」」
すごい突込みだが、みんな戦わなくていいの?
「お前ら真面目にやれ、全滅するぞ!」
すかさずシャドウさんが言う。
「「「お前らが言うな!」」」
だよねー。
「よし、お遊びはここまでだ! MLG参戦するぞ!」
ボンドさんがそう言うと全員が装備を外す。
「「「だから、ネタはやめろー」」」
うーん、なかなか始まらない。
そして、いつの間にか戦っているのは俺たちを除くトップギルドの人たちだけになっている。
遠いからよく聞こえないが、文句を言っているのは分かる。
ちなみにトップギルドの主要メンバーとは交流があり、仲は悪くない。
ただ、トッププレイヤーであるだけに本気で突っ込まれると瀕死になることがある。
「ちっ」
「MLGのリーダー舌打ちしてるよ」
「何しに来たんだよ……」
「これで実力あるからタチ悪いな」
まぁ、そういうギルドだからね。
「しょうがないな、雪兎頼む」
「おっけい、詠唱は終わっているからいつでもいけるよ」
ふざけながらも裏ではしっかりと準備している。
それが俺達だ。
「召喚! 『管弦楽』」
どでかい召喚陣から百人ほどの管弦楽団が現れる。
「おぉ!」
「いつ見ても壮観だなぁ」
「あんな召喚あったのか!?」
「嘘だろ、ネタじゃなかったのかよ!」
見たことのあるプレイヤーからは感嘆の声が。
所見のプレイヤーからは驚きの声が上がる。
雪兎さんのユニークスキル『管弦楽召喚』は有名だ。
オーケストラが奏でる音楽はパーティーだけではなく広範囲にわたり全プレイヤーに絶大な効果のバフをかける。
しかも音楽が続く限り効果が切れることは無い。
ユニークスキルの中でも飛びぬけて効果が高いスキル。
そもそもユニークスキルは特定の条件を満たしたプレイヤーのみに与えられるスキルでその能力はチートクラス。
ユニークスキルを持つプレイヤーはほんの一握りしかいない。
雪兎さんの管弦楽召喚は、使えないジョブ、いわゆる外れジョブをいくつもマスターする必要があり、普通にプレイしてても数年はかかる。
マニアックなジョブが好きな雪兎さんが四年かけて手に入れたスキルだ。
「二曲目からリクエスト受け付けるよ~。最初は定番の曲からね」
雪兎さんがそう言うとワーグナーのワルキューレの騎行が演奏される。
それに伴い、一定時間ごとに全員に全ステータスのUPの効果上掛けでかかり、最終的には十倍のステータスになる。
効果は曲によって変わり、全ステータスがアップすると判明しているのがこの曲だ。
中には逆効果の曲もあったりするが、基本的にはやってみないと効果がわからないというスキルだが、制限も厳しくまず雪兎さんが動けなくなる。
さらに、スキルを使用するのに一定範囲以内にプレイヤーが百人以上いないと使用できないらしい。
「「「おおおぉぉぉぉお!」」」
プレイヤー達から一斉に雄叫びがあがる。
BGMはステータスとは別にリアルでのテンションアップ効果もあるから、ほとんどのプレイヤーが興奮状態でレイドボスに攻撃を仕掛けていく。
スキル発動後の雪兎さんを守るのがボンドさんとヨルさんの重戦士コンビ。
「ユニークスキル『アイギス』」
ボンドさんが使うユニークスキル『アイギス』は完全防御の盾。
おまけに攻撃反射能力もついている。
雪兎さんの召喚したオーケストラごと囲うほどのドーム状の盾が展開される。
このスキルも制限があり盾の内側からは攻撃が一切できない。
そしてもう一人の盾役のヨルさんだが。
「やることがないでござる!」
と言って腕を組み仁王立ちをしている。
この人もすごいユニークスキルを持っているんだけど、ほとんどボンドさん一人で事足りちゃうからあまり出番が無いんだよな。
「次は、俺の番だぜ! 行くぞユニークスキル『絶対領域』!」
ヒーラーであるシャドウさんのユニークスキルが展開される。
これもかなりの広範囲で参戦している全プレイヤーに持続型の回復効果と異常状態解除のバフがかかった。
これもリスクがあり消費する魔力が半端ない、ほとんどの操作が魔力回復ポーションをがぶ飲みすると言う動作に取られる。
そして何故かスキルが攻撃判定されるためボンドさんの盾の内側には入れない。
そのため逃げながらポーションをがぶ飲みと言うシュールな光景が出来上がる。
今日はポーションを三百本持ってきたそうだ。
レイドボスを見ると体力が七割くらいまで減っていた。
本当の勝負は三割を切ってからだ。
レイドボスは必ず体力が三割を切ると狂化と言う状態になる。
狂化状態は全てのステータスが大幅上昇しパターン化されている攻撃がランダムになり、ターゲットも同じくランダムになるのが決まりのパターンとなっている。
「僕も行くよ! ユニークスキル、『無限の一斉掃射』」
つくづくユニークスキルはチートだと再認識させるようなボサツさんのスキル。
弓すら持たず同時に数百本の矢が同時に、しかも連続で打ち出される。
レイドボスの体力が止まることなく減っていく。
スキル使用中は回復を受け付けないという制限があるが、回避率が非常に高いボサツさんは器用に避けながら打ち続ける。
「それじゃ、私も……『祝福の修復』」
キューティーさんのユニークスキルは装備品の完全修復と強化。
完全破損すら復活させ制限時間付きだが身に着けている装備品全てが最高ランクまで強化される。
回数制限がある物はその回数制限がなくなる。
一応、再使用まで時間がかかる制限があるんだけど、必要になる頃には使えるようになっているから大した制限ではない。
それでも武器の耐久を考えないで良いと言うのは、かなりの強みになる。
特に制限回数が無くなるというのは、強すぎるために制限がある物がほとんどで、それが無制限になるという事はかなりの高火力になるという事だ。
「・・・・・・『大虐殺の咆哮』」
俺氏さんのユニークスキルは属性無視の連撃魔法だ。
属性無視と言う効果に、さらに最大火力の魔法を全属性全て同時に、しかも連続で撃てる。
さらに消費魔力が全て1になると言うなんともエコなスキル。
使用制限があるらしいが、本人が話さないのでその内容は知らない。
魔法のエフェクトって派手だよなぁ。
いいなぁ。
「儂も行くぞ! スーパーロイヤルパーフェクトレーザー!」
たいそうな名前を叫んでいるがスキル名ではない。
大雪山さんのユニークスキルは『波動砲極』(エクストリームウェーブキャノン)。
スキル名も大層だった……ぶっちゃけカメ〇メ波ポーズをとる陽電子砲なんだけどね。
破壊のみを追求したスキルで使用している間体力が減り続ける。
体力回復ポーションを飲みながら撃ち続けると言う、荒業までやってのける。
顔が締め切り直前に徹夜で原稿を書く漫画家みたいになっている。
俺も参加するか……。
あまりユニークスキルは使いたくないんだよなぁ。
手の内を見せたいんじゃなくて他のメンバーに比べて地味だからだ。
「はぁ……『無限の一撃』」
どんな武器でも最速の攻撃スピードで連撃できるスキル。
しかも全てがクリティカルになる。
俺氏さんの物理攻撃バージョンだが、物理攻撃はエフェクトが無いので地味なのが欠点だ。
はっきり言って目立たない、乱戦にもまれているせいで遠くからは確認できない。
一回の攻撃で五秒のクールタイムが必要となる最大重量の巨大ハルバードをクールタイムなしで攻撃してるんだけど、誰も気づかないという……。
「最後は私だMLGのマスターとして新しく取得したユニークスキルを披露しよう!」
「「「なんだって!?」」」
ほとんどのプレイヤーが驚く。
ユニークスキルはめったなことじゃ取れなく取得方法も不明であり、公式も情報公開はしていない。
そのユニークスキルを取得して初めてトッププレイヤーとして周りから認められる風習がある。
まぁ、一つとればチート並みにキャラ性能が上がるので、たとえ取得条件がわかっても、情報を出すプレイヤーはほとんどいない。
皆取りまくったらバランス崩れるからなぁ。
噂だと情報が出回ると運営側が条件を変えると言われているし。
「見よ! 『不可侵の魂』」
エンジェルさんがスキルを発動させると姿が消える。
「消えたぞ!」
「おおおお、この後何が起きるんだ!?」
「ふふふふ、このスキルは全ての攻撃を無効化させターゲットをとることもなくなる」
声だけが聞こえる。
まぁ、対人戦じゃないからターゲットされることも無いし問題ないのか。
「マジかよ、無敵じゃねぇか!」
「さすがにチートすぎるだろう」
「くう、俺もユニークスキルが欲しいぞ」
「MLGのマスターっていくつユニーク持ってるんだよ!」
実は全員二つ以上ユニークスキルを持っている。
人前だとネタ行動が多いけど、実は人の目が無い所で真面目に攻略もしている。
めったに出さないが真面目な本気装備もストレージの中に入っている。
どれも最高クラスの物と言うより、偶然要素が強いがゲームバランスを崩しかねないレベルの物ばかりだ。
あまりにもひどいので運営に問い合わせたが、仕様という事で問題ないと回答を受けた。
生産系スキルを持つ長期プレイヤーがスキルを使い続けることで限界を超えた作成が可能になるらしい。
十年以上続けているプレイヤーはほとんどいないそうだ。
っと、話がずれたな。
長年続けていたおかげで俺たちはいろんな恩恵にあずかれてる面が多い。
「ただしだ!」
エンジェルさんの声だけが響く。
「こちらからは一切攻撃できない! 安全に確実に逃げるためだけのスキルだ!」
全員がポカーンと声のする方向を見た。
「「「意味ねー!」」」
「なんで今使う!」
「今使う必要あるか!?」
「つか、普通に戦え!」
「自慢したいだけかコラ!」
すげぇブーイングの嵐だ。
絶対エンジェルさん満足そうな顔をしてるぞ。
それに新しく取得したと言っていたけど結構前だよね取ったの。
絶対、これをやりたいがために機会をうかがっていたな。
「うはははは、物を投げても無駄だぞ」
周りの人はレイドボスをそっちのけで声がする方向を攻撃していた。
「MLGだ!」
「MLGが来たぞ!」
「今日も変態だ!」
「なぜバンされないんだ!」
ログがひどいことになっている。
「勘違いしないでもらおう! 我々は変態ではない紳士だ!」
まったく説得力の無い台詞を言い放つエンジェルさん。
だが、定番のやり取りであり戦場は大いに盛り上がる。
「どこが紳士だ!」
「早く戦え!」
「ネタはいいからな、今日は真面目に戦えよ!」
「脱いで突撃だけはするなよ!」
いまいち信用されていない。
まぁ、何も装備しないで全員で殴りかかって即全滅とか遊びでやっているからなぁ。
「つか、全滅しそうだから真面目にお願い!」
「ふむ、つまり我々の仕事は全滅を助ければいいんだな!」
エンジェルさんがジョ〇ョ風にポーズを決めどや顔で言い放つ。
「「「ちげーよ!」」」
うわ、一斉に突っ込まれた。
「よし、では俺が魔法を撃つから、お前ら壁になって俺を守るがよい!」
ボンドさんは今日も絶好調です。
ちなみにボンドさん魔法は不得意だ。
「お前、初級魔法しか使えないだろ!」
「魔力あるのかよ!」
有名であるばかりにメンバーの能力は知られているからなぁ。
魔法系に関してはボンドさんは作成直後のメイジレベルしかない。
「我々は常に進化しているのだ! 見よ! ストーンバレット!」
そう言ってボンドさんは石を拾って投げた。
しかも届いてない。
「「「魔法ですらねえよ!」」」
これだけプレイヤーがいると突っ込みがすげぇ。
「ふん!」
続いてボンドさんは石を握りつぶした。
「・・・・・・・・・」
「「「だから何だよ!」」」
すごい突込みだが、みんな戦わなくていいの?
「お前ら真面目にやれ、全滅するぞ!」
すかさずシャドウさんが言う。
「「「お前らが言うな!」」」
だよねー。
「よし、お遊びはここまでだ! MLG参戦するぞ!」
ボンドさんがそう言うと全員が装備を外す。
「「「だから、ネタはやめろー」」」
うーん、なかなか始まらない。
そして、いつの間にか戦っているのは俺たちを除くトップギルドの人たちだけになっている。
遠いからよく聞こえないが、文句を言っているのは分かる。
ちなみにトップギルドの主要メンバーとは交流があり、仲は悪くない。
ただ、トッププレイヤーであるだけに本気で突っ込まれると瀕死になることがある。
「ちっ」
「MLGのリーダー舌打ちしてるよ」
「何しに来たんだよ……」
「これで実力あるからタチ悪いな」
まぁ、そういうギルドだからね。
「しょうがないな、雪兎頼む」
「おっけい、詠唱は終わっているからいつでもいけるよ」
ふざけながらも裏ではしっかりと準備している。
それが俺達だ。
「召喚! 『管弦楽』」
どでかい召喚陣から百人ほどの管弦楽団が現れる。
「おぉ!」
「いつ見ても壮観だなぁ」
「あんな召喚あったのか!?」
「嘘だろ、ネタじゃなかったのかよ!」
見たことのあるプレイヤーからは感嘆の声が。
所見のプレイヤーからは驚きの声が上がる。
雪兎さんのユニークスキル『管弦楽召喚』は有名だ。
オーケストラが奏でる音楽はパーティーだけではなく広範囲にわたり全プレイヤーに絶大な効果のバフをかける。
しかも音楽が続く限り効果が切れることは無い。
ユニークスキルの中でも飛びぬけて効果が高いスキル。
そもそもユニークスキルは特定の条件を満たしたプレイヤーのみに与えられるスキルでその能力はチートクラス。
ユニークスキルを持つプレイヤーはほんの一握りしかいない。
雪兎さんの管弦楽召喚は、使えないジョブ、いわゆる外れジョブをいくつもマスターする必要があり、普通にプレイしてても数年はかかる。
マニアックなジョブが好きな雪兎さんが四年かけて手に入れたスキルだ。
「二曲目からリクエスト受け付けるよ~。最初は定番の曲からね」
雪兎さんがそう言うとワーグナーのワルキューレの騎行が演奏される。
それに伴い、一定時間ごとに全員に全ステータスのUPの効果上掛けでかかり、最終的には十倍のステータスになる。
効果は曲によって変わり、全ステータスがアップすると判明しているのがこの曲だ。
中には逆効果の曲もあったりするが、基本的にはやってみないと効果がわからないというスキルだが、制限も厳しくまず雪兎さんが動けなくなる。
さらに、スキルを使用するのに一定範囲以内にプレイヤーが百人以上いないと使用できないらしい。
「「「おおおぉぉぉぉお!」」」
プレイヤー達から一斉に雄叫びがあがる。
BGMはステータスとは別にリアルでのテンションアップ効果もあるから、ほとんどのプレイヤーが興奮状態でレイドボスに攻撃を仕掛けていく。
スキル発動後の雪兎さんを守るのがボンドさんとヨルさんの重戦士コンビ。
「ユニークスキル『アイギス』」
ボンドさんが使うユニークスキル『アイギス』は完全防御の盾。
おまけに攻撃反射能力もついている。
雪兎さんの召喚したオーケストラごと囲うほどのドーム状の盾が展開される。
このスキルも制限があり盾の内側からは攻撃が一切できない。
そしてもう一人の盾役のヨルさんだが。
「やることがないでござる!」
と言って腕を組み仁王立ちをしている。
この人もすごいユニークスキルを持っているんだけど、ほとんどボンドさん一人で事足りちゃうからあまり出番が無いんだよな。
「次は、俺の番だぜ! 行くぞユニークスキル『絶対領域』!」
ヒーラーであるシャドウさんのユニークスキルが展開される。
これもかなりの広範囲で参戦している全プレイヤーに持続型の回復効果と異常状態解除のバフがかかった。
これもリスクがあり消費する魔力が半端ない、ほとんどの操作が魔力回復ポーションをがぶ飲みすると言う動作に取られる。
そして何故かスキルが攻撃判定されるためボンドさんの盾の内側には入れない。
そのため逃げながらポーションをがぶ飲みと言うシュールな光景が出来上がる。
今日はポーションを三百本持ってきたそうだ。
レイドボスを見ると体力が七割くらいまで減っていた。
本当の勝負は三割を切ってからだ。
レイドボスは必ず体力が三割を切ると狂化と言う状態になる。
狂化状態は全てのステータスが大幅上昇しパターン化されている攻撃がランダムになり、ターゲットも同じくランダムになるのが決まりのパターンとなっている。
「僕も行くよ! ユニークスキル、『無限の一斉掃射』」
つくづくユニークスキルはチートだと再認識させるようなボサツさんのスキル。
弓すら持たず同時に数百本の矢が同時に、しかも連続で打ち出される。
レイドボスの体力が止まることなく減っていく。
スキル使用中は回復を受け付けないという制限があるが、回避率が非常に高いボサツさんは器用に避けながら打ち続ける。
「それじゃ、私も……『祝福の修復』」
キューティーさんのユニークスキルは装備品の完全修復と強化。
完全破損すら復活させ制限時間付きだが身に着けている装備品全てが最高ランクまで強化される。
回数制限がある物はその回数制限がなくなる。
一応、再使用まで時間がかかる制限があるんだけど、必要になる頃には使えるようになっているから大した制限ではない。
それでも武器の耐久を考えないで良いと言うのは、かなりの強みになる。
特に制限回数が無くなるというのは、強すぎるために制限がある物がほとんどで、それが無制限になるという事はかなりの高火力になるという事だ。
「・・・・・・『大虐殺の咆哮』」
俺氏さんのユニークスキルは属性無視の連撃魔法だ。
属性無視と言う効果に、さらに最大火力の魔法を全属性全て同時に、しかも連続で撃てる。
さらに消費魔力が全て1になると言うなんともエコなスキル。
使用制限があるらしいが、本人が話さないのでその内容は知らない。
魔法のエフェクトって派手だよなぁ。
いいなぁ。
「儂も行くぞ! スーパーロイヤルパーフェクトレーザー!」
たいそうな名前を叫んでいるがスキル名ではない。
大雪山さんのユニークスキルは『波動砲極』(エクストリームウェーブキャノン)。
スキル名も大層だった……ぶっちゃけカメ〇メ波ポーズをとる陽電子砲なんだけどね。
破壊のみを追求したスキルで使用している間体力が減り続ける。
体力回復ポーションを飲みながら撃ち続けると言う、荒業までやってのける。
顔が締め切り直前に徹夜で原稿を書く漫画家みたいになっている。
俺も参加するか……。
あまりユニークスキルは使いたくないんだよなぁ。
手の内を見せたいんじゃなくて他のメンバーに比べて地味だからだ。
「はぁ……『無限の一撃』」
どんな武器でも最速の攻撃スピードで連撃できるスキル。
しかも全てがクリティカルになる。
俺氏さんの物理攻撃バージョンだが、物理攻撃はエフェクトが無いので地味なのが欠点だ。
はっきり言って目立たない、乱戦にもまれているせいで遠くからは確認できない。
一回の攻撃で五秒のクールタイムが必要となる最大重量の巨大ハルバードをクールタイムなしで攻撃してるんだけど、誰も気づかないという……。
「最後は私だMLGのマスターとして新しく取得したユニークスキルを披露しよう!」
「「「なんだって!?」」」
ほとんどのプレイヤーが驚く。
ユニークスキルはめったなことじゃ取れなく取得方法も不明であり、公式も情報公開はしていない。
そのユニークスキルを取得して初めてトッププレイヤーとして周りから認められる風習がある。
まぁ、一つとればチート並みにキャラ性能が上がるので、たとえ取得条件がわかっても、情報を出すプレイヤーはほとんどいない。
皆取りまくったらバランス崩れるからなぁ。
噂だと情報が出回ると運営側が条件を変えると言われているし。
「見よ! 『不可侵の魂』」
エンジェルさんがスキルを発動させると姿が消える。
「消えたぞ!」
「おおおお、この後何が起きるんだ!?」
「ふふふふ、このスキルは全ての攻撃を無効化させターゲットをとることもなくなる」
声だけが聞こえる。
まぁ、対人戦じゃないからターゲットされることも無いし問題ないのか。
「マジかよ、無敵じゃねぇか!」
「さすがにチートすぎるだろう」
「くう、俺もユニークスキルが欲しいぞ」
「MLGのマスターっていくつユニーク持ってるんだよ!」
実は全員二つ以上ユニークスキルを持っている。
人前だとネタ行動が多いけど、実は人の目が無い所で真面目に攻略もしている。
めったに出さないが真面目な本気装備もストレージの中に入っている。
どれも最高クラスの物と言うより、偶然要素が強いがゲームバランスを崩しかねないレベルの物ばかりだ。
あまりにもひどいので運営に問い合わせたが、仕様という事で問題ないと回答を受けた。
生産系スキルを持つ長期プレイヤーがスキルを使い続けることで限界を超えた作成が可能になるらしい。
十年以上続けているプレイヤーはほとんどいないそうだ。
っと、話がずれたな。
長年続けていたおかげで俺たちはいろんな恩恵にあずかれてる面が多い。
「ただしだ!」
エンジェルさんの声だけが響く。
「こちらからは一切攻撃できない! 安全に確実に逃げるためだけのスキルだ!」
全員がポカーンと声のする方向を見た。
「「「意味ねー!」」」
「なんで今使う!」
「今使う必要あるか!?」
「つか、普通に戦え!」
「自慢したいだけかコラ!」
すげぇブーイングの嵐だ。
絶対エンジェルさん満足そうな顔をしてるぞ。
それに新しく取得したと言っていたけど結構前だよね取ったの。
絶対、これをやりたいがために機会をうかがっていたな。
「うはははは、物を投げても無駄だぞ」
周りの人はレイドボスをそっちのけで声がする方向を攻撃していた。
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