『アタエラレタイ』

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「ほら、ちゃんと正座して。」

大袈裟なくらいガタガタと震えながら
ギュッと目を瞑るルナの髪を
ゆっくり絡めとるように撫でる

撫でていた髪を一筋つまみ
人差し指にくるりと1周巻き付けてみる

「目閉じていいなんて言ったっけ。」

この半年で随分髪が伸びた
ルナはきっと長い髪が似合うと思う

「ルナ」

名前を呼ばれてビクッと飛び上がった体は
そのまま中途半端に宙に浮いている

私が髪を掴んでるから

「私の目を見なさい」

一度掴んだ手を緩めてやると
慌てて正座しなおし
涙でぐしゃぐしゃの顔をあげて
大きな目をゆっくり開く

薄茶色の怯えた目
そこに映る歪んだ笑顔の私

「いい子。そのままもう一度言ってごらん。」

 優しい口調で言うと
ルナは少しだけ安堵して
しばらく魚のように口をパクパクさせていた

ルナが言葉を発するまでは
数秒時間がかかる

私は少しの猶予を与えて
猫の鳴き声みたいなか細いルナの声を待つ

「おしおき・・・してください・・・」

「どうして?」

間髪入れず聞き返す
自分で言葉を考えるのが苦手なルナは
疑問系の言葉を与えられ困惑する

「どうしてルナはお仕置きしてほしいの?」

また目から涙がぼろぼろ零れる
必死で私の目を真っ直ぐ見て
正しい答えを探している

「わからないの?」

小さく頷きかけたルナの顎を
ぎゅっと掴んで引き寄せる

「返事の仕方、違うよね」

ルナはハッとして反射的に逃げかけたが
私の手のひらがルナの頬に当たる方が
断然早かった

パシッと響く乾いた平手打ちの音と
とてもか細いルナの悲鳴

「もう仕事に行かなくちゃ。」

それを聞いたルナは
さっきの平手打ちの痛さよりも
私がいなくなることのほうが辛そうな顔をする

「罰として今日は一緒に連れて行ってあげない。」

またぼろぼろと泣き出すルナの
首輪に繋いだリードを引いて
寝室に移動する

「お昼に1度戻るから。この中で反省してなさい。」

ベッドの隣に置いてある檻の中に
ペットボトルの水と洗面器とタオルと
それからルナを入れて
扉をしめて鍵をかける

ルナはいつも通り自分で
リードの先を檻の角にあるカラビナに付け
肘と膝を床に着けた四つん這いになり
じっとこちらを見上げる

「今日の10時のおやつはおあずけ。」

いつもならペットボトルと一緒に
檻の中へ入れてあげるルナの大好物のチョコを
檻の上に箱さら置く

ちらっと箱を見上げて
また目を潤ませるルナは
本当に可愛い

「仕事行くから。反省してなさいね。」

か細く「はい」と言ったのを見届けて
部屋を出る

頭上におかれた箱のままのチョコを
ルナはなんとかして食べるだろうか
頑張って必死にとり方を考えるルナを想像して
にやけてしまう

本当にルナは可愛い
私の大事なペット

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