転生した私の普通じゃない日々

森川 八雲

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中等部編

初めての中間テスト

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月日は流れもうすぐ夏休み!
休みの前はアレだよねって事でもうすぐ中間テストがある

テストは一人でダンジョンへ潜り最奥部まで行き、また戻ってくるというもの

今回はリコールは無いから往復は徒歩だ

なお、支給品も無いから回復ポーションや薬草、魔術の素材は自分で持ってこなくてはならない

一応、今までの授業でヒールは習っているからほとんどの生徒は自分で回復が出来るようになっている

ほとんど、というのはハリィの様な100%剣士はスキルの仕様により、なかなか成功しないからだ

カミュは…家庭教師の教えが良いのか槍使いでもヒールは唱えられるようになっている
剣士スキルがまだ低いのかな?
本人は「ヒールなんて要らねぇ!ヤラれる前にヤル!」と言っている…

そんなこんなで休みの日は同じ村に引っ越してきたプリスと共に裏山へ素材集めをしに行く事になった

木陰に潜んでいると子鹿が現れた
しゃがんだまま弓を水平に構え、撃つ!

ヒュッ!

ズッ!

見事に首へ刺さった!
もう一本!

ヒュッ!
ズッ!

次は脇腹に刺さった!
すかさず短剣で首を切りに行く
シュッ!

まだ心臓が動いているので血がどんどん溢れてくる

後ろ脚を縛り高い枝にロープをかけて引っ張り上げる

ボタボタボタッ

逆さまにすることでどんどん血が抜けていく
「これで大丈夫かな」

「さすがユカ!かなり慣れてるね!」
「プリス!」

ちょうど待ち合わせの時間の様だ

「小さい頃ここで熊に会ったからね、なるべく手早くやらないと」
「え?マジか!そういえばそんな事聞いた覚えが…」
「あれから警備を強化したみたいなんだけど、それ以来見てないね」
「そっか、ならもう居ないんじゃないか?」
「会った時は油断してたからかなり焦ったよ」
「そうだろうなぁ、この山には熊は居ないってオヤジも言ってたからなぁ」

「もう素材は集めた?」
「まだ来たばかりだよ」
「そっか、そうだったね」
「それじゃ血抜きの間に集めようぜ」
「うん!」

この山は資源が豊富で木々の育ちも良い
おかげでどんどん素材が集まっていく

むき出しになった岩に魔法石が埋まっていることもある

「ユカ!そっちはどうだ?」
「かなり集まったよ!プリスは?」
「こっちも問題ない!」

吊るされた鹿の前に集まる

「私もヒールの練習しようかなぁ」
「その方が良いよ!生きて帰るためには絶対必要だよ!」

しかし辺りは薄暗くなってきた

「よし、それじゃ試験が終わったら練習してみるわ!」
「そだね、今からじゃちょっと無理だもんね…」
「あ、そうだ!今からうちに来ない?一緒に鹿肉食べようよ!」
「あ~悪い、そのまま帰るって言ってきちゃったからな…」
「そっか、それじゃまた今度ね!」
「ああ!またな!」

他愛もない会話をしつつそれぞれの家へ帰った


─試験当日─

「おはようハリィ!」
「おはよう!ユカちゃん」
「おはよー!」
「おはよう!プリス!」
「プリスちゃんおはよう!」

「みんな席につけ!」
「今日は中間テストだ!」
「全員一人づつダンジョンへ潜り、最奥部の回収物を持って帰還すること!」
「試験は超初級ではなく、初級だ!心してかかれ!」

「はい!」

次々と帰還を果たす生徒達
中には怪我をして途中帰還の者もいる

「このダンジョンは少し手強いみたいだね」
「そうだな、これは気合を入れていかなきゃな」

そしてプリスの番が来た
「じゃ、サクッと終わらせるわ」
「うん、気をつけてね」

結構な時間が経ったがなかなか帰ってこない
「大丈夫かなプリス…」
「少し心配だよね…」

そう思ってると帰ってきた
「ヤッホーただいま!」

回収物を試験官に渡しこちらに来る

「おかえりプリス!」
「おかえり!」
「や、ただいま!」

「遅かったじゃない、そんなに難しかったの?」
「うーん、規則だから詳しくは言えないけど、打撃が効かない奴が居たからさ、ちょっと手こずったよ」
「えっ、それは私も困るなぁ」
「私もだよ、剣しか使えないから…」

そろそろ私の順番が来る

「よし、そろそろ私の番だな」
「気をつけろよー何かは言えないけど!」
「ユカちゃん気をつけてね」
「まぁ、任せて!」

弓と矢のチェックをし、ナイフを腰の後ろ側に装着する

「それじゃ、ユカ!中へ入れ!」
「はい!」

大きく開いた入り口が少し怖い

ザッザッザッ─

直ぐに真っ暗闇になった
「ライト!」
ポウッ

ライトの魔法が辺りを照らす

えっ?!これは!

「こんなに魔法石があるなんて凄い!!」
「サボってないで早く行け!!」

ありゃ、声が大きかったのか外まで聞こえたらしい

ある程度回収すると先へ進む

早速大ネズミが居る

まだ気付いてないのか地面をクンクンしながら歩いている

しゃがんで弓を構える

行き先を予測して矢を放つ!
(偏差撃ちというやつだ)

シュッ!
ズッ

一撃で仕留めた!

ネズミは群れで行動するので辺りを見回して確認をする

どうやらこの大ネズミは単独で行動していたようだ

しかしライトの魔法で灯りが灯って居るのでモンスターに居場所を知らせている様なものだが…

奥へ進むほど段々と暗くなっていき、もう入り口の明かりも見えなくなった
それに連れモンスターに見つからない様にライトの灯りも絞っていく

奇妙な匂いがする…
腐った様な香ばしい様な?…

どこだ?何の匂いだ?

所々水溜りの様になっている

匂いが強くなった

嫌な予感がして水溜りへ矢を放つ!

刺さった途端、水溜りが分裂した!

これは「ウーズ」だ

ウーズとはスライムの様な見た目でネバネバした生き物だ

水溜りの大きさが個体ではなくとても小さなウーズ同士の群体なのだ

属性も見た目では殆ど分からない
今回のコイツらは腐った匂いがするから腐食系だと思うが喰らって確認する訳にもいかない

しかし下手に攻撃をして分裂(分断?)をさせると、収集がつかなくなる

だから倒すには纏めて倒すしかない

プリスが言っていたのはコイツの事だったのだ

「確かに打撃では倒せないしナックルボンバーだと飛び散って面倒な事になりそうね」

「我が手に集え、燃え盛る炎!赤き怒りとなりて敵を焼き尽くせ!ファイアボール!」

ジュウウウウ!

「うっ!臭い!」

焼ける匂いが辺りに漂う

「まだ居るんだもんな…」

ウーズは自分から襲ってくる事はない
水溜りへ踏み込むと襲われるのだ

だから道を塞ぐような大きなものだけを焼けば良いのだが…とても臭い

臭い中を進んでいくとあからさまに怪しい宝箱がある

「これかな?」

慎重に開けるとメダルが一枚入っていた
「なるほど、これを持って帰るのが試験クリアの条件ね」

ポケットにしまい、さっきのウーズ地帯を引き返す

また巨大ネズミを倒しながら入り口まで戻ってきた

先生にメダルを手渡す

「よし!試験合格だ!次の者入れ!」

今思ったけど、順番が後のほうがモンスターが少なくなるから有利じゃないか?

「おかえり!ユカ!」
「おかえりなさい」
「ただいま!」

しばらくしてハリィの番が来た
「いってらっしゃい!」
「行ってきます!」

「ねぇプリス、打撃が効かないってウーズの事?」
「そうなんだよ!あれには参った…ファイアボールぐらい覚えておけば良かったよ」
「じゃあ明日からヒールとファイアボールの練習ね!」
「そうだな、遠距離攻撃も必要だな!」

「ところでカミュは?」
「あぁ、あっちのグループに居たと思うんだけど…」
カミュは隣のグループだ

「うおおおぉぉぉぉ!」
ドドドドド!

カミュが走って出てきた
「先生!タイムは?!」
「そんなものは測っていません!」
「えぇ~そんな…」

「何をやっているんだ?あいつは…」

しばらく談笑しているとハリィが戻ってきた
「せんせ~…ただ今戻りました…」
「おう、よく頑張ったな!合格だ!」
「ありがとうございます~…」

「おかえり!」
「おかえり!」
「ただいま~…」

「どうしたの?ボロボロじゃない!」
「ウーズが…ウーズが~…」
相当手こずったらしい

そんなこんなで中間テストも無事終わり
明日から夏休みだ

─いっぽうそのころマイケルは─
風魔術の威力を最小限にしてスカート捲りをしたのがバレて怒られていた
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