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蒼葉次郎
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「えーっと、まずは自己紹介を…」
書類を開きながら続ける
「俺は蒼葉次郎、ここの所長を務めている。といっても、職員は俺一人ですけどね」
奥のドアが開き爽がお茶を持ってやってくる
「もうひとり私が居るじゃないですか。私は助手の爽です」
お茶と茶菓子が配膳される
「お前なぁ…」
「わ、私は木下健二と申します。よろしくおねがいします」
「それで本日はどういったご用件でしょうか」
何故か爽が話を続ける
俺は茶を飲みながら
「そのポケットに入っている物ですか?」
依頼人の木下は驚いた表情でこちらを見る
「どうして分かったんですか?!」
「いや、ちょっと気になったもんでね」
ポケットから玉を取り出すと机に置いた
「へぇ~!綺麗な玉ですね!」
どうもこの年頃はこういうものに目ざといらしい
「この玉なんですが、何故か水が溢れてくるんです」
「水が?」
「ええ、水です」
爽が話を続ける
「条件とかあるんですか?、例えば時間とか場所とか…」
「それが、普段は神棚に飾ってあるんですが、朝になると床が濡れているそうなんです」
「"そうなんです"?」
続けて俺は訪ねた
「あなたは実際に見た事は無いんですか?」
「私は今の会社に最近入ったばかりで…今日知らされたんです」
…可哀想に…
「主任の指示で色々お祓いをやってくれる所を探してたんですが、なかなか見つからなくて…」
そうだろう
"お祓い"をやっている所はあっても、実際に霊等を祓える所はとても少ない
断られても当然だ
「それで、ウチで実際にお祓いをしてくれる所を探して欲しいというわけですか?」
木下は少し困惑した様な表情で答える
「それが…えぇっと、大魔神大社というところで、ココに行けば良いと教えられて…」
「あぁ、そういう事でしたか…」
おそらくこの玉に導かれたんだろう
普段は森の中にある神社だがそういったものが絡むと入り口が見つかる仕掛けだ
アイツめ…
また面倒そうな案件を回しやがって…
大魔神大社とは前所長…俺の親父が世話になった神社でこの世ならざるものに対してとても強い力を持つ神社だ
そこの息子とはその頃からの付き合いがり、現在はその息子が跡を継いでいて管理をしている
俺も見込まれて修行をした事があるが、どうも少し系統が違うという事で基本だけ学んで卒業となった
まぁ、目の前の玉を見てすぐに霊とは違う事は解っている
手に取るとそれまで輝いていた玉がじわりと曇ってきた
「あっ!それ!それです!また水が出てきた!」
興奮したように木下は言った
俺は手についた水を舐めてみる
「うーん、普通の水だな…」
「え、そうなんですか?毒とか無いんですか?」
「そんな事より原因を追求しませんか?」
爽が言う。もっともだ。
「で、これはどこから持ってきたんですか?」
「それが、出どころが分からないっていうか…新社屋を建てるとき、前の家を解体したら出てきたそうです」
続けて言う
「社長が気に入って神棚に祀ってあったんです」
まあ、これ程までに透明度がある玉なら何かしら力があると思っても無理は無いな
少し透視を試みてみる
透き通った水が視え、川の流れの様なイメージも視える
解体前の家の事を聞いても新人じゃ何も分からないよな
まあ、ここまで話を聞いてしまったからには助けるしかないか…
「では一度会社までお伺いします。今から時間はありますか?」
「それは願ってもない。今日は一日使えるので問題ありませんよ」
「それじゃ爽、準備をするぞ。木下さん、少しお待ち下さい」
そう言って準備を始めるが、これといって持っていくものはない
まぁ、形式上なものだ。手ぶらで行くわけにもいかないからな
爽が準備(こちらも自分の持ち物だけで特に捜査に必要なものは無い)を終え
「先生、行きましょう」
「よし、それじゃ木下さんお願いします」
そう言って事務所を後にする…
書類を開きながら続ける
「俺は蒼葉次郎、ここの所長を務めている。といっても、職員は俺一人ですけどね」
奥のドアが開き爽がお茶を持ってやってくる
「もうひとり私が居るじゃないですか。私は助手の爽です」
お茶と茶菓子が配膳される
「お前なぁ…」
「わ、私は木下健二と申します。よろしくおねがいします」
「それで本日はどういったご用件でしょうか」
何故か爽が話を続ける
俺は茶を飲みながら
「そのポケットに入っている物ですか?」
依頼人の木下は驚いた表情でこちらを見る
「どうして分かったんですか?!」
「いや、ちょっと気になったもんでね」
ポケットから玉を取り出すと机に置いた
「へぇ~!綺麗な玉ですね!」
どうもこの年頃はこういうものに目ざといらしい
「この玉なんですが、何故か水が溢れてくるんです」
「水が?」
「ええ、水です」
爽が話を続ける
「条件とかあるんですか?、例えば時間とか場所とか…」
「それが、普段は神棚に飾ってあるんですが、朝になると床が濡れているそうなんです」
「"そうなんです"?」
続けて俺は訪ねた
「あなたは実際に見た事は無いんですか?」
「私は今の会社に最近入ったばかりで…今日知らされたんです」
…可哀想に…
「主任の指示で色々お祓いをやってくれる所を探してたんですが、なかなか見つからなくて…」
そうだろう
"お祓い"をやっている所はあっても、実際に霊等を祓える所はとても少ない
断られても当然だ
「それで、ウチで実際にお祓いをしてくれる所を探して欲しいというわけですか?」
木下は少し困惑した様な表情で答える
「それが…えぇっと、大魔神大社というところで、ココに行けば良いと教えられて…」
「あぁ、そういう事でしたか…」
おそらくこの玉に導かれたんだろう
普段は森の中にある神社だがそういったものが絡むと入り口が見つかる仕掛けだ
アイツめ…
また面倒そうな案件を回しやがって…
大魔神大社とは前所長…俺の親父が世話になった神社でこの世ならざるものに対してとても強い力を持つ神社だ
そこの息子とはその頃からの付き合いがり、現在はその息子が跡を継いでいて管理をしている
俺も見込まれて修行をした事があるが、どうも少し系統が違うという事で基本だけ学んで卒業となった
まぁ、目の前の玉を見てすぐに霊とは違う事は解っている
手に取るとそれまで輝いていた玉がじわりと曇ってきた
「あっ!それ!それです!また水が出てきた!」
興奮したように木下は言った
俺は手についた水を舐めてみる
「うーん、普通の水だな…」
「え、そうなんですか?毒とか無いんですか?」
「そんな事より原因を追求しませんか?」
爽が言う。もっともだ。
「で、これはどこから持ってきたんですか?」
「それが、出どころが分からないっていうか…新社屋を建てるとき、前の家を解体したら出てきたそうです」
続けて言う
「社長が気に入って神棚に祀ってあったんです」
まあ、これ程までに透明度がある玉なら何かしら力があると思っても無理は無いな
少し透視を試みてみる
透き通った水が視え、川の流れの様なイメージも視える
解体前の家の事を聞いても新人じゃ何も分からないよな
まあ、ここまで話を聞いてしまったからには助けるしかないか…
「では一度会社までお伺いします。今から時間はありますか?」
「それは願ってもない。今日は一日使えるので問題ありませんよ」
「それじゃ爽、準備をするぞ。木下さん、少しお待ち下さい」
そう言って準備を始めるが、これといって持っていくものはない
まぁ、形式上なものだ。手ぶらで行くわけにもいかないからな
爽が準備(こちらも自分の持ち物だけで特に捜査に必要なものは無い)を終え
「先生、行きましょう」
「よし、それじゃ木下さんお願いします」
そう言って事務所を後にする…
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