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地底人を探して
エルロット
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※エルロット視点
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コイツら腕はそこそこ立つみたいだな。
ケンはちょろい。
エータはネチネチうるさい。
ゴーは・・・兵士は嫌いだ、国の犬が。
アレックスってヤツはわからん。喋らんし俺を殺そうとしやがった。
ビビってるフリして油断させていつか全てを奪って逃げてやる。
俺がこんなどんくさいヤツらに捕まるかってんだ。
しかし、金もたんまりもってるな。油断させれば俺ならできるはずだ。
昨日の夜にエータと情報を流していると思われる商人や兵士の所に行った時に
「今から言う事を君が彼らに質問したまえ。『クッキースカーフと繋がりがあるのか』と」
最初は商人の家に忍び込んで寝ている商人の口を抑えてエータは俺に言えと言った。
俺は言われた通りに「クッキースカーフとつながりがあるのか?」って聞いた。
エータは商人の返事を待たずに口を抑えたまま首をねじって殺しちまった。
俺が聞く意味あるのかと思ったが、怖くて聞けなかった。
その後の夜間警備してる兵士もまったく問題なくあっさり全員殺しやがった。
今俺の目の前で起きている惨劇はなんだ?
腕が立つとかそんなんじゃない。
俺はこのクッキースカーフ盗賊団が兵士崩れや傭兵を雇っている事は知っていた。
たった数人で襲撃をかけるって聞いた時にはチャンスだと思った。
こいつらの死体を盗賊団に奪われるかもしれないが、うまく取り入って分け前もらえればいいと考えていた。
だが、だが・・・何が起こったんだ?
俺は目の前が真っ暗になった気がした。
そして何故か自分がちっぽけなヤツであいつらが強大な存在に感じていた。
こんなバケモノに守られているケン・・・コイツはなんで俺にまでこんなに甘い・・・優しいんだ?なんなんだこいつら?
も、もしかして俺もこいつらの仲間になれるのか?
なりたい。こいつらの、ケンの仲間になりたいのかもしれない。
だがなんでだ?いつか死ぬのは当たり前だろ。
この盗賊たちだって自業自得で惨殺されたんだろ。
俺が、こんなあまっちょろいガキに憧れるなんてあるのか?
ケンってやつは甘いんだよ、甘すぎだ。
守られてなきゃとっくに骨までしゃぶられるのにな。
そんな風に思っていたのに・・・
だが。でも・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「大丈夫かエル?ゆっくり呼吸して・・・落ち着いたら水を少しずつ飲んで」
「はあはあ・・・す、すいませんケンさん・・・」
俺はエルの背中をさすりながら、落ち着いてきたエルを見てほっとした。俺よりもずっと強いんだなと感じていた。
「ああ、無理しなくていいよ。俺も最初に見た時は・・・」
酸っぱい臭いがしてきて内臓がはみ出ている死体を見て俺はえずいてしまった。
「はは、だいじょぶですかい?」
エルに背中をさすられてしまった。
「うう・・・俺がエルを介抱してたのにな。はは、情けないな俺」
「旦那達が待ってる。いきましょうや」
エルに支えられて立ち上がった。
俺たちはアレックスとエータの立つ石の小屋の前に来た。
「この中にも盗賊たちは潜んでいる。吾輩は別の出入口を探して見つけ次第突入するので、君たちはここから内部を探索してくれたまえ」
そういってエータは去っていった。
石の小屋は下り階段を囲う屋根のような部分だった。
階段には所々松明が壁にかかっているが暗い口を開いているように見える。
「あ、アレックス。先に行ってもらえるかな・・・」
俺がそう言うとアレックスは無言で階段を降りようとした所でエルがさっと前に出た。
「あっしが先頭を行きます。アレックスの旦那はついてきてください。ゴーの旦那は最後方でさー」
そう言うと暗い入口の中に吸い込まれていった。
残された俺たちは一度だけ三人で顔を見合わせたが、アレックスが続いて階段を降り、俺とゴーも続いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コイツら腕はそこそこ立つみたいだな。
ケンはちょろい。
エータはネチネチうるさい。
ゴーは・・・兵士は嫌いだ、国の犬が。
アレックスってヤツはわからん。喋らんし俺を殺そうとしやがった。
ビビってるフリして油断させていつか全てを奪って逃げてやる。
俺がこんなどんくさいヤツらに捕まるかってんだ。
しかし、金もたんまりもってるな。油断させれば俺ならできるはずだ。
昨日の夜にエータと情報を流していると思われる商人や兵士の所に行った時に
「今から言う事を君が彼らに質問したまえ。『クッキースカーフと繋がりがあるのか』と」
最初は商人の家に忍び込んで寝ている商人の口を抑えてエータは俺に言えと言った。
俺は言われた通りに「クッキースカーフとつながりがあるのか?」って聞いた。
エータは商人の返事を待たずに口を抑えたまま首をねじって殺しちまった。
俺が聞く意味あるのかと思ったが、怖くて聞けなかった。
その後の夜間警備してる兵士もまったく問題なくあっさり全員殺しやがった。
今俺の目の前で起きている惨劇はなんだ?
腕が立つとかそんなんじゃない。
俺はこのクッキースカーフ盗賊団が兵士崩れや傭兵を雇っている事は知っていた。
たった数人で襲撃をかけるって聞いた時にはチャンスだと思った。
こいつらの死体を盗賊団に奪われるかもしれないが、うまく取り入って分け前もらえればいいと考えていた。
だが、だが・・・何が起こったんだ?
俺は目の前が真っ暗になった気がした。
そして何故か自分がちっぽけなヤツであいつらが強大な存在に感じていた。
こんなバケモノに守られているケン・・・コイツはなんで俺にまでこんなに甘い・・・優しいんだ?なんなんだこいつら?
も、もしかして俺もこいつらの仲間になれるのか?
なりたい。こいつらの、ケンの仲間になりたいのかもしれない。
だがなんでだ?いつか死ぬのは当たり前だろ。
この盗賊たちだって自業自得で惨殺されたんだろ。
俺が、こんなあまっちょろいガキに憧れるなんてあるのか?
ケンってやつは甘いんだよ、甘すぎだ。
守られてなきゃとっくに骨までしゃぶられるのにな。
そんな風に思っていたのに・・・
だが。でも・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「大丈夫かエル?ゆっくり呼吸して・・・落ち着いたら水を少しずつ飲んで」
「はあはあ・・・す、すいませんケンさん・・・」
俺はエルの背中をさすりながら、落ち着いてきたエルを見てほっとした。俺よりもずっと強いんだなと感じていた。
「ああ、無理しなくていいよ。俺も最初に見た時は・・・」
酸っぱい臭いがしてきて内臓がはみ出ている死体を見て俺はえずいてしまった。
「はは、だいじょぶですかい?」
エルに背中をさすられてしまった。
「うう・・・俺がエルを介抱してたのにな。はは、情けないな俺」
「旦那達が待ってる。いきましょうや」
エルに支えられて立ち上がった。
俺たちはアレックスとエータの立つ石の小屋の前に来た。
「この中にも盗賊たちは潜んでいる。吾輩は別の出入口を探して見つけ次第突入するので、君たちはここから内部を探索してくれたまえ」
そういってエータは去っていった。
石の小屋は下り階段を囲う屋根のような部分だった。
階段には所々松明が壁にかかっているが暗い口を開いているように見える。
「あ、アレックス。先に行ってもらえるかな・・・」
俺がそう言うとアレックスは無言で階段を降りようとした所でエルがさっと前に出た。
「あっしが先頭を行きます。アレックスの旦那はついてきてください。ゴーの旦那は最後方でさー」
そう言うと暗い入口の中に吸い込まれていった。
残された俺たちは一度だけ三人で顔を見合わせたが、アレックスが続いて階段を降り、俺とゴーも続いた。
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