76 / 90
地底人を探して
クッキーの絵がプリントされた真っ赤なスカーフってどうなんだ
しおりを挟む
馬車を少しだけ進めて、森の中を通る街道の脇に停止した。
砂漠の街を出てから一日だが辺りは緑が多くなっていた。
ここでエルを待つことにした。
「エル、無事に帰ってきてくれよ」
俺は切り株に座ってそうつぶやいた。
ゴーと共に馬のブラッシングや蹄の泥を取ったりと手入れをしていた。
エルも心配だったが、灼熱の砂漠を歩いて移動することを想像して、馬がいてくれて本当によかったとシロンの頭を撫でていた。シロンは隣のゴーの肩に噛みついていた。
昼食を取っていると街道の向こうからエルが走ってきた。
無事戻ってほっとしたが、エルの報告を聞いて不安になった。
「街にはちゃんと衛兵もいて治安はいいんですが・・・」
エルの報告によると・・・
街中は衛兵がしっかりと警備をしていて治安はいいのだが、街近郊で「クッキースカーフ団」なる盗賊団が最近活発に活動をしているとの噂を何回か聞いたとの事だった。
不安視する住民の中には、小さなこの街にいつかクッキースカーフ団が大群で襲い掛かってくるのではないかと言った声も僅かながらあると・・・
「君はそのクッキースカーフ団なる集団に知見はないのだな?」
「ええ、あっしが取引していたのは砂漠だけっす。そんなマヌケな名前の盗賊団なんて聞いたことも見たこともねえですぜ」
俺もクッキーの絵が書いてある真っ赤なスカーフを風になびかせたおっさん集団を想像して『ダサい』と思ってしまってにやけた。
「商隊には警備もつけていたらしいんすが、先日襲われたって話しで・・・」
「警備兵をつけている集団を襲うとなると、さらに大きな集団か、あるいは手引きしているものがいるのか、情報をながしているものもいるかもしれんな。エルのように」
「え、エータの旦那!あ、あっしはホントに何も知りませんぜ!」
両手を万歳して手を大きく振っているコミカルな動きだが、顔は必死で額に汗が浮いている。
俺も盗賊集団に少し不安になったが、アレックスがポツリと
「・・・襲われたら倒せばいいだけであろう?」
それもそれで怖いのです。
「とにかく街に行きましょう。街の警備は信用できるので今日は早いですが、そこで休息しましょう」
ゴーはオロオロしている俺をフォローしてくれたのか、安全な街に行こうと提案してくれた。
街はそれほど大きくなく、外周に外壁や柵や門もなく、街道の脇に兵士詰所の建物があるだけであった。
特に許可や審査もなく街中に入り、馬車を預けて宿を取った。
宿につくとエータはエルに向かい
「再度情報を集めてくれないかね?クッキースカーフ団はかなりの人数ならどこをアジトにしているのか、可能なら聞いて報告してくれたまえ」
エルは一度深く頷いて宿の窓から外に飛び出した。ここ二階だけど・・・
「エータ、アジトを聞いてどうするんだ?わざわざ行かなくてもいいんじゃないか?」
俺は疑問をエータにぶつけると、エータは斜め45度に首をかしげて
「我々の目的は何かね?」
質問を質問で返してきた。俺は少しブスッとして
「エータの修理の為に地底人の所にいくんじゃないのか?」
「他には?」
相変わらず首を傾けたままのエータは不思議そうな顔をしているように見えた。
「他には・・・うーん?あ・・・わかった、遺跡か!」
「君は想像力とか行動原理や・・・いや、よそう。君は理解力は低いかもしれないが説明をしてほしいと吾輩に言った。それに答えよう」
エータの首はまっすぐに戻った。今度は俺が不思議そうな顔で首をかしげた。
「電源が死んでいる、もしくは微弱なシグナルの遺跡は吾輩には検出できない。過去の地図データではターミナルは多数点在しており、どこが現存しているのかは定かではない。可能性の話しになるが、生物が拠点として活動する事は大いにありうる」
「ああ、それで大人数の盗賊団なら遺跡を拠点にしているかもしれないって事だね。わかったよ」
「もうすこし理解が早いと助かるのだがね」
肩をすくめたエータに俺は半笑いの表情を見たような気がして
「最後の一言は余計だろ!」
「このようなコミュニケーションを君は好むような気がしてね」
アレックスとゴーは静かに俺たちのやり取りを見守っていた。
砂漠の街を出てから一日だが辺りは緑が多くなっていた。
ここでエルを待つことにした。
「エル、無事に帰ってきてくれよ」
俺は切り株に座ってそうつぶやいた。
ゴーと共に馬のブラッシングや蹄の泥を取ったりと手入れをしていた。
エルも心配だったが、灼熱の砂漠を歩いて移動することを想像して、馬がいてくれて本当によかったとシロンの頭を撫でていた。シロンは隣のゴーの肩に噛みついていた。
昼食を取っていると街道の向こうからエルが走ってきた。
無事戻ってほっとしたが、エルの報告を聞いて不安になった。
「街にはちゃんと衛兵もいて治安はいいんですが・・・」
エルの報告によると・・・
街中は衛兵がしっかりと警備をしていて治安はいいのだが、街近郊で「クッキースカーフ団」なる盗賊団が最近活発に活動をしているとの噂を何回か聞いたとの事だった。
不安視する住民の中には、小さなこの街にいつかクッキースカーフ団が大群で襲い掛かってくるのではないかと言った声も僅かながらあると・・・
「君はそのクッキースカーフ団なる集団に知見はないのだな?」
「ええ、あっしが取引していたのは砂漠だけっす。そんなマヌケな名前の盗賊団なんて聞いたことも見たこともねえですぜ」
俺もクッキーの絵が書いてある真っ赤なスカーフを風になびかせたおっさん集団を想像して『ダサい』と思ってしまってにやけた。
「商隊には警備もつけていたらしいんすが、先日襲われたって話しで・・・」
「警備兵をつけている集団を襲うとなると、さらに大きな集団か、あるいは手引きしているものがいるのか、情報をながしているものもいるかもしれんな。エルのように」
「え、エータの旦那!あ、あっしはホントに何も知りませんぜ!」
両手を万歳して手を大きく振っているコミカルな動きだが、顔は必死で額に汗が浮いている。
俺も盗賊集団に少し不安になったが、アレックスがポツリと
「・・・襲われたら倒せばいいだけであろう?」
それもそれで怖いのです。
「とにかく街に行きましょう。街の警備は信用できるので今日は早いですが、そこで休息しましょう」
ゴーはオロオロしている俺をフォローしてくれたのか、安全な街に行こうと提案してくれた。
街はそれほど大きくなく、外周に外壁や柵や門もなく、街道の脇に兵士詰所の建物があるだけであった。
特に許可や審査もなく街中に入り、馬車を預けて宿を取った。
宿につくとエータはエルに向かい
「再度情報を集めてくれないかね?クッキースカーフ団はかなりの人数ならどこをアジトにしているのか、可能なら聞いて報告してくれたまえ」
エルは一度深く頷いて宿の窓から外に飛び出した。ここ二階だけど・・・
「エータ、アジトを聞いてどうするんだ?わざわざ行かなくてもいいんじゃないか?」
俺は疑問をエータにぶつけると、エータは斜め45度に首をかしげて
「我々の目的は何かね?」
質問を質問で返してきた。俺は少しブスッとして
「エータの修理の為に地底人の所にいくんじゃないのか?」
「他には?」
相変わらず首を傾けたままのエータは不思議そうな顔をしているように見えた。
「他には・・・うーん?あ・・・わかった、遺跡か!」
「君は想像力とか行動原理や・・・いや、よそう。君は理解力は低いかもしれないが説明をしてほしいと吾輩に言った。それに答えよう」
エータの首はまっすぐに戻った。今度は俺が不思議そうな顔で首をかしげた。
「電源が死んでいる、もしくは微弱なシグナルの遺跡は吾輩には検出できない。過去の地図データではターミナルは多数点在しており、どこが現存しているのかは定かではない。可能性の話しになるが、生物が拠点として活動する事は大いにありうる」
「ああ、それで大人数の盗賊団なら遺跡を拠点にしているかもしれないって事だね。わかったよ」
「もうすこし理解が早いと助かるのだがね」
肩をすくめたエータに俺は半笑いの表情を見たような気がして
「最後の一言は余計だろ!」
「このようなコミュニケーションを君は好むような気がしてね」
アレックスとゴーは静かに俺たちのやり取りを見守っていた。
1
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
~まるまる 町ごと ほのぼの 異世界生活~
クラゲ散歩
ファンタジー
よく 1人か2人で 異世界に召喚や転生者とか 本やゲームにあるけど、実際どうなのよ・・・
それに 町ごとってあり?
みんな仲良く 町ごと クリーン国に転移してきた話。
夢の中 白猫?の人物も出てきます。
。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる