25 / 57
ケンと治療師
対象を確保しました!
しおりを挟む
崖を下り、浜辺につく頃にはポツリポツリと雨が降ってきた。
白い波打ち際の砂浜も、雨に濡れて黒くなっていく。
「昨日は晴天で気温も高かったから沿岸部までクラゲが流れ着いている可能性が高い」
ケンと並んで歩くエータは顔と目をせわしなく動かしながら続けた。
「ちなみにだが、海中に大型の捕食生物と思われる生命体がいる。君は水に入らずに対象の捜索をしてくれたまえ」
「・・・え!?」
俺は雨が降っていたが、海に遊びに来るのは小学生以来だとすこし浮かれた気分になっていた。遊びにきた訳ではないが、気持ちのウキウキは隠せなかった。俺のウキウキを返せ!
そんな冗談はともかく、俺は先ほどのエータの行動を見てから、エータがなんだか学生時代の友人のように感じ始めていた。
「え、エータ。海の中にいる動物が陸地の生き物を襲ったりは?」
エータは海水でもさびないのだろうか?荷物を置き、膝ほどまでザブザブと海の中に進み
「ふむ、その可能性はゼロではないが、この浜辺では陸から海に戻るのに困難を極めるので水にさえ入らなければ問題ないであろう」
「あ・・・エータ右!あれクラゲかも?」
俺は白波にもまれる半透明の白い物体を見つけ指さした。
エータは陸上と同じ挙動と速度で白い物体を救い上げた。
「ミズクラゲだ。でかしたぞケン。後数匹持ち帰ろう」
「と、ところでクラゲの種類はなんでもいいのか?」
俺は今更ながら疑問に思い聞いてみたが
「吾輩もクラゲの専門家ではないので正確な回答は持ち合わせておらん。可能なら数種類捕獲できたほうが良いな」
その後も時間はかかったが合計5匹のクラゲを捕獲し、鍋に入れフタをして荷物袋に入れた。
「だ、大丈夫かな?死んじゃわない?」
俺は心配になりエータに聞いてみたが
「海水を入れたし完全に乾燥しない限り72時間は生存可能なはずだが、急いだほうがいいのは確かだ」
そう言ってエータはじっと俺の方を見ている・・・言葉には出さないが何が言いたいのかがわかってしまった。
「わ、わかったよ。で、で、でも途中で休憩時間をもっと増やしてほしい・・・です」
「アレクシウスも待っているしな。正確には意識がないから『待っている』と表現するのはおかしいがな」
俺はなんだかエータが冗談を言っているような気がして、面白くなくて「ぷっ」っと笑ってしまった。
エータは不思議なものを見るように俺を見てから
「準備はよいかね?」
俺はエータの逆鱗に触れたのだろうか?死刑宣告がなされた・・・
担がれて15分くらいたっただろうか?クラゲの鍋もあるし、エータが速度を加減してくれているのかな?今日は大丈夫そうだと、思っていた時期が俺にもありました!
「・・・え、え、エータさん・・・そろそろ・・・うっぷ」
「もうかね?昨日より早くないかね?」
白い波打ち際の砂浜も、雨に濡れて黒くなっていく。
「昨日は晴天で気温も高かったから沿岸部までクラゲが流れ着いている可能性が高い」
ケンと並んで歩くエータは顔と目をせわしなく動かしながら続けた。
「ちなみにだが、海中に大型の捕食生物と思われる生命体がいる。君は水に入らずに対象の捜索をしてくれたまえ」
「・・・え!?」
俺は雨が降っていたが、海に遊びに来るのは小学生以来だとすこし浮かれた気分になっていた。遊びにきた訳ではないが、気持ちのウキウキは隠せなかった。俺のウキウキを返せ!
そんな冗談はともかく、俺は先ほどのエータの行動を見てから、エータがなんだか学生時代の友人のように感じ始めていた。
「え、エータ。海の中にいる動物が陸地の生き物を襲ったりは?」
エータは海水でもさびないのだろうか?荷物を置き、膝ほどまでザブザブと海の中に進み
「ふむ、その可能性はゼロではないが、この浜辺では陸から海に戻るのに困難を極めるので水にさえ入らなければ問題ないであろう」
「あ・・・エータ右!あれクラゲかも?」
俺は白波にもまれる半透明の白い物体を見つけ指さした。
エータは陸上と同じ挙動と速度で白い物体を救い上げた。
「ミズクラゲだ。でかしたぞケン。後数匹持ち帰ろう」
「と、ところでクラゲの種類はなんでもいいのか?」
俺は今更ながら疑問に思い聞いてみたが
「吾輩もクラゲの専門家ではないので正確な回答は持ち合わせておらん。可能なら数種類捕獲できたほうが良いな」
その後も時間はかかったが合計5匹のクラゲを捕獲し、鍋に入れフタをして荷物袋に入れた。
「だ、大丈夫かな?死んじゃわない?」
俺は心配になりエータに聞いてみたが
「海水を入れたし完全に乾燥しない限り72時間は生存可能なはずだが、急いだほうがいいのは確かだ」
そう言ってエータはじっと俺の方を見ている・・・言葉には出さないが何が言いたいのかがわかってしまった。
「わ、わかったよ。で、で、でも途中で休憩時間をもっと増やしてほしい・・・です」
「アレクシウスも待っているしな。正確には意識がないから『待っている』と表現するのはおかしいがな」
俺はなんだかエータが冗談を言っているような気がして、面白くなくて「ぷっ」っと笑ってしまった。
エータは不思議なものを見るように俺を見てから
「準備はよいかね?」
俺はエータの逆鱗に触れたのだろうか?死刑宣告がなされた・・・
担がれて15分くらいたっただろうか?クラゲの鍋もあるし、エータが速度を加減してくれているのかな?今日は大丈夫そうだと、思っていた時期が俺にもありました!
「・・・え、え、エータさん・・・そろそろ・・・うっぷ」
「もうかね?昨日より早くないかね?」
1
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした
カレイ
恋愛
子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き……
「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」
ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる