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ショコラーデと紅茶。
153話
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紹介されたほうも、少し照れくさそうに頬を赤らめる。
「……あの……一応、オーナーです……」
その反対に、クルトは若干引きながら再度確認。
「嘘……ですよね?」
マクシミリアンのイタズラに乗せられている、そう直感が告げる。店長が少女というだけでも驚きなのに、オーナーまで? どうなっているんだこの店?
だが、そこは気を強く。ユリアーネは落ち着いて対処する。
「いえ、本当です。このお店の建物ごと譲り受けています」
「マティアスの気まぐれにも参っちまうねぇ。こんな若い子に渡しちまうんだから」
ヒヒヒ、とこの状況を楽しむマクシミリアン。
なにやら微妙な雰囲気を察知したアニーが、ユリアーネとクルトの間に割り込む。
「で、ユリアーネさんにどんなご用っスか? そろそろ忙しくなってくる時間なので、手短にお願いするっス」
もしやユリアーネさん狙いなのか……? と、威嚇する。そりゃこんなに可愛くて美しい子ですから、わからなくもないですけど、それは許さない。
有名なショコラティエの方になんてことを……! ユリアーネが制す。
「アニーさん、そんな言い方——」
「はっきりと言いましょう。アニーさんの力をお借りしたい。新作のアドバイスをいただけたら、と考えています」
と、割り込んできて目の前にいるほうの少女に、クルトは目線を向けた。
アニーは自身を指差す。
「え? ボクっスか?」
ひとまず、ユリアーネ狙いではなかったことは安心だが、照準が自分に合ったことには素直に驚く。あまり面と向かって、改まって大人にお願いされることはない。ドキっと心臓が跳ねる。
そしてその内容に先に驚いたのはユリアーネ。世界的なショコラティエから、まさかのひと言。
「アドバイス……?」
自分と同じ年の、明るくて少し天然で、ライバルのような生涯のお友達のような。そんな彼女に、クルト・シェーネマンが助言を欲している。本気で……?
だが、当の本人は乗り気で快諾する。
「ボクはいいっスよ。その代わりさっきも言いましたけど、この店にもアドバイス欲しいです。ショコラーデの商品も多いっスから。改良に手伝ってもらいたいです」
それが条件です、とこれ以上はビタ一文まけるつもりもない。お店のため、さらには自分のオヤツのため。
喉から手が出るほど欲しがった申し出だが、ユリアーネは戸惑いの色を隠せない。話がトントン拍子で進みすぎている。
「本当にいいんですか?」
鬼気迫るものも感じる。まるでなにか焦っているかのように。
若干、その気迫にアニーもたじろぐ。
「な、なんかありましたっけ……?」
「……いえ、アニーさんがよければそれで……」
「?」
言葉を濁すユリアーネに、アニーは疑義の念を抱く。なにか失礼なことをしてしまったかも……あとで謝らねばっス。
「……あの……一応、オーナーです……」
その反対に、クルトは若干引きながら再度確認。
「嘘……ですよね?」
マクシミリアンのイタズラに乗せられている、そう直感が告げる。店長が少女というだけでも驚きなのに、オーナーまで? どうなっているんだこの店?
だが、そこは気を強く。ユリアーネは落ち着いて対処する。
「いえ、本当です。このお店の建物ごと譲り受けています」
「マティアスの気まぐれにも参っちまうねぇ。こんな若い子に渡しちまうんだから」
ヒヒヒ、とこの状況を楽しむマクシミリアン。
なにやら微妙な雰囲気を察知したアニーが、ユリアーネとクルトの間に割り込む。
「で、ユリアーネさんにどんなご用っスか? そろそろ忙しくなってくる時間なので、手短にお願いするっス」
もしやユリアーネさん狙いなのか……? と、威嚇する。そりゃこんなに可愛くて美しい子ですから、わからなくもないですけど、それは許さない。
有名なショコラティエの方になんてことを……! ユリアーネが制す。
「アニーさん、そんな言い方——」
「はっきりと言いましょう。アニーさんの力をお借りしたい。新作のアドバイスをいただけたら、と考えています」
と、割り込んできて目の前にいるほうの少女に、クルトは目線を向けた。
アニーは自身を指差す。
「え? ボクっスか?」
ひとまず、ユリアーネ狙いではなかったことは安心だが、照準が自分に合ったことには素直に驚く。あまり面と向かって、改まって大人にお願いされることはない。ドキっと心臓が跳ねる。
そしてその内容に先に驚いたのはユリアーネ。世界的なショコラティエから、まさかのひと言。
「アドバイス……?」
自分と同じ年の、明るくて少し天然で、ライバルのような生涯のお友達のような。そんな彼女に、クルト・シェーネマンが助言を欲している。本気で……?
だが、当の本人は乗り気で快諾する。
「ボクはいいっスよ。その代わりさっきも言いましたけど、この店にもアドバイス欲しいです。ショコラーデの商品も多いっスから。改良に手伝ってもらいたいです」
それが条件です、とこれ以上はビタ一文まけるつもりもない。お店のため、さらには自分のオヤツのため。
喉から手が出るほど欲しがった申し出だが、ユリアーネは戸惑いの色を隠せない。話がトントン拍子で進みすぎている。
「本当にいいんですか?」
鬼気迫るものも感じる。まるでなにか焦っているかのように。
若干、その気迫にアニーもたじろぐ。
「な、なんかありましたっけ……?」
「……いえ、アニーさんがよければそれで……」
「?」
言葉を濁すユリアーネに、アニーは疑義の念を抱く。なにか失礼なことをしてしまったかも……あとで謝らねばっス。
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