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花と衣装。
114話
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時刻は一六時を過ぎ、アニーとユリアーネは上がる時間に。代わりのアルバイトの人が到着し、軽く挨拶をしたあと、更衣室で二人は着替える。
そんな中、まだ置いていかれているアニーは、ディアンドルを脱ぎつつユリアーネにすがる。
「ユリアーネさん、ユリアーネさん。なんかあの二人複雑な感じでしたけど、どうなってるんですか? それと、たんぽぽコーヒーって——」
「たんぽぽコーヒーは、実はコーヒーではないんです。たんぽぽの根の部分を、コーヒー豆と同じ様に乾燥や焙煎して、抽出したものです。薄めのコーヒー、といったところでしょうか」
あまり店で提供しているところはないが、ブッフでは常備しているらしいことに、ユリアーネも驚いた。せっかくなので、ヴァルトでも置いてみよう、と画策する。
せっかく着たディアンドルを脱ぐことに抵抗はあったが、意を決して脱ぐアニー。理解しながら喋っているため、ユリアーネより脱ぐのが遅くなる。
「ほぇぇ……というか、コーヒーじゃなくないですか? どっちかと言えば、お茶?」
頭に絵疑問符を浮かべ、自分なりの解答を出す。紅茶やそっちに近い気がする。味がコーヒーというだけで。
それについては、ユリアーネも肯定する。
「別名、たんぽぽ茶とも言われています。食物繊維やビタミン、ミネラルなども豊富で、カフェインを摂りたくない方にもオススメです」
夜寝る前にもいいかもですね、と付け加え、コーヒーの万能さをアニーにアピール。もしアニーが飲んでみたいと言ったなら、今日淹れてみようと考える。
だが、違うところにアニーは引っかかっていた。
「なるほど。しかし、なんでパウラさんはカフェインを避けるんでしょうかね? 気になります」
「……」
もう、このままでいいんじゃないかと、ユリアーネは匙を投げかけている。知らなくても別に困らないだろう。ニブすぎて、アニーのこれからの恋愛事情などが心配になってくる。
さらにアニーは続ける。いつの間にか着替えは終わっている。
「それにしても、パウラさんも綺麗な方ですから、ディアンドル見てみたいですね。恋人募集中っスかね? 左かな? それともいる感じで右ですかね? ユリアーネさんはどう思います?」
「……右です」
それしかない。ユリアーネは呆れつつ答えた。
だが、アニーにはもちろん伝わらないで、勝手に暴走する。
「やっぱり! そうっスよね。いますよね、もしよければ着てもらって一緒に——」
「ダメです。ゆっくりしてもらいます。我々も帰りますよ」
荷物をまとめて、準備万端。ユリアーネは先にドアを開け、更衣室から出た。
そんな中、まだ置いていかれているアニーは、ディアンドルを脱ぎつつユリアーネにすがる。
「ユリアーネさん、ユリアーネさん。なんかあの二人複雑な感じでしたけど、どうなってるんですか? それと、たんぽぽコーヒーって——」
「たんぽぽコーヒーは、実はコーヒーではないんです。たんぽぽの根の部分を、コーヒー豆と同じ様に乾燥や焙煎して、抽出したものです。薄めのコーヒー、といったところでしょうか」
あまり店で提供しているところはないが、ブッフでは常備しているらしいことに、ユリアーネも驚いた。せっかくなので、ヴァルトでも置いてみよう、と画策する。
せっかく着たディアンドルを脱ぐことに抵抗はあったが、意を決して脱ぐアニー。理解しながら喋っているため、ユリアーネより脱ぐのが遅くなる。
「ほぇぇ……というか、コーヒーじゃなくないですか? どっちかと言えば、お茶?」
頭に絵疑問符を浮かべ、自分なりの解答を出す。紅茶やそっちに近い気がする。味がコーヒーというだけで。
それについては、ユリアーネも肯定する。
「別名、たんぽぽ茶とも言われています。食物繊維やビタミン、ミネラルなども豊富で、カフェインを摂りたくない方にもオススメです」
夜寝る前にもいいかもですね、と付け加え、コーヒーの万能さをアニーにアピール。もしアニーが飲んでみたいと言ったなら、今日淹れてみようと考える。
だが、違うところにアニーは引っかかっていた。
「なるほど。しかし、なんでパウラさんはカフェインを避けるんでしょうかね? 気になります」
「……」
もう、このままでいいんじゃないかと、ユリアーネは匙を投げかけている。知らなくても別に困らないだろう。ニブすぎて、アニーのこれからの恋愛事情などが心配になってくる。
さらにアニーは続ける。いつの間にか着替えは終わっている。
「それにしても、パウラさんも綺麗な方ですから、ディアンドル見てみたいですね。恋人募集中っスかね? 左かな? それともいる感じで右ですかね? ユリアーネさんはどう思います?」
「……右です」
それしかない。ユリアーネは呆れつつ答えた。
だが、アニーにはもちろん伝わらないで、勝手に暴走する。
「やっぱり! そうっスよね。いますよね、もしよければ着てもらって一緒に——」
「ダメです。ゆっくりしてもらいます。我々も帰りますよ」
荷物をまとめて、準備万端。ユリアーネは先にドアを開け、更衣室から出た。
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