Sonora 【ソノラ】

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ヴォランテ

234話

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「……花言葉は『偽り』。ムーン・リバーは本当は原作には存在しない歌、だったはず。だからこそ、そう感じたんだと……思う」

 確証はないけど。ベアトリスさんだったらどう、表現していただろうか。

 理解はできる。だが、それよりもジェイドには気になった部分がある。そこを突き詰める。

「……見えた、って言ったね。どういうこと?」

 イスを引く。そして真剣に顔を寄せた。

 だがそれを黙って見過ごせない人もいる。オードだ。

「それよりも。あんた普通に座ってるけど。仕事はどうなってんのよ。どういうこと? はこっちのセリフよ」

 これって時給もらえるの? だとしたらここの店大丈夫? 心配になる。

「まぁまぁ。今はこっちが優先だ。それで、見えるっていうのは?」

 指摘もそこそこに受け流し、ワクワクするほうへ赴くジェイド。なんか言われたらあとで謝ろう。店長は許してくれるはず。

 まだ手に入れて日の浅い感覚であるため、中々カッチリと枠にハマった説明が難しいベル。とりあえず、思ったこと、感じていることをそのまま。

「……たぶん信じられないと思うけど、私は音や曲を『花』に見立てる、っていうのかな、そういう風に捉えるようにしてるの。イメージでしかないから、あんまり口で説明するのも難しいんだけど」

 友人の中には『香り』を音に変化する共感覚の持ち主もいる。それ、に近いのかな? なんだろう、少し嬉しいような、不安なような。その友人、ブランシュもこういう感じなのだろうか。

 嘘をついているようには見えないし、つく必要性もない。適当に花を当てはめておけばいいだけのところを、顔を真っ赤にして伝えてくれている。ならばジェイドのすることは。

「信じるよ。なるほど、それでムーン・リバーを演奏したら、ゼラニウムが見えたってことか」

 簡単にまとめ。いいね。

 だが、それとは逆にオードは懐疑的。それでいて注目。

「オカルトね。でも、興味深いと言えば興味深い。で? あたしにも頼みたいことってなんだったの?」

 その視線のターゲットを変更。隣に勝手に座っているヤツへ。

 そうだそうだ、と半分は忘れていたジェイド。なんてったって面白そうな人間を知ってしまった。

「あぁ、それなんだが、ゼラニウムをカルトナージュで作れる?」

 ベルが想像した花を。今度は相棒の番。そういうこと。

 オードの頬杖をついていた肘が滑る。

「は? あたし? あたしが作るの?」

 そして当然のように反発。こいつはいつも唐突。やる側の状況なんて一切考えない。
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