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スピリトーゾ
140話
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パリ南東部にあるランジス市場。生鮮食品や生花、その他雑貨などを取り扱う、フランスどころか世界でも最大級の卸市場である。あまりに広すぎることから、市場内はバスが走っており、上手くまわることができるように、部門ごとに開店時間が違う。早いもので午前二時から開店というものも。
そして実はパリではなく、ランジス市に存在する。というのも、以前はパリのレ・アル地区に市場があったのだが、交通渋滞やどんどん部門が増えていったこともあり、移設することに。それぞれ部門ごとにパビリオンと呼ばれる棟が建てられているが、野菜や果物を取り扱うものは一五もある。
そんなパリの市内からであれば、三〇分ほどで到着するランジス市場。三時に開店する花部門。そこへ向けて出発しているリオネルとシャルル。いつもは仕入れ用の大きいトラックだが、今日は花を一括して購入する、というわけではないので、普通のワゴン車で。だが。
「……こ、こんなにいたの……?」
運転するリオネルが、車内の人口密度に疑問を呈する。運転するリオネルと、助手席のシャルル。二人で向かう予定だった。
「まぁまぁお父様、人数が多いほうが楽しいですよ」
そう、リオネルの呟きに、後部座席から反応したのはレティシア・キャロル。特に花との繋がりはないのだが、〈ソノラ〉を知って以来、ちょくちょくお店に足を運ぶようになった。ベルと同級生。スタイルもよく、眉目秀麗。かなりシャルルに対して甘い。いや、甘すぎる。
「ランジス市場って食べ物もたくさん売ってるところだろ? 新鮮なやつ」
そしてそこに割って入ってくるのは、シルヴィ・ルクレール。花はまず味から、と考えている。こちらも同級生。シャルルとベアトリスには甘い。
そしてひとり、控えめにベルは座る。
「あの、お邪魔してしまってすみません……」
無理を言ってしまってないか、それが気がかり。そして相手はシャルルとベアトリスの父。そしてM.O.F。気後れしていないレティシアとシルヴィがすごい。
その謙虚さにリオネルはフォローを入れる。
「ベルちゃんだっけ? いいのいいの、華があってオジサン嬉しいから」
いつもなら、もっと暗い気持ちで市場へ向かっていたかもしれない。そう考えると、これはこれでアリだな、とひとり頷いた。
なぜこうなったか。数時間前に遡ると、シャルルの不在に敏感なレティシアが、所在をベアトリスに問い詰めたところ、深夜にランジス市場に向かうとの証言を得たため、ダメ元で同行を尋ねた。その結果リオネルの許可が降りた、というもの。
そして実はパリではなく、ランジス市に存在する。というのも、以前はパリのレ・アル地区に市場があったのだが、交通渋滞やどんどん部門が増えていったこともあり、移設することに。それぞれ部門ごとにパビリオンと呼ばれる棟が建てられているが、野菜や果物を取り扱うものは一五もある。
そんなパリの市内からであれば、三〇分ほどで到着するランジス市場。三時に開店する花部門。そこへ向けて出発しているリオネルとシャルル。いつもは仕入れ用の大きいトラックだが、今日は花を一括して購入する、というわけではないので、普通のワゴン車で。だが。
「……こ、こんなにいたの……?」
運転するリオネルが、車内の人口密度に疑問を呈する。運転するリオネルと、助手席のシャルル。二人で向かう予定だった。
「まぁまぁお父様、人数が多いほうが楽しいですよ」
そう、リオネルの呟きに、後部座席から反応したのはレティシア・キャロル。特に花との繋がりはないのだが、〈ソノラ〉を知って以来、ちょくちょくお店に足を運ぶようになった。ベルと同級生。スタイルもよく、眉目秀麗。かなりシャルルに対して甘い。いや、甘すぎる。
「ランジス市場って食べ物もたくさん売ってるところだろ? 新鮮なやつ」
そしてそこに割って入ってくるのは、シルヴィ・ルクレール。花はまず味から、と考えている。こちらも同級生。シャルルとベアトリスには甘い。
そしてひとり、控えめにベルは座る。
「あの、お邪魔してしまってすみません……」
無理を言ってしまってないか、それが気がかり。そして相手はシャルルとベアトリスの父。そしてM.O.F。気後れしていないレティシアとシルヴィがすごい。
その謙虚さにリオネルはフォローを入れる。
「ベルちゃんだっけ? いいのいいの、華があってオジサン嬉しいから」
いつもなら、もっと暗い気持ちで市場へ向かっていたかもしれない。そう考えると、これはこれでアリだな、とひとり頷いた。
なぜこうなったか。数時間前に遡ると、シャルルの不在に敏感なレティシアが、所在をベアトリスに問い詰めたところ、深夜にランジス市場に向かうとの証言を得たため、ダメ元で同行を尋ねた。その結果リオネルの許可が降りた、というもの。
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