Sonora 【ソノラ】

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アフェッツオーソ

68話

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「悪いわね、体は結婚相手にしか許す気はないわ」

 え、もう結婚のことを考えてるんだ。

「ともかく。私も気になっていることがあるの。聞いていいかしらベル」

 なに?

「さっきも出てたわね。どうしてピアノを止めてしまったの? 言いたくなければ言わなくていいわ。聞いた後、忘れろと言うのなら忘れるわ」

「それはあたしも気になってたぞ。だってお前、たまにエアでピアノ弾いてるところとか見るし」

 う……まぁ……色々、ね。

「でもエアピアノしてるってことは、好きなんでしょ?」

 そう……なのかな。実はね、自分でも忘れようとしてるんだけど、リズム刻んだり、指を動かしてるのに気づくと、わかんなくなるんだ。でもね、もう一度あんな想いをするのが怖い、んだと思う。弾きたい気持ちと、でもやるなら上を目指したい気持ち。そうなるとたぶんまた……。

「あんな、ってのはよくわからないけれど、あなたのやりたいようにしたらいいんじゃないかしら? 私達はあなたの味方ってのは覚えてていいわ」

 ……ありがと。ごめんね。

「なにに対して謝ってるのかしら」

 よくわかんないけど、なんとなく、かな。

「辛いことを無理にやる必要はないわね。ちなみにもう一度ピアノをやる可能性はどれくらい?」

 もう一度か……一〇パーセントもない、かな。

「あーもう! はっきりしない!」

 ど、どうしたのシルヴィ?

「なんかなー、十っていうとそれなりに可能性あるような気がしてくるんだよなー」

「そう取れなくもないわね」

 でも……それだとどうしたら……。

「じれったいんだよなー」

 と、言われても……。

 シルヴィが唸りつつ思案すること一〇秒。

「…………よし! あたしが良い店紹介してやる!」

 い、良い店? なんの? シルヴィ、すごく悪そうな顔してるけど。

「それは秘密だ。ちょっと待て。地図に書いてやる」

「お店の名前は? それくらいはいいんじゃない?」

「それはなー、〈ソノラ〉だ」

 〈ソノラ〉?

「怪しい店じゃないでしょうね」

「わはははは」

 否定してよ!

「安心しろ、たぶん今のお前にピッタリの店だ」

 ふ、不安……。
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