C × C 【セ・ドゥー】

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マリー・アントワネット

31話

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「いや、でもあまりいい噂聞かないから、違う人探した方がいいかも。私も友達でもなんでもないし」

 聞いたことがある、程度の認識だった。もしかしたら一七区かもしれないし、カルトナージュじゃなくてパン屋かもしれない。なにかのお店をやっている子、くらい。

 しかし、解決の糸口を見つけたと思ったジェイドは、簡単には引き下がらない。

「どういうこと? 違うの? いないの?」

 手首を握る力がより一層強くなる。

 ポーレットは、今後ジェイドが人探しをしていたら、握られないように会話は五メートルは離れてからしよう、と決めた。

「まぁ、本人に会ってみたら?」

 そう返すだけで精一杯。しかし本当のこと。名前もうろ覚え。もしかしたら職も間違っているかもしれない。間違っていたらどうしよう。保健室で手首の骨折は治るのだろうか。

 一切の遊びのない目つきでジェイドはポーレットを見据える。

「どこにいる?」

「さぁ? 誰かと一緒にいるところ見たことないし、店に行ってみたほうが早いんじゃない?」

 ポーレットから得た情報としては、カルトナージュ店の子はたぶんいる。しかし名前も顔もわからない。店はおそらく一九区。ある程度は絞れるが、こんなので見つかるのだろうか。あまり人とつるまないのであれば、店の子か聞いても否定されるかもしれない。そうしたらお手上げだ。

「一九区か……」

 コンセルヴァトワールなどが存在する行政区、一九区。行ったことはないが、まぁどうにかなるだろう。
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