114 / 209
Nc3
114話
しおりを挟む
予想していなかった答えに、アリカの思考は停止した。賭博、肢体、はぁ?
「なんだよそれ。現実味がない。そんなの信じられるわけないし。写真でもあるの?」
本当だったら面白いけどね。それだとしたら、あの優等生は勝ち続けない限り、下衆な男どもに抱かれるってこと。賭博をやらないからよくは知らないが、全戦全勝なんて無理だろう。もうすでにやられているか? もったいない。
目の前のテーブルの上には携帯。それをジルフィアは操作する。すると出てくる一枚の写真。それを見せつける。
「ただ、異常なまでに強いのは事実。そのほとんどがチェスによるもの。頭が良すぎるってのはそっちにも影響するみたいね」
変装しているため、確実に本人とはいえない。たしかにそんな気もする、その程度の写真。
確認したアリカの唇が尖る。
「ふーん。ま、でも違法でもなんでもないんじゃない? 一応はある程度の額は合法だし。なんで殺すの?」
今のところ、向こうに非はなにも感じない。一方的に恨みでもあるのか? まぁ、理由なんてなんでもいい。真っ赤な花が咲く。豪華で絢爛な華が。それだけで自分は満足。
問われたジルフィアは「あー、そっか」と、手を叩いた。
「言葉足らずでごめんね。正確には殺したいというよりも、彼女のために『命がけの勝負』がしたいだけなんだ」
ごめんごめん、と再度謝罪。内容と逆にその態度は軽い。まるで『寝てるところ起こしちゃって』くらいのラフな謝り方。
そのアンバランスな言葉と雰囲気に、アリカの手にはじんわりと汗。
「……彼女のため?」
なんとなく、関わったらいけないヤツ、なんてのは最初からわかっていたが、話を深く聞いていると、さらにヤバいかも、と危険指数が上がる。歓迎はするが、引き返すところも見極めたほうがいいか、とも同時に。
違う写真を見せてくるジルフィアだが、シシーを目にしている時の彼女は本当に生き生きとしている。
「ほら、見てみなよ。この退屈そうな顔。見たところ、彼女はお金が欲しいというよりも、スリルを感じるためにやっている。なら、より危険にしてあげなきゃ。でも、この退屈そうな顔も素敵だ」
画面にキス。かと思いきや、ベロっと液晶を舐めだした。唾液がテラテラと反射するシシー・リーフェンシュタールのご尊顔。
たしかに淫らだな、とは思うが、アリカはむしろその行為のおかげで、少し冷静になる。
「で、それと毒にどう関係が? チェスで負けたほうが飲むって? 勝てるの?」
異常なまでに強いのであれば、それと比肩するレベルでなくてはいけない。そうでなければなんの緊張感もない勝負になる。この人はそうなのだろうか。
「なんだよそれ。現実味がない。そんなの信じられるわけないし。写真でもあるの?」
本当だったら面白いけどね。それだとしたら、あの優等生は勝ち続けない限り、下衆な男どもに抱かれるってこと。賭博をやらないからよくは知らないが、全戦全勝なんて無理だろう。もうすでにやられているか? もったいない。
目の前のテーブルの上には携帯。それをジルフィアは操作する。すると出てくる一枚の写真。それを見せつける。
「ただ、異常なまでに強いのは事実。そのほとんどがチェスによるもの。頭が良すぎるってのはそっちにも影響するみたいね」
変装しているため、確実に本人とはいえない。たしかにそんな気もする、その程度の写真。
確認したアリカの唇が尖る。
「ふーん。ま、でも違法でもなんでもないんじゃない? 一応はある程度の額は合法だし。なんで殺すの?」
今のところ、向こうに非はなにも感じない。一方的に恨みでもあるのか? まぁ、理由なんてなんでもいい。真っ赤な花が咲く。豪華で絢爛な華が。それだけで自分は満足。
問われたジルフィアは「あー、そっか」と、手を叩いた。
「言葉足らずでごめんね。正確には殺したいというよりも、彼女のために『命がけの勝負』がしたいだけなんだ」
ごめんごめん、と再度謝罪。内容と逆にその態度は軽い。まるで『寝てるところ起こしちゃって』くらいのラフな謝り方。
そのアンバランスな言葉と雰囲気に、アリカの手にはじんわりと汗。
「……彼女のため?」
なんとなく、関わったらいけないヤツ、なんてのは最初からわかっていたが、話を深く聞いていると、さらにヤバいかも、と危険指数が上がる。歓迎はするが、引き返すところも見極めたほうがいいか、とも同時に。
違う写真を見せてくるジルフィアだが、シシーを目にしている時の彼女は本当に生き生きとしている。
「ほら、見てみなよ。この退屈そうな顔。見たところ、彼女はお金が欲しいというよりも、スリルを感じるためにやっている。なら、より危険にしてあげなきゃ。でも、この退屈そうな顔も素敵だ」
画面にキス。かと思いきや、ベロっと液晶を舐めだした。唾液がテラテラと反射するシシー・リーフェンシュタールのご尊顔。
たしかに淫らだな、とは思うが、アリカはむしろその行為のおかげで、少し冷静になる。
「で、それと毒にどう関係が? チェスで負けたほうが飲むって? 勝てるの?」
異常なまでに強いのであれば、それと比肩するレベルでなくてはいけない。そうでなければなんの緊張感もない勝負になる。この人はそうなのだろうか。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい
凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。

14 Glück【フィアツェーン グリュック】
隼
キャラ文芸
ドイツ、ベルリンはテンペルホーフ=シェーネベルク区。
『森』を意味する一軒のカフェ。
そこで働くアニエルカ・スピラは、紅茶を愛するトラブルメーカー。
気の合う仲間と、今日も労働に汗を流す。
しかし、そこへ面接希望でやってきた美少女、ユリアーネ・クロイツァーの存在が『森』の行く末を大きく捻じ曲げて行く。
勢い全振りの紅茶談義を、熱いうちに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる