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第7章

サイハイソックス談義

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リビングから真由の部屋に移ると、恵子は大きなため息が出ました。
「はぁ~、やっぱり緊張した~、ふぅ」
「恵子、流石ね!パパもママも恵子のこと気に入ったみたいでよかったわ」
真由もホッと一息です。
「それにしても恵子のフランス語、すごいよ!何言ってるか全然分かんなかったけど」
「私、小学校は現地の学校に通っていたからね。ママ以外はほぼフランス語で話していたから。最初は大変だったけどね」
「ああ、でもこれで私比較されちゃうよ~。ロンドンに住んでいたのに英語全然話せないって‥」
真由はバンザイしながらベッドに倒れ込みました。
「真由、ごめんね。余計なことしちゃって‥」
恵子が悲しげな目で真由を見ると、真由は慌てて飛び起きました。
「恵子、ごめんなさい。そんなつもりで言ったんじゃないのよ。恵子は私の憧れなんだもん。恵子は何でもすごいなって私のボヤキよ。気を悪くしたらごめんなさい」
「ねえ、真由。私全然すごくないから。真由だって私よりすごいところあるんだし、そういう風に言うのやめようよ」
「恵子、本当にごめんね。でもそんな風に言ってくれるのはすごく嬉しいよ。本当の親友だなって」
薄ら涙ぐむ真由を恵子は優しく撫でます。

「でも私。まだまだ真由のこと知らないことが多いから、いろいろ知りたいなぁって思ってるの」
「私もよ。恵子のこといろいろ知りたいなぁってね」
「ねえ、真由。どんなサイハイソックスを持ってるの?」
恵子が一番知りたいのは。やはりサイハイソックス です。
今日の真由は鮮やかなワインレッドのサイハイソックスです。
「一番のお気に入りはこのサイハイソックスよ。柔らかくてすごく伸びるのよ」
真由が太もものところをつまんで見せます。
「ねえ、触ってもいい?」
「もちろんいいわよ」
恵子は真由のサイハイソックスを撫でてつまんでみます。
「うわあ、よく伸びる!柔らかくて気持ちいいね」
羨ましそうに見る恵子を見て真由は提案しました。
「ねえ、恵子。恵子の履いてるサイハイソックスと私のサイハイソックスを交換しない?もちろん新品を交換したいんだけど」
恵子は困った表情です。
「真由、せっかくだけどごめんね」
「え?ダメなの‥‥」
真由はがっかりです。
「真由、私、絶対白しか履かないのよ。だから、ごめんね」
「なぁんだ、そうなんだ。だったら、これ、白色あるのよ。それだったらいいかな?」
真由の再提案に恵子も大喜びです。
「真由、それならOKよ!すごく嬉しいわ」
「恵子、ありがとうね!恵子が履いてるリプのサイハイソックス、小学生のソックスっぽくて逆に可愛いなぁって思えて。たがら欲しいなぁって思ったのよ。恵子、ありがとう!」
「これ、私の一番のお気に入りのサイハイソックスなんだよ。といっても、私、そんなにたくさんの種類を持ってるわけじゃないけどね。ねえ、真由。よかったら真由のサイハイソックスコレクションを見せてもらえないかな?」
真由は待ってましたとばかりに大張り切りです。
「いいわよ。ここにあるのよ」
真由はベッドの下の収納引き出しを開けました。
「うわぁ、す、すごい、いっぱいありすぎ!」
恵子は驚きの声をあげました。
綺麗に折り畳まれた様々な色のサイハイソックスが、50種類以上入っていたのです。
もちろん白色も入ってます。
「ママがね、サイハイソックスだったら何でも買ってくれるのよ。服とかはなかなか買ってくれたいけど、私、サイハイソックス以外はあんまり興味ないから」
「それにしてもすごい数だよ、これ」
恵子はいくつか手に取って見ながら、驚きを隠せません。

「私、本当にサイハイソックスだけあればいいのよ。だから、サイハイソックスだけ履いて過ごすのが夢なのよ。夜もサイハイソックスだけ履いて眠りたいのよ。恵子はそんなの変って思うでしょうけど」
真由が少し涙目になったので、恵子は真由の隣に座りました。
「変だなんて全然思わないよ。だってこの間、サイハイソックスだけ履いて家の裏の草原を散策したわ」
真由は驚いて顔を上げます。
「サイハイソックスだけ履いて外に出たの?」
「ええ、そうよ。まあ、さすがに一回だけだけどね」
「恵子ってそんな大胆なことするんだ‥‥ちょっと驚きだわ」
「真由には話してなかったんだけど、私、普段は家の中では、胸の上まで覆う白いハイウエストタイツだけ履いて過ごしているの。詩絵美や菜乃花とのお泊まり会の時もお互いその姿で過ごしたし、2人もそのタイツだけ履いて過ごしたわ。だから、真由がサイハイソックス だけ履きたいっていうのも全然変に思わないわよ」
真由はようやくホッと安心したような表情になりました。

「じゃあ、恵子の家でお泊まり会をやる時に、サイハイソックス だけ履いて寝てもいい?」
「もちろんOKよ。それ、私もやったことないから、一緒にやろうよ」
真由は大喜びで恵子に抱きつき、ベッドに押し倒しました。
「恵子、ありがとう!すごく嬉しい!」
「真由、あの、分かったから。ちょっと苦しいよ~」
「あ、ごめん、ごめん。あんまり嬉しくて。」
真由は慌てて恵子を引き起こしました。
「ねえ、恵子。さっきの話、詩絵美や菜乃花も恵子のタイツを履いて過ごしたの?」
「ええ、そうよ。一昨日の菜乃花のときは、菜乃花が持ってきたボディタイツも履いたりしたけどね」
「それ、私もいいかな?胸の上まで覆うタイツってどんなのか経験してみたいわ」
今度は恵子がすごく嬉しそうな表情になりました。
「真由、もちろんOKよ。ハイウエストタイツに興味を持ってくれて、すごく嬉しいわ」
「でもパパやママがOKしてくれないと、何にもならないのよ」
すぐに真由は浮かない顔になってしまいました。
「あとで私からお願いしてみるわ」
「恵子、ありがとう。なんとかOKしてくれないかな‥」

その後も2人はサイハイソックスやタイツ、お互いの部活や小学生時代のことや今の勉強のことなどを語り合ったり、一緒にお気に入りの動画を見たりして楽しく過ごしました。
「真由、恵子さん、お茶を用意したからリビングへいらっしゃい」
ドアがノックされ、真由の母の声が聞こえました。
「すぐにいくわ」
真由が答え、恵子も立ち上がり、2人は部屋を出て笑顔でリビングへ入っていきました。
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