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第3章

カミーユのタイツ22 出発

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どのくらい泣き続けたでしょうか。
カミーユの母が優しく声をかけてくれました。
「恵子さん、素敵だったわ。きっとカミーユもあなたの想いに喜んでいるわ。本当にありがとう。」
恵子はカミーユの母の胸から顔を上げると、ホッとした表情になりました。
「私、すごく恥ずかしいことしちゃいましたね。」
恵子に久しぶりの笑みが戻りました。
「恵子さんのオナニー、凄かったわよ!実は私、少し興奮しちゃった!カミーユもきっと興奮したわよ!」
カミーユの母の返事に恵子も久しぶりに声を上げて笑いました。

「カミーユはあなたを愛して幸せだったわ。そしてあなたの幸せを心から願っていたわ。あなたの幸せを守ることができて、カミーユも本望だったと思うの。だから恵子さん、あなたは絶対幸せになってね。カミーユの分も幸せになって欲しいわ。失礼なことを承知で言うと、あなたがカミーユの代わりに私の娘のような気がしているの。あなたの幸せを私も心から願っているわ。」

恵子は大きく頷くと、もう一度カミーユの墓碑に向かって恵子の白いハイウエストタイツ姿を晒しました。
「カミーユ、あなたに言われた通り、自信を持って白いハイウエストタイツを履いているわ。そして今、自信を持ってオナニーしたのよ。それがありのままの恵子よ。あなたが愛してくれた恵子なのよ。これからも自信を持って、胸を張って生きていくわ。絶対幸せになるから、天国から見ていてね、カミーユ。」

恵子は黒いワンピースを着て、タイツの上から黒いサイハイソックスを履き、靴も履きました。
「私、もう泣きません。カミーユのためにも絶対幸せになりますね。カミーユの最後の言葉も「幸せになってね」でした。私、この言葉を絶対に忘れません。」
カミーユの母は何度も頷いて恵子を抱きしめました。
「お母さん、これからも時々私と会ってくれますか?一緒にお墓参りしたり、私の話しを聞いてもらいたいので、これからもお会いしたいです。」
恵子はカミーユの母を力強く見つめながら言いました。
「そんな、恵子さん、本当にいいのですか?ありがとう、本当にありがとう。これからは恵子さんに会えるのを楽しみに毎日を生きていくわ。」
カミーユの母の目から涙が一筋流れましたが、すぐに笑顔で恵子をもう一度抱きしめました。
恵子も満面の笑顔で力強く抱きしめました。

恵子は爽やかな笑顔で帰宅しました。
「ママ、私もう大丈夫よ。明日から学校へ行くわ。」
恵子の母は一体何があったのかと驚きましたが、カミーユが亡くなってから、初めて恵子の満面の笑みを見たので、何も聞かないことにしました。
「分かったわ。遅れている勉強をしっかり取り戻すのよ。」
「んもう、分かってるわよ、ママ。それともうすぐ夏のバカンスだけど、予定通り南仏プロヴァンスだよね。」
「そうよ。でも夏休み前にきちんと勉強しないと連れていきませんよ。」
「はーい、了解です!」
恵子の新たな日常が始まりました。

その後、カミーユの母とは定期的に年に4回ほど、ちょうど日本のお盆やお彼岸、年末の時期に会うことにしました。
一緒にお墓にお参りしたり、青果店のおかみさんも交えて話したり、恵子の話しを聞いてもらったりして過ごしましたが、いつもカミーユの母は恵子の成長と幸せな様子をとても喜んでくれました。
日本への帰国も、恵子の幸せのためならと、後押ししてくれました。

恵子は、恵子の母とカミーユの母という2人の母に支えられ、そして天国のカミーユに見守られながら、自信を持って幸せを探し求めて、自分の道を歩み始めました。

草原には少しずつ夕方の雰囲気が漂い始めました。
空を見上げていた恵子は、タイツの中に入れていた両腕を外に出しました。
そして改めて胸の上まで覆うように整えました。
「カミーユ、私はありのままの自分に自信を持って生きているわ。今日もこれから私の幸せのために、詩絵美の家に行ってくるから見守ってね。」
恵子は、帰りは見晴らしのいい草原の中を、白いコットンハイウエストタイツだけ身につけて、堂々と誇らしげに歩いていました。
「カミーユ、このタイツの散策、本当に気持ちいいのよ。カミーユがプレゼントしてくれたおかげね。」

家に帰ると、再び白いシームレスハイウエストタイツに着替えました。
外出する時は普段は白いサイハイソックスなのですが、今日は詩絵美にこのタイツとオナニーのことを話すため、実際にこのタイツを履いていくことにしました。

今日はかなり暖かい日なので、少し長めの白の長袖Tシャツだけをタイツの上から着ました。
ズボンも下着も身につけていません。
これもありのままの恵子でした。

詩絵美の家に出かけようとすると、本棚の本が少しずれているのに気づきました。
それはカミーユの日本語テキストでした。
一度取り出して軽くキスしたあと、元の場所に戻しました。
「カミーユ、行ってくるね。」

恵子は白いハイウエストタイツを履いてオナニーする自分に自信を持って、堂々と詩絵美の家に向かいました。
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