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第2章
もう一人の幼馴染
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「いつもと同じたまごサンドとアイスミルクでよかったかしら?」
「大丈夫です!あっ、特製プリンも忘れずにお願いしますね!」
恵子はもともとプリンが大好物で、特にこの店の特製カスタードプリンは超のつくお気に入りです。
「そうだったわね。サイズは…特盛でよかったわよね?」
真顔で答える頼子の声に、他のお客が「えっ」と顔を見上げます。
「はっ?頼子さん、何言ってるんですか?何ですか、プリンの特盛って。普通のでいいです!」
恵子が顔を赤らめながら答えました。
「そうなの?せっかく恵子ちゃんのためにバケツプリンを坂上さんと一緒に考えたんだけどなあ。」
カウンター越しにマスターの坂上も答えます。
「恵子ちゃん、ほんと美味しそうにプリン食べてくれるからさ。それでサイズ選べるようにってね。並、アタマの大盛、大盛、特盛ってね。」
「それって牛丼じゃないですか!だったら私は並で大丈夫です!アタマの大盛はちょっと気になるけど。」
思わず頼子と坂上が吹き出します。
「じゃあ今度ぜひ!」
そう答えると、頼子は笑いながらカウンターに戻りました。
「あっ、そうだ。貴浩がねえ、恵子ちゃんにすっごく会いたがってるんだよ。カフェに来てるよって話したらすごく悔しがるんだ。見かけたら声かけてあげてね!」
貴浩は頼子の5歳年下の弟で、恵子の1歳年上の幼馴染で、幼いころは毎日のように一緒に遊んだ仲でした。
今はN市にある難関校のT中学の3年生です。
頼子の家に挨拶に行ったときはちょうど不在で、帰国後ひと月近くたちますが、まだ会えていませんでした。
「貴浩くん、ほんと懐かしいです。私もすごく会いたいですよ!でも7年ぶりだから、私って気づいてくれるかなあ?」
「大丈夫だよ。絶対気付くって。貴浩は恵子ちゃんにほ・の・字だからね!」
「やだっ、頼子さん、からかわないでくださいよ!今の私に会ったら貴浩くん、絶対がっかりしちゃいますよ!」
「そんなことないわよ!恵子ちゃん、ますます可愛らしくなって素敵な中学生になってるから、貴浩はきっと一目で恵子ちゃんに惚れ込んじゃうわよ!」
「んもうっ!頼子さん!貴浩くんとはそんな仲じゃないです!貴浩くんだって、こんな私なんかにそんな気ないですよ!」
「いやあ、貴浩はそうじゃないと思うけどなあ‥‥そもそも、大人になったら貴浩くんのお嫁さんになるって幼稚園のときに宣言してたのはどこのどなたさんだったかな?」
「やだっ、もう、よ・り・こさん💢」
「はいはい、急いでたまごサンド作ります!」
頼子と恵子のやりとりに坂上も思わず大爆笑していました。
意味深な頼子の言葉に思わず顔を真っ赤にして反応した恵子でしたが、純粋な気持ちで貴浩にはぜひ会いたいなあと思っていました。
ふわふわのたまごたっぷりのたまごサンドに少し固めのレトロなプリン。
そして頼子や坂上との楽しい会話。
張り詰めた恵子の気持ちを解すのに十分なひと時でした。
ベーカリーカフェを出た恵子はすぐ近くの食料品店へ入りました。
いつもはここで食材を買うのですが、今日は違う目的がありました。
「こんにちは!」
「あら、恵子ちゃん!学校帰りに買い物?」
声をかけてきたのは詩絵美の母でした。
詩絵美の母はこの店で週に3~4日ほどパートとして働いています。
食品を陳列棚に並べている姿がドア越しに見えたので、恵子は中に入ってきたのでした。
「今日は買い物じゃないんです。あの…」
「ああ、詩絵美がLINEで送ってきた件かな?」
「私のわがままなお願いで本当にすみません。」
「そんなに気にしなくて大丈夫よ。夕方まで仕事なのでごめんなさいね。せっかくだから晩ご飯を食べていきなさいよ。恵子ちゃんのお気に入りのカレーライスをご馳走するから。詩絵美も喜ぶと思うし。」
「あっ、はい、よろしくお願いします。(多分そんな心境にならないかもしれないなあ)」
詩絵美の母と会話を交わすことができたので、恵子は安堵の表情で店を出て家に向かいました。
「大丈夫です!あっ、特製プリンも忘れずにお願いしますね!」
恵子はもともとプリンが大好物で、特にこの店の特製カスタードプリンは超のつくお気に入りです。
「そうだったわね。サイズは…特盛でよかったわよね?」
真顔で答える頼子の声に、他のお客が「えっ」と顔を見上げます。
「はっ?頼子さん、何言ってるんですか?何ですか、プリンの特盛って。普通のでいいです!」
恵子が顔を赤らめながら答えました。
「そうなの?せっかく恵子ちゃんのためにバケツプリンを坂上さんと一緒に考えたんだけどなあ。」
カウンター越しにマスターの坂上も答えます。
「恵子ちゃん、ほんと美味しそうにプリン食べてくれるからさ。それでサイズ選べるようにってね。並、アタマの大盛、大盛、特盛ってね。」
「それって牛丼じゃないですか!だったら私は並で大丈夫です!アタマの大盛はちょっと気になるけど。」
思わず頼子と坂上が吹き出します。
「じゃあ今度ぜひ!」
そう答えると、頼子は笑いながらカウンターに戻りました。
「あっ、そうだ。貴浩がねえ、恵子ちゃんにすっごく会いたがってるんだよ。カフェに来てるよって話したらすごく悔しがるんだ。見かけたら声かけてあげてね!」
貴浩は頼子の5歳年下の弟で、恵子の1歳年上の幼馴染で、幼いころは毎日のように一緒に遊んだ仲でした。
今はN市にある難関校のT中学の3年生です。
頼子の家に挨拶に行ったときはちょうど不在で、帰国後ひと月近くたちますが、まだ会えていませんでした。
「貴浩くん、ほんと懐かしいです。私もすごく会いたいですよ!でも7年ぶりだから、私って気づいてくれるかなあ?」
「大丈夫だよ。絶対気付くって。貴浩は恵子ちゃんにほ・の・字だからね!」
「やだっ、頼子さん、からかわないでくださいよ!今の私に会ったら貴浩くん、絶対がっかりしちゃいますよ!」
「そんなことないわよ!恵子ちゃん、ますます可愛らしくなって素敵な中学生になってるから、貴浩はきっと一目で恵子ちゃんに惚れ込んじゃうわよ!」
「んもうっ!頼子さん!貴浩くんとはそんな仲じゃないです!貴浩くんだって、こんな私なんかにそんな気ないですよ!」
「いやあ、貴浩はそうじゃないと思うけどなあ‥‥そもそも、大人になったら貴浩くんのお嫁さんになるって幼稚園のときに宣言してたのはどこのどなたさんだったかな?」
「やだっ、もう、よ・り・こさん💢」
「はいはい、急いでたまごサンド作ります!」
頼子と恵子のやりとりに坂上も思わず大爆笑していました。
意味深な頼子の言葉に思わず顔を真っ赤にして反応した恵子でしたが、純粋な気持ちで貴浩にはぜひ会いたいなあと思っていました。
ふわふわのたまごたっぷりのたまごサンドに少し固めのレトロなプリン。
そして頼子や坂上との楽しい会話。
張り詰めた恵子の気持ちを解すのに十分なひと時でした。
ベーカリーカフェを出た恵子はすぐ近くの食料品店へ入りました。
いつもはここで食材を買うのですが、今日は違う目的がありました。
「こんにちは!」
「あら、恵子ちゃん!学校帰りに買い物?」
声をかけてきたのは詩絵美の母でした。
詩絵美の母はこの店で週に3~4日ほどパートとして働いています。
食品を陳列棚に並べている姿がドア越しに見えたので、恵子は中に入ってきたのでした。
「今日は買い物じゃないんです。あの…」
「ああ、詩絵美がLINEで送ってきた件かな?」
「私のわがままなお願いで本当にすみません。」
「そんなに気にしなくて大丈夫よ。夕方まで仕事なのでごめんなさいね。せっかくだから晩ご飯を食べていきなさいよ。恵子ちゃんのお気に入りのカレーライスをご馳走するから。詩絵美も喜ぶと思うし。」
「あっ、はい、よろしくお願いします。(多分そんな心境にならないかもしれないなあ)」
詩絵美の母と会話を交わすことができたので、恵子は安堵の表情で店を出て家に向かいました。
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