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2019年 05月01日
しおりを挟むパンツを履いている状態をこそ愛(め)で堪能しながら行為に及ぶのが正しい伊勢流の礼儀作法だと骨身に染み付いているので、基本的に女の子はお風呂に入らせません。
普段着ている衣服、あるいはその時特別に着飾っている格好のまま始めて最後まで一気通貫に為すのが、唯一絶対の守るべきポリシー。
着込んでいるものを徐々に剥いていき、最終的にはおパンツだけにさせたのをさんざんに弄(いじ)って舐(ねぶ)って焦らした上で薄布に浮かぶ彼女の赤裸々な自己主張、嘘偽り無い真実の心情をありありと描き出すなんとも愛らしい芸術作品を堪能せずに、一体なんの価値があるというのでしょうか。
男女の行為になんの必要性があるというのでしょうか。
これが途中でお風呂なんてことになって、すっぽんぽんで湯気をほこほこ上げながらいざいたしましょうなんて興ざめもいいところ。
そんなの絶対ヤです。
萎え萎えです。
まあ、中には「絶対ムリぃ!」とかぬかしてこちらが妥協せざるを得ない不届きな小娘もおりますが。
そんなときには、表面上はにこやかにその理不尽な要求を受け入れて優しく湯船に送り出す姿勢を崩しません。
決して僅かにも煮えくり返った心の内を漏れ出すことなく、荒々しく雄雄しい益荒男の顔を垣間見せることなどいたしません。
それが紳士たるべき美学と矜持。
それこそが秘すれば花の極意。
そして「今に見ておれ」という復讐心と、将来的に約束されたその時への期待がさらに己を燃え上がらせるのを感じ、お風呂タイムという不要なインターバルで生じたハンディさえ乗り越える気概を齎すのです。
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