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2019年 03月24日
しおりを挟む何気なく覗いたwikipediaの「鬼畜系」のページで見つけた、1971年に公開されたらしい谷岡ヤスジ原作の劇場用アニメ映画『ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!』とやらが気になってしょうがありません。
“主人公がメスゴリラと姦通した後、割腹自殺を遂げるラストシーンは前年の三島事件を連想させるとのことで全面的に撮り直された”……。
説明文のたった一行に込められたこのあまりの破壊力、ナニをどう理解して感情を処理したらいいのかまったくわからない、手の付けようも無い情報密度の高さに途方にくれてしまいます。
1970年代初頭といえば明日のジョーとか初代天才バカボン、マジンガーゼットなんかがやっと放映されたころのはず。
宇宙戦艦ヤマトまであと数年、ガンダムにいたってはいまだ陰も形もないであろう時代。(富野監督は海のトリトンにかかりっきりだったころでしょうか)
そんなアニメ黎明期とでもいう時代に“それまで子供向けであると言われたアニメの世界にエログロやバイオレンス表現を大胆に取り入れ、強姦や獣姦、幼児姦に近親相姦といったハードコア要素を存分に詰め込んだアブノーマルな世界観に仕上げ”たような作品が存在したなんて、これっぽっちも想像だにしていませんでした。
戦前から脈々と続いていた所謂「エログロナンセンス」の正しい系譜の先にあるんだとは思うんですが、よくもまぁこの内容をよりによって「アニメ」にしようと思ったもんだと、関係者の頭の中を想像するとなんとも趣深い心持に浸ってしまいそうになります。
だって当時の世間的にはアニメといったら「鉄腕アトム」とか「お化けのQ太郎」とか「巨人の星」っていうイメージしかないはずなんです。
わかりやすい勧善懲悪的な、あるいは教訓説話的内容で、あくまでも「子供向け」の表現媒体という認識でしかなかったんです。
シリアスな人間ドラマとかストーリー性とかが重視される作品が出始めて多様性を認められるのなんてずっとずっと後のこと。
当時はそんな「多種多様な事物概念の表現に耐えうる手法」という認識が全く一般化されてないんですから。
恐らく業界サイドでも、そうとうとんがった感性だったはず。
ましてや、視聴者がついてこれるのかと言ったら、絶対に無理だったと思います。
案の定、“公開後は全く客が入らず、2週続映が1週で打ち切られ、ほとんどの批評誌からも酷評されるなど興行は大失敗に終わり”、一瞬で歴史の闇の彼方に葬られてしまったようです。
勿論ビデオやDVDなどにもなることもなく(権利関係がめんどくさいことになってて仮に人気があっても無理だったみたいですが)、後からその存在を知ったとしても視聴する方法などありません。
そのあまりもの奇異な在り様に強烈に記憶に刻まれた人間の間で永らく語り草になり、幻のカルトムービーとして伝説の中の存在になったとさ。
……そうして半世紀近い時が流れた現在。
なんとその幻の作品が今年2019年に復活、一般販売されるとのこと。
2004年の“再発見”を発端に好事家達による粘り強い運動の末、何度かのリバイバル上映が行われた結果、とうとうDVD化というところまでこぎつけたようです。
正直、見たい。。。
ついさっきまでこんなものの存在しらなかったからさほどの感慨も無い筈なんですが、何故か遥か昔から待ちわびていたような強烈な欲求を沸き立たせられてしまって逆らいようもなさそうです。
というわけで、他にも見たくなる人が出るかもしれないから発売されるDVDのキャッチコピーを紹介して〆させていただこうかと思います。
オラオラ しまいにゃ 世に出んぞ ワンラー!!(DVD版のキャッチコピー)
萌えでもエロでもなくお色気!(石野卓球/電気グルーヴの寄稿コメント)
映倫を爆撃したスーパーカルトの封印が、いま、解かれた!!!! 血管がブチキレる程の昭和の貪欲なリビドーが、21世紀を辱める!!!! 鼻血ブー~────!!!!!!!(宇川直宏/DOMMUNEの寄稿コメント)
だそうです。
応援ありがとうございます!
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