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2018年 07月21日
しおりを挟む前回、自作の題名に関する四方山を有名作品との被り疑惑の後ろめたさで自虐的に語ってみたりしたんですが。
そもそも「なろう」系の作品って内容よりも題名が話題になるのがよくあるよなぁと、ふと頭をよぎりました。
そんで真っ先に思い浮かんだ作品がなにかといえば。
今更ですけど、「中古でも恋がしたい」ってすごく攻めてる題名ですよね。
要は処女じゃない女の子を「中古」って表現する俗語なんですけど。
まずこれを題名に採用した勇気だけでも賞賛に値するんですが。
非処女の女性だと、まるで恋するのに障害があるかのような響きをこうも堂々と出すなんて、相当ハイレベルです。
さらには内容的には「周りにそう思われていたけど実際には処女のツッパリ少女」がヒロインなので、タイトルから喚起されるイメージで「本当に中古の女性がどうこう」っていうのを期待したらまず裏切られること間違いなしです。
これだけ題名で問題提起してるのに、じゃあ実際に中古の女性はどうしたらいいのさって完全にほっぽりだして知らんぷり、作品世界ではしっかりと処女信仰を厳密に守って楽園を維持するのに余念がありません。
上に挙げたヒロイン以外にも対抗馬たるサブヒロインが数人出てきますが、勿論全員処女。
むしろ処女以外は全く出てこないような徹底っぷり。
恐らく作者や出版サイドとしては、このタイトルは「オタク系男子の思春期的未熟な女性観を表現」しているだけで、別に女性蔑視でもタイトル詐欺でもないってことなんでしょうけど。
その確信犯的な見事な割り切り方には寧ろ感心させられて、畏敬の念すら抱いてしまいそうになります。
それでいて世の中のフェミ系の方々からは特に槍玉に挙げられてなさそうな様子。
こんだけいろいろ盛り込んで数え役満状態だと、普通だったら告発されて糾弾されて迫害された挙句に焚書坑儒になっても可笑しくない筈です。
もう上に挙げたような「男の子の未熟さを表現してるだけなんですよ~」なんて言い訳なんてまるっきり通用するはずも無く、「キーーーーッ! 題名アウトぉ! 内容アウトぉ! 宗教なんて麻薬です、処女信仰なんて淫祠邪教は今すぐ棄教して徹底的な自己批判の上、総括総括ぅっ!!」ってセクト的闘争の皮を被った現代の魔女狩りをしかけられることは避けられないのが普通なのに。
でもこの作品は何故かそんな目に遭うことも無く刊行が続いて人気作として不動の地位は揺るぎません。
ここまでくると何かもう、人知の及ばぬ超常的な力の存在を確信してしまいそうになります。
処女を求める敬虔な子羊たちの祈りと狂信が純潔を司る超自然的存在による高次元からの干渉を呼びこんでしまったのでしょうか。
あらゆる不幸と困難を跳ね返す神々の恩寵に守られていたとでもいうのでしょうか。
そんな「中古でも恋がしたい」も次巻が最終巻となり、永らく続いたシリーズも完結となるらしいです。
年々、コンプライアンスの要求は上がっていく一方、法的なものも自主規制も厳しくなることはあっても緩むことなどありえない昨今。
明らかにギリギリアウトの絶妙なバランス感覚で内容以前の「題名勝ち」をこうまで成功させた作品はさすがに例が少ないのではないでしょうか。
改めてこのタイトルを心に思い浮かべるたびになんだか切ないような胸苦しいような感傷に包まれて、「新品のままで純愛したい」という題名でずっぽんずっぽん女の子が犯されまくる本格陵辱作品を公開したくなる悪魔の囁きが止みません。
そしていつか「本当に中古だけど恋がしたい」をテーマにして世に問う作品が発表されることを、このネトラレウス派の狂信者は純粋な想いで待ち望んでいるのです。
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