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2018年 05月27日
しおりを挟む「良いではないか、減るものでもなし」。
恐らく知らない人はいないであろうこのセリフ。
時代劇とかでお殿様が女中を手篭めにする場面なんかではほとんど必須のものじゃないでしょうか。
ただ、こう一方的に言われることだけが繰り返されており、実際にその回答があったことはありません。
「はい、減らないからいいですよ」とか「いいえ、減るからヤです」とか、問われたほうの女性側から明快な解答があったことは未だかつてないのです。
そしてその後のお色気シーンという混沌の渦に全ては飲み込まれてしまい、結局女性はエッチなことをすると実際に何かが減るのか減らないのかはわからないまま。
さらには誰もそれを問題視する様子も話題にすることもまずありません。
この何処からともなくやってきてポツンと残されてしまった不可解な謎。
語ることすら憚るように誰も触れようとしない不気味さ。
恐らく、この世には知ってはいけない、見てはいけないことがあるということを人間は本能的に理解しているのでしょう。
我々が日常を過ごすこの世界のあちらこちらに、ぽっかりと触れてはいけない異界の深遠が、非日常への入り口が開いているのです。
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