エロスな徒然

かめのこたろう

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2017年 03月25日

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「君の名は。」をまだ見てません。

 でもそのセリフに続くのが「俺の名はイッパイアッテナ」だということは見なくてもちゃんとわかっています。
 よってこの映画が「人間の言葉を理解する黒猫の話」だというのはほぼ間違いないのですが、巷間には 「男女入れ替わりザッピングタイムリープもの」だというデマがはびこっており、義憤を隠せません。
何故そんな悪質な噂が立っているのか理解に苦しんでおりますが、真贋はさておきその言葉が齎す印象が かつて存在したゲームクリエイターを思い出させました。

 「菅野ひろゆき」もしくは「剣乃 ゆきひろ」名義でPC-98時代に活躍した彼は、とある分野で著名です。
 それはエロゲー業界。
 当時、ザッピングシステムやループもの、平行世界によるタイムスリップなどを意欲的に盛り込んだ作品を世に送り出したことでその名声は確定しました。
 SFループ、マルチエンドものとして「XENON」、「DESIRE」。
 ザッピングシステムを採用したミステリものとして「EVE burst error」。
 そしてそれらの集大成ともいえる作品が平行宇宙論に基づいたタイムリープものである「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」でした。

 当時、サブカルの分野ではほとんど見られ無かった量子力学的平行宇宙論を取り入れたタイムリープものというストーリーは異世界要素も取り入れた重厚なもの。
 主人公を初め、魅力的なキャラクターが入り乱れての愛憎模様も含めて50時間前後といわれるプレイ時間も一瞬に感じるほどの内容でした。
 さらにその世界観を極限まで融合したゲームシステムはまさに「平行世界を旅して徐々に謎を明らかにしていく」という快感をユーザに与え、発表されてすぐに圧倒的な支持をもって受け入れられたのです。
 個人的にはこの手の作品の嚆矢にして未だ超えるものには出会えていないと思っています。
 近年では「STEINS;GATE」が人気を博しましたが、どうしても本作が頭をよぎり、面白かったけれど複雑な気持ちにもなりました。
 ああ、あの作品が一般作としてのプロモーションで現在発表されたらどのような評価をうけられたのだろうかと。
 いくら評判がよくても所詮「当時のエロゲー業界」という狭い世界での話。
 「ただのエロゲー」として時代に埋没してしまったように見えるのは残念ではあります。

 菅野ひろゆき氏はその後独立して会社作ったりいろいろやりましたが、あんまりぱっとしないまま2011年に永眠されました。
 そして作品とともにご本人さえも人々の記憶から消えていくように思われる今日この頃。
 「君の名は。」の噂を聞きつけて、忘れられようとしている過去の名作を偲ばずにはいられませんでした。

 まぁ、あの映画は十中八九「ルドルフ」という黒猫が出てくる話だと自分は頑なに思い込んでおりますが。
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