エロスな徒然

かめのこたろう

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2017年 03月16日

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 たまには真面目な創作論など語ってみようかと思います。
 ただ、やるからにはとても実用的で本当に役に立つものを提示してしまうのは小説の神に愛されてしまった人間の性(さが)。
 真に有益な創作論とは何ぞやと云うものを見せ付けて、己の公平性と人格の高潔さを再確認してみるのも一興です。

 漫画「みなみけ」や「今日の5の2」の作者である桜場コハル先生。
 デビューした当時から、何故か「小学生女子作家」の噂がありました。
 曰く、「小学5年生」「貧乏女子」「小学生キャラの話は自分の体験談」などなど。
 そのペンネーム、可愛い絵柄と柔らかな雰囲気の作風からのイメージなのでしょうが。
 真実はどうあれ、この噂がファンの獲得と作品の売り上げに貢献した事実を出版社が否定できないのは間違いありません。
 「そんな少女ががんばって描いている」「ちょっとエッチなエピソードが今週はあったけど、可愛いコハル先生が赤い顔をして描いている」と幸せなイマジネーションに包まれた男性読者がたくさんいたからです。

 桜庭先生の事例が示すとおり、「作者のキャラクターが著作物を読んだときの読者の心証に与える影響」があるというのは厳然たる事実です。
 たまに「関係ない」などとつっぱらかる意識高い感じの人がいらっしゃいますが、「加齢臭の漂う大きなお友達系のおっさんが書いたラブコメ」と「ちょいギャル入ったつっけんどんだけど根は優しい小麦色の美少女が書いたラブコメ」作品、どちらが読む意欲がわくかは一目瞭然です。
 よって、もし読者をたくさん得たい、作品で表現したいところに効果的な印象を意図的に与えたいとするならば、その狙いに沿ってある程度作者である自分自身のイメージをコントロールすることは大変有効なのです。
 その辺を考慮すると、不用意にプロフィール欄を真っ黒に赤裸々に書いている人は作品の出来だけで勝負したい、場合によってはハンディを背負ってもかまわないという創作に対して純粋な人だと言えるかもしれません。

 しかしだからと言ってプロフィールを虚偽で固めるのはルール違反。
 ポイントは情報公開を不用意にせずに仄めかす程度にするくらいに留め、読者が勝手にイメージを膨らませる余地を与えるところにあるのでしょう。
 だから「セーラー服組長」や「不良少女の生き方」といったエロ陵辱作品を「性に目覚めたばかりの中学二年生バスケ部女子が学校指定ジャージ姿でもじもじ膝をすり合わせながら覚えたばかりの性知識を総動員してがんばって書いている」なんて言うつもりはありません。
 そんなの簡単に読者が獲得できちゃってずるいですもんね。

 以上、作家にとって絶大な効果を持つ手法を余すことなく公開させていただきました。
 衝撃のあまり足元が覚束ない人も結構な人数いるはずです。
 実際、業界では口外厳禁の秘奥義に属する話なので、自分はもしかしたら口封じされるかもしれません。
 それでも同じ志を持つ皆さんを裏切ることができなかったのです。
 さあ、これでやり方はもうわかったはず。
 アンフェアにならない範囲で作者イメージを自在にコントロールできるようになれば。
 あなたが有名作家の仲間入りをするのも間も無くです。

 (そういえば”漫画の神様”ってよく言うけど”小説の神様”ってあんまり言いませんね。志賀直哉がそうだという話もあるようですがあんまりピンときません。だから自分は団鬼六先生初めフランス書院系の作家先生方が”小説の八百万の神様”だと勝手に思うことにします)
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