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ぺたんこ胸のエルフ娘がビキニアーマーを着て今日はオークにおっぱいを狙われちゃうようです②
しおりを挟む「うわーーーっ! 離せーーーっ!!」
何時もどおり、何の意外性もなく、ヘレンさんはオーク達に動きを封じられた。
今回も銅の剣でボスオークとの一騎打ち。
そして本人だけはギリギリの緊張感に満ちた打ち合いのつもりのお遊戯みたいなやりとりの後。
やっぱり身体を抑えられて子分オークが群がってきたのだった。
そこまでは不本意ながらも何時もと同じではあったのだが。
ヘレンさんはオーク達を包む妙な熱気を敏感に感じていた。
気のせいか、動きがよく、妙なエネルギーに満ちた機敏さを発揮しているような……。
だからガシッと子分オークたちに背後から腕を抑えられ、目前に迫ったボスオークの思わぬ迫力に思わず怯えた声を上げてしまったのだ。
「な、何をするだーっ! い、いや、何をする気だーっ!」
思わず噛んでしまった。
そんなヘレンさんにボスオークは血走った目ではぁはぁと息を吐きながら教えてあげる。
「ふふふ。無謀なエルフの戦士よ……。その勇気には大きな代償が伴うことを今日は教えてやろう。……いくら貴様がとっても可愛くて素敵で誰もが好きになっちゃう一生懸命な女の子でも、深遠な闇を覗こうとしたそのとき逆にまた闇にも覗かれているのだ……」
これからすることに興奮しすぎて、ちょっと何を言ってるかわかんなくなっていた。
前に魔王城のデーモンロードが言っていたかっこいい言い回しを無理やり使ってみたけど、どうだろう。
ヘレンさんは「あっ、なにこのボスオーク……。素敵!」って思ったかな??
そう心の隅で思いつつも既に意識は目の前に晒されている絶壁胸にくぎ付け。
完全に真っ平らで申し訳程度に女戦士の衣装である三角の薄布が配置されているそこ。
本来はぼいんっとたわわで豊かなぬくもりの象徴みたいなものがあってしかるべき場所なのに、あえてまっ平の絶壁だからこそ感じる愛おしさ。
いじましさ。
野に咲く可憐な草花の健気。
大好きな女の子だからこそ、あるはずのものがないことが素晴らしく感じてしまう。
かけがえのない大切なもののように思ってしまう。
あばたもえくぼ。
たとえ欠点ですら長所になりえてしまうのだ。
こんな光景があるのなら、この世もまんざら悪いものではない。
感極まり、そう一人ごちる。
当の自分が悪い世にしている存在のひとつであることは棚に上げて。
その感動に浸りつつ。
とりあえずべろりと長い舌先でほっぺを舐めあげた。
「あひゃんっ!! ま、まさか……」
最高に可愛い声を上げたヘレンさんが感づいたようだ。
さっきからずっと視線をロックオンされてじぃっと見られ続けてられていれば誰でも気が付くのは当然でもある。
「グフフ、今日はこっちを楽しませてもらおうか……」
すっごく気分を出して言ってやった。
なにしろこれまでさんざん我慢してきたのだ。
如何にちょっとオツムがアレそうなかわいいエルフ娘が懲りずに何度もやってくるように仕向けるか。
手を抜きすぎるとこちらが物足りない。
だけどあんまり激しくしちゃうと、怖くなってもう来てくれないかもしれない。
その絶妙な匙加減には常に頭を悩ませてきた。
せっかく自分からのこのこやってくるようになったのだ。
少しづつ、破廉恥なことに慣らしていってどんどんエッチなことをさせてもらおうと算段していたのだ。
ことを急いて台無しにしてしまうのは愚の骨頂である。
そうしてようやっとお漏らしを堪能できるまでになった。
次の段階としておっぱいを拝ませてもらうくらいは何とかなるはず。
「ククク……」とすっごく悪そうな感じで笑ってみる。
こういうのは気分が大切である。
ぐっと、三角の薄布の端に手をかける。
「ひぃっ! や、やめろっ! そこは……!! だめぇ!!」
ボスオークの努力が実り、ヘレンさんの必死な感じを堪能できそうだった。
やっぱりこうでなくては。
ああ、大好きな女の子が一生懸命必死で頑張ってるのはすごくいいなぁ。
ますます気分が盛り上がっていく。
「グヘへへ、何を叫んでも無駄だぁ!」
血走った目ではぁはぁしながら、少しづつ布をめくりあげていく。
いきなり全部出しちゃわないように細心の注意を払っていた。
焦っちゃだめだ。
慎重にゆっくりと。
そうしてとうとう半分ほどが丸見えになってしまったころ。
ギリギリ、先端のぽっちが何とか隠れてるような塩梅の状態のとき。
「うう~~~……うっうっ、ひっく……すんすん」
今まで聞いたことが無いヘレンさんの声が聞こえてきた。
呻きながらしゃくりあげ、鼻をすするような音。
これは……。
「うう~、うぇっ、ふぐぅ~……えっぐえっぐ」
ま、まさか。
思わずピタッと止めていた動き、さらにさっと薄布をもとに戻してみる。
しかし、それでもヘレンさんの声は止まらない。
恐る恐る、そろーっとその顔をうかがう。
「うあーーーん、ふえーーーん、うえーーーーん」
ガン泣きだった。
綺麗な顔をくしゃくしゃにして大粒の涙をぼろぼろ流していた。
狼狽した子分オークたちの拘束がなくなったとたん、その場にしゃがみこんで両手を顔に宛がう。
誰もがイメージするような、お手本みたいに典型的な泣きべそスタイル。
えっ?えっ?
ヘレンさんってぺったんこだけど、一応お年頃だよね??
もしかして本当に幼女だったの!?
などと混乱するくらい、見事な泣きっぷりだった。
こんなの子供でもあんまりしない。
気がつくと手下たちは少し距離を置いてこちらを見ていた。
じとーっとしたその視線は明らかに非難めいたもの。
そしてぼそぼそ何か話している。
「……なに考えてんの、あのヒト」
「やりすぎだよな」
「正直引くわ……」
「女の子を傷つけるやつとは付き合うなって父ちゃんが言ってた」
「前からあーいうやつだって俺は思ってたけど」
「これからの付き合い方考えよーぜ」
お、お前ら!!
明らかに自分がハブられていることに愕然とする。
やばい。
このままでは大好きな女の子と子分たちの気持ち、両方いっぺんに失ってしまう。
ボスオークに訪れたこの最大の危機。
一見、既に手遅れでどうやっても挽回は不可能である。
インポッシブルである。
しかしそこは最弱モンスターとしてあらゆる状況を逃げたりかわしたりごまかしたりで切り抜けてきた歴戦のオス。
極限まで追い詰められた今、目覚めたケダモノの本能がピコーンと閃きを齎した。
「……ぐ、ぐわーーーっ!! こ、これはっ!! 先ほどの剣戟が時間差でーーーっ!! く、苦しい! もう駄目だ!」
胸を押さえてふらふらと精一杯苦しそうな顔をする。
心が苦しいのは事実なので迫真だった。
その様子をしゃくりあげながら、ヘレンさんはきょとんと見上げた。
ちゃんとこちらを見ているのを確認し、続けるボスオーク。
「うぐぐーーっ! な、なんて恐ろしいヤツなんだ! こんな技を隠しもっていたとはっ!! き、今日のところはこの辺で勘弁してやる! だがこれで勝ったと思うなよ!!」
そう言って、わき目も振らず脱兎の如く逃げ出した。
もう早くこの場を離れたかった。
泣きそうなのはボスオークの方だった。
マジで”ちくしょーっ!!”って思いながら走る。
しばらく子分たちの顔も見たくなかった。
そうしてボスオークは数日、子分オーク達の前から姿を消したのだった。
………
一方ヘレンさん。
未だ呆然とオーク達が去っていった方を見ていた。
ボスオークがすごい勢いで消えたあと、子分オーク達も後に続くようにいなくなった。
ひゅーっと風が巻く岩山の一角。
お尻をついて座り込んでいたのをうんしょと腰を上げる。
そして一人で突っ立っているうちにじわじわと状況が飲み込めてくる。
「か、勝った……?」
口に出してみた。
すると加速度的に実感がもりもりわきあがってきた。
「勝った……。やった。か、勝ったぞーーーっ!! わ、わたしの剣で! 閃き技の時間差ブレードでっ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら、後付設定を無意識に盛り付ける。
その格好いい響きが颯爽とオークを倒した自分のイメージをさらに美化してくれる。
実際には技を閃いたのはボスオークの方だったのだが。(技名:化猪男秘奥義 空蝉幻夢)
でもそんなことはヘレンさんには関係なかった。
感無量。
何時までもこの感動に浸っていたい。
自分は魔法を使わずに実力でオークを倒した!
それも戦闘中に閃いた強力な技を駆使して!
戦士としても非凡であることは間違いない!
しかし、やがてその興奮も少し落ち着いてくると。
「……しかしまだヤツは生きているわね。ダメージは相当与えたようだけど。逃がしたままでは本当に勝ったことにはならない……か」
ちょっと真面目な顔で考え込んでみる。
でも我慢できなくて口元はニヤニヤしていた。
だってもう楽勝であることは間違いないんだもの。
強いて言うなら消化試合が残っているだけだと思った。
「むふふっ。そうね。焦ることはないわね。一度戻って、今度こそ引導を渡してやればいいわ」
めちゃめちゃドヤ顔で言い放ち。
今日はもう帰ることにした。
べろべろやられたほっぺたも気持ち悪かったし。
それに一刻も早くジョッドとヤクに自慢したかった。
そうしてスキップしながら冒険者酒場へと向かっていく。
ぺたんこの胸をこれでもかとそらして鼻歌を歌いながら。
でも銅の剣が重くて足がもつれて2、3回ずっこけた。
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