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年増女にはブルマとルーズソックスがよく似合う

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 「ばあさん」と言われたら瞬時に沸騰してすごい剣幕で否定するけど、「おばさん」と言われる分にはもはや抵抗する気もおきない。
 それくらいの年頃の女が白い半袖体操着とブルマ、ルーズソックスを纏う風景はまことに見事としか言いようがないものだった。

 分厚いニット生地でたわむヒダヒダを手早くまとめて、皺の浮いた足をするっと通す様。
 今や卑猥の象徴として魔女狩りのごとく駆逐され絶滅させられた紺色の短パンをなんらのためらいもなくはきこなして。
 それを上半身にまとった白い裾で半ば隠すようにする着付けの妙。

 感触を確かめるように、身体を捩ってブルマの食い込み直しをしている所作も含めて完璧としか言いようがなかった。
 永年日常的に着慣れていたことを確信させる、迷いなく滑らかな動きだった。

 例えどれだけ月日が経っていようとも。
 ほどほどに垂れた肉、水気が失せた肌、誤魔化しようがない衰えの象徴が体中に現れていようとも。

 だからこそ醸し出される艶気。
 かつて己の生活の一部としていた者だけが持ちうる整合性と自然さ。
 まったく違和感の欠片もない人衣一体の黄金律。

 年増女に少女の恰好をさせて似合うわけがない。
 そんな偏見と思い込み、狭量な固定観念をあっけなく破砕して笑い飛ばす圧倒的なリアリティがそこにはあった。


 これ、好きね。


 軽蔑を隠そうともせずにいう、つまらなそうな声と顔がいつも通りの合図だった。
 純粋なエゴとエゴのぶつかり合いがこれから始まるゴングの音。
 どちらの肉欲が相手のそれをどれだけ上回って圧倒するか、没頭して恍惚できるか。
 別に負けてもなんの問題もない、どちらにしろお互い損をすることなんてない。
 そんな勝敗のつかない飽くなき肉弾戦をそろそろ始めましょうという、彼女からの丁重な申し出。

 佇む姿の美しさ。

 これ以上ないほど相手を尊重した優しい気配りに感動して、やる気が全身にムクムクと満ちていくのを感じた。
 
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