異世界来たらいろいろありすぎた

初めての経験

2

少しはみ出た赤い髪に星のように光る金の瞳がとてもきれいだった。

だが、どうやら彼は違ったようだ。


「っ！！！」


私を支えるように腰に触れていた手を頭上にばんざいをするように上げ、5メートルほど距離をとった。


え、なんで距離とるの…

私、ぶさいくとは言わないものの究極の普通顔だけどそんな距離とられるほどひどい顔はしていないはずなんだけどな…

地味に心が傷ついたが、彼の様子をうかがうとどんどん顔色が悪くなっているのが見て取れてたので体調が悪いのかもしれない

『えっと、あの大丈夫ですか？』

「っ…」

手を挙げたまま、こくこくとうなずいてはいるが真っ青なのは変わらない

私が一歩近づこうと踏み出すと彼は二歩下がった。

これでは距離は縮まらない。

『どうして逃げるんですか』

「っ…」


今度はぶんぶんと首を横に振りさらに距離をとる。


「おい、アル！さっきそこで…あ？」


突然私の背後から別の男の人の声がしたので、驚きつつ振り返るとそこにいたのは、The地味顔の男の人。




「っアル！！！こんな天使どこで誘拐してきた！！！！」


は？

普通顔の人がいきなりイケメンの彼に怒鳴った。

いや、まって、、、天使？？？

一体誰の事を…


「見損なったぞアル！こんなことをする奴だとは思わなかったぞ！今すぐ親の元へ返してくるんだ。いや、まて。お前が行くとさらに悪いほうへ行きそうだな、、仕方ない、俺が連れて帰ろう。」


一人でうんうんとうなずきながらしゃべり続ける普通顔の人はイケメンの人を蔑むような眼を向けた後私の方へ膝を折り目線を合わせてきた


「君、怖かっただろう。すまなかったな、普段は誘拐なんてする奴じゃないんだ。俺の顔に免じて許してくれないだろうか」

…いやたとえ誘拐されたとしてもあなたの顔に免じることはできないんですが！！！

この国は鏡はないの？どう見ても普通だし、非モテ顔だよあなた！！



『こわ…』


つい口に出してしまった言葉とドン引きしている気持ちが伝わってしまったらしく、普通顔の人はえ？という顔をした

「えー？おかしいなぁ。たいていは俺の顔をみて許してくれるんだけどなぁ…」


そして私は悟った。



この国には鏡がないんだ、と。