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観光だ!

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  名前:シラハ
  領域:《紫刃龍騎》《森林鷹狗》 サハギン
      フォレストマンティス レッドプラント
      ハイオーク エアーハント シャドー
      迷宮核 シペトテク ウッドゴーレム
      ジャガール(異) アーマードゴブリン    
     (0)

 スキル一覧

  通常:【牙撃】【爪撃】【竜咆哮】【丸呑み】
     【鎌撫】【吸血】【風壁】【影針】【根吸】
     【雄叫び】【不動】

  強化:【竜気】【剛体】【熱源感知】【跳躍】
     【水渡】【疾空】【瞬脚】【鎧皮】

身体変化:【竜鱗(剣)】【有翼(鳥)】【血液操作】
     【擬態】【潜影】【有翼(竜)】

状態変化:【麻痺付与】【解毒液】

  重複:【獣の嗅覚】【側線】【誘引】【誘体】

  自動:【体力自動回復(中)】【毒食】【夜目】
     【潜水】【散花(●)】【光合成】

  迷宮:【迷宮領域拡大】【迷宮創造】【主の部屋】

  特殊:【贄魂喰ライ(0)】【龍紫眼】



 マグナスさんをぶっ飛ばした後、一息いれながらスキル確認。
 スキルを見ていると、前回魔石を取り込んだ時は【散花(○)】だったのが、また【散花(●)】に戻っていた。

 んー……その時と今の違いってなんだろう?
 一度気になってしまうと、ずっとモヤモヤしちゃうから、ナヴィに確認したいんだけど、話しかけてみても残念ながらナヴィからの反応がない。

 今後も気にかけておくしかないかなぁ……

「はぁ……」

 悩んだ末に、結局は保留にしておくしかない現状に溜息が出てしまう。


「む? どうしたどうした! 元気がないのか?!」

 私の溜息を聞いてマグナスさんが絡んでくる。
 マグナスさんて、少し暑苦しいなぁ……

 いや、心配して声をかけてきたんだし、嫌そうな顔をしないで平常心平常心……

「住む場所を多少整えたとはいえ、こんな山奥に籠っていては息も詰まるだろう! たまには外に出て息抜きをした方がいいぞ!」
「狩りには出てるんですけどねぇ……」
「それだけでは足りんだろう! やはり他者と関わるのが一番だと思うぞ、刺激になるからな!」

 マグナスさんがそんな事を言い出したけど、出かけたいと言って外に出たら死にかけていた私としては、外に出るのが申し訳なさすぎて提案し難い。
 チラリと父さんと母さんを見てみると、何やら思案顔だ。

「そんな事を言うのなら、その刺激になり得る場所があるのだろうな?」
「当然だとも!」

 父さんの言葉に胸を張って答えるマグナスさん。

 どんな所だろう……
 マグナスさん炎竜だし、どっかの火山とか言わないよね?
 さすがにスキル使っての身体強化でも溶岩には耐えられないと思う。


「俺が面倒を見ている竜人族の集落だ!」
「ああ、あそこか……」
「でも、あそこなら危険はなさそうね。シーちゃんはどうしたい? って聞くまでもなさそうね……」

 竜人!
 母さんが私を見てクスリと笑っている。

 その内、アルクーレの領主様が教えてくれた獣人がいるビザンには行こうと思っていたけど、マグナスさんという案内もあるみたいだし、その竜人がいる集落に行ってみるのもアリかもしれない。
 というか行ってみたい。

 私はなにかと竜と縁があるし、竜人にも会ってみたいと思う。

「迷惑じゃなければ行ってみたい……」
「迷惑などあるものか! ガイアスの娘が来れば彼奴らにもいい刺激になる!」
「シラハを迷惑に思うヤツがいるのなら、我が叩き潰してやるわ」
「シーちゃんが心配しているのはガイアスの、そういった行動なんじゃないかしら?」
「そんな…馬鹿なっ」

 母さんの言葉に愕然としている父さん。
 まぁ心配ではあるけど、言えば止まってくれる筈だからそこまで不安は感じてないんだけどね。

「なっはっは! ガイアスのこのような姿が見られるとは、ガイアスの娘に会いに来た甲斐があったな!」
「娘としては恥ずかしいので、できれば見られたくなかったですけどね……」
「まぁそう言うな、ガイアス達は子を失いかけた。そこにお前という子ができたのだから殊更可愛いのだろうよ」
「別に嫌なわけじゃないですよ。可愛がってもらってるのも分かってますし。ただ、あそこまで真っ直ぐな愛情が気恥ずかしいと言いますか……」
「確かに当事者としては恥ずかしいかもしれんな!」

 と、マグナスさんに笑われる。
 くそぅ……他人事だと思って!


「さて……ガイアスとレティーツィアのやり取りを見ているのも面白いが、そろそろ行くとするか!」
「え…今からですか?」
「当然だ! 行くと決まったのなら即行動! さあ行くぞ!!」

 イヤイヤ、何言ってるんだよこの人……いや竜か。
 どんだけ、その場の勢いで行動してるのさ。今日はスキル検証とかしてたし、少ししたら日が暮れるだろうし……とりあえず明朝に出発くらいにしてもらおう、そうしよう。

「竜人の集落が何処にあるかは知りませんけど、明日でも良くないですか? 一応、部屋も余ってますし―――って、ひゃああぁぁぁーー!!」
「シラハ?!」
「シーちゃん!」

 遠くで父さん達の声が聞こえる。
 それもそのはず、マグナスさんがいきなり私を抱えて物凄い勢いで跳んだのだ。

 そう……飛んだ、ではなくて跳んだのだ。
 ひとっ飛びで山越えちゃうんじゃないかって勢いで……

 私を荷物のように抱えたかと思ったらぴょんとね。あまりにも慣れた動きで止める暇もなかったよ……

「マグナス、なんのつもりだ!」

 父さん達が竜の姿で追いかけてくる。

「今しがた竜人の集落に行くと言っただろう! お前達の戯れを見ているのもいいが、この娘には面白いモノを見せてもらった礼をしたいからな!」

 ああ、これはお礼のつもりなんですね……私、荷物扱いだけど!

「行くのは構わんがシラハは離せ!」
「おうよ!」
「えっ……」

 父さんの言葉にマグナスさんが即座に従った。
 そうなると私は宙に放り出されるわけで……

「あわわわ! ポイ捨ては良くないと思うんだけどっ!?」

 私は慌てて【有翼(鳥)】を使い滞空する。本当は【有翼(竜)】を使ってみたかったけど、慣れてないスキル使って飛べなかったら目も当てられないので我慢した。

 そこへ父さんがやって来て私を背中に乗せてくれる。母さんはいつの間にか父さんの背中に人の姿で乗っていた。

「大丈夫か?!」
「大丈夫だよ~。少し驚いたけどね」

 空を飛べるスキルがなかったら終わりだけどね。でも他にも【疾空】があるし地面に叩きつけられる心配はしてない。

「さすがだなガイアスの娘! さぁ行くぞ!」

 マグナスさんは竜の姿に戻ると、さっさと飛んでいってしまった。
 たぶんレイリーから色々話を聞いていて、私なら大丈夫だろうという考えなんだろうけど……

「我が娘を投げ捨てるとはマグナスめっ……」
「あとでお仕置きが必要ね」
「うん、遠慮はしなくていいと思うよ」

 対処できる、と投げ捨てて良いは繋がらないと思うんだよなぁ……
 だから少しくらい痛い目に遭えばいいと思うんだ。





 父さんがマグナスさんを追いかけながら飛んで暫く経って、日も殆ど沈みかけてきた頃になると、マグナスさんとの距離が縮んできた。

「マグナスめ……我等の制裁受けにきたか」
「それは後でも良いだろう! この辺りからは急激に冷えるからな、人の子にはちと厳しいだろう?」
「ふん」

 そういえば、たしかに少し冷えてきたかも……雪も降ってきたし。
 母さんが後ろから抱きかかえてくれてるから、まだ平気だけど。

「少し熱気を強くする。暑ければ言ってくれ!」

 マグナスさんがそう言うと周囲の空気が快適な温度まで温められた。

「ぉぉ……暖かい。……あれ? 熱気の調整ってできないんじゃなかったんです?」
「あれ以上熱気を弱める事ができない、という意味だな!」

 なるほどなー
 炎竜の熱気は、あれで弱火ですか。
 あの熱気だと、一晩一緒にいただけで干物になりそうだよ。



「ほらシーちゃん、見えてきたわよ」

 母さんが前方に指を差しているので、私もそちらに視線を向ける。
 辺りは既に暗くなっているけれど【夜目】があるので問題ない。

 眼下には雪で真っ白に覆われた森。
 それを見て私が森に篭っていた時に、こんな雪が降る場所だったら凍え死んでいただろうなぁ、と割と運が良かったのかもしれないと考える。

 素っ裸で雪が降る森の中を探索とか、凍死まっしぐらである。


 そんな白い森の中に、ぽっかりと穴が空いたかのように雪が途切れた箇所が目についた。
 雪が途切れている所は木々がなく、そこにいくつもの建物が見える。
 マグナスさんは集落と言っていたけど、立派な村くらいはありそうな気がする。

「なんであそこだけ雪がないの? あれもマグナスさんの力?」
「そういえば、私も聞いたことなかったわ」
「我も興味なかったからな」

 二人とも……

「集落の至る所に俺の鱗を砕いたものを撒いてある。すると雪は集落に近づいただけで消えていくのだ」
「え、なにそれ便利」

 もし雪中行軍しなきゃいけない時がきたら、マグナスさんの竜鱗を何枚か剥いでいこう。

「何故、獲物を見るような目で俺を見ているのだ?」
「マグナスさんの竜鱗が凄いなーと思いまして」
「それだけか?」
「それだけですとも」

 マグナスさんが少しだけ警戒している様子だったけど、別に今欲しいわけじゃないしね。

「集落の入り口ではなく、俺の寝床へと降りよう。騒がれると身動きが取れなくなるからな」
「騒ぎになるんですか」
「俺はこの集落の守護者だからな!」
「ああ、憧れの人みたいな感じなんですね」
「そうだ!」

 マグナスさんがどこか誇らしげに答える。
 竜人族を大事に思っているんだなぁ……



 そんなやり取りをしながら、私達は集落の奥にあるというマグナスさんの寝床へと向かって行った。










//////////////////////////////////////////////////////

後書き
シラハ「暖房いらず……」

マグナス「なにやらガイアスの娘が俺を見つめてくるのだが……」
ガイアス「娘はやらんぞ!」
マグナス「別に欲してなどいない」
ガイアス「我の娘が可愛くないとでも……?」
マグナス「その質問は何と答えようが、ガイアスが怒るやつだな」
ガイアス「娘を誑かすとは!」
マグナス「答えなくても怒るだと?!」

シラハ「仲良いなぁ……」

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