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私は、屋敷に呼ばれたある家の子息と会った。

私の二つ年上で、家柄が良いせいかもしれないけれど、やたら自分に自信があるのだなと感じる人だった。

はっきりといえば、ナルシスト。そして不快。私の好みではまったくない。

「ちょっと失礼」と彼がウインクして席を立ったとき、私は隣に座っていた父に耳打ちした。

「ごめんなさい、あの人はちょっと……」

父も分かってくれたようで、苦笑いした。

「わかった。戻ってきたら、私の方からやんわり断りを入れよう」

「ありがとうございます」




トイレに行ったのだろうけれど、なかなか令息は帰ってこなかった。

どうしたのだろう。お腹でも下しているのだろうか。まさか屋敷の中で迷子になっているということはあるまい。

私たちが歓談していた広間を出て廊下をまっすぐに行けばトイレはある。

口で説明したら、彼も「分かった」と頷いていた。単純すぎる道のため、案内しようとした使用人を自分から断っていたくらいだ。迷っているはずがない……

「ちょっと、見てこよう」と父が立ち上がった。

「私も行きます」なぜか嫌な予感がした。だから私も、父についていくことにした。
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