妹が私の婚約者を奪うのはこれで九度目のことですが、父も私も特に気にしていません。なぜならば……

「お前なんてもういらないから。別れてくれ。

代わりに俺は、レピアさんと婚約する」

妹のレピアに婚約者を奪われたレフィー侯爵令嬢は、「ああ、またか」と思った。

これまでにも、何度も妹に婚約者を奪われてきた。

しかしレフィー侯爵令嬢が、そのことを深く思い悩む様子はない。

彼女は胸のうちに、ある秘密を抱えていた。
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